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周期律表 - その秘められた魔力

化学で元素について勉強した時に、その名前を覚えた記憶があるかもしれません。

「スイヘイリーベ…」

そして教科書や事典などの巻末には「周期律表」と書かれた表が載っていたりしませんでしたか(「周期表」かも)。

周期表

理由は良くわからないけど、世の中の元素は表にまとめられたように整然と分類されているのだろうと思ったものです。私が小学生ではじめて目にした周期律表は、今のような長周期表で原子番号103のローレンシウム(Lr)まで載っているものでした。その時代は縦の性質を表す族がローマ数字で表されていました。

元素の族

もちろん最後の方のアクチノイドの分子量はまだ書いていなかったり、括弧付きで書かれていて、まだ未発見の元素があるかもしれないというのは伝わりました。

さて図書館で見つけた事典で、同じように周期律表のページを開くと「原子量は炭素原子12を基準とする」とわざわざ当たり前にみえるような注釈が結構、大きく書いてあります。そこでいくつかの古い事典を比べると「あれ?」原子量の数字が少し違う元素があります。これは原子量は測定するものだから時代と共に精度があがって修正されたのかな?とも思ったのですが、同じ時代のものでも違う表が見つかります。

なぜ原子量(相対質量)の基準が炭素12(12C)になったの?

いやぁ自然界のものは変わらなくても解釈するのは人間だから、時代とともに変化していくものなんですね。子供の頃は、本に書いてあるものは、もうわかっていて決まっているもので、覚えてしまえばずっと変わらないのではないかという淡い期待(!?)を持っていた気がするのですが、随分と早い時点で裏切られてしまったわけです。

がぜん興味がでたので、今度は父親の本棚から古い古い教科書を借りてきて周期律表を探しました。昔なので元素名もみな漢字で書かれていて、硼素はともかく弗素、燐、錫という具合に今ではカナ表記の名前もみな漢字なのは閉口しましたが、ようやく周期律表をみつけると見慣れた表ではなくて、何だか横幅が短く、ひとつのマスに複数の元素が書かれている、今で言うところの短周期表しか書いていないのです(しかも結構隙間もある)。

なるほど科学の進歩に合わせて周期律表も変化していったのだと良くわかりました。表によって典型元素の分類に違いがあったり、その後、族の表記がアラビア数字になり、さらにアルファベットも無くなったのも、それなりの理由で変わっていったのですね。でも希ガスなのか貴ガスなのか稀ガスなのかいつも混乱しますし、今でも零族だよね?と言ってしまいます(返しは「そんな族はない」でしたけど)。

この分類を理解するには電子軌道がわかる必要があって、K殻、L殻…があって、とか、パウリおじいさんが出てきて、ひとつの軌道には二人がけのソファーがあるんだよ。と覚えていきました。二人がけがでてくると今度はs軌道、p軌道、d軌道…が登場し、原子番号が増えるに従って、その分の電子がどの軌道に納まるのかがわかってようやく表の意味が見えてきました。

小学生の知識ではこのあたりまででいっぱいっぱいだったのですが、中学に入り、その学校では「誰も理解することのできない化学」と呼ばれていた授業(Oの化学)をうっかり!?理解してしまい、d,f軌道の電子が元素の磁性やテレビの色に関係すると知り、その後、いったん原子を卒業して量子や素粒子の世界へ興味が移っていきました。

面白がってなるべくやさしい学術誌などにも手を出すようになったのですが、日本語のものは少なく英語の壁に突き当り、数式も、まるで宇宙の言葉にみえる、なんとも摩訶不思議な式が並ぶので、これは相当勉強しないとこの方向には進めないなぁと意気消沈しました。

当時の素粒子物理は、毎年のように新しいバリオンが発見され、これを整理するためのクオークの存在が議論されている最中で、なかなか熱いものがありました。その中でカミオカンデの建設が決まった記事もあり、とても面白そうに思っていたのですが、既にドップリとコンピュータ屋さんになっていた自分がこの方面に進むには、荷が重いなぁとも感じていたのが正直なところです。

周期表の歴史を振り返る【周期表生誕 150 周年特別企画】

一家に1枚 元素周期表(第13版)
https://www.mext.go.jp/stw/common/pdf/series/element/element_b13s.pdf

ヘッダ画像は、以下のサイトに有るものを使わせて頂きました。

http://chem.chu.jp/topic/perio.html


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