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僕と母ちゃんとばあちゃんの話3【短編小説】

一番古い母ちゃんとの思い出がある。

4才くらいの時だったと思う。公園に遊びに行くときは、いつもばあちゃんがそばにいた。

ばあちゃんと僕が手をつなぎ、母ちゃんは後ろからついてくる。

「母ちゃん、早く!早く!」

 車いすの母ちゃんはゆっくり僕たちについてくる。

「陽太、母ちゃんは後ろにいるから。危ないから前を向いて。それと、ばあちゃんの言うこと聞くんだよ」

と笑いながら言っている。

公園に着くと砂場に向かって走り出した。ばあちゃんが後ろから追いかけてくる。

「ようちゃん走らないで」

ばあちゃんが叫んでいる。

三人で砂場で遊んだ。

「陽太、何作っているの?」

「山とトンネル」

母ちゃんも手を伸ばし、車いすから落ちそうになりながらもスコップで一緒に山を作った。

どのくらい時間がたっただろうか?眠くなり母ちゃんの膝に乗って、母ちゃんに抱きついた。

母ちゃんが言った。

「ばあちゃん、帰ろうか?」

「そうね」

ばあちゃんが母ちゃんの車いすを押した。

僕は母ちゃんに抱きつきながら、ばあちゃんを見た。ばあちゃんと話しながら、いつの間にか眠ってしまった。