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回復期病院で2年間理学療法士として勤務して学んだ本当に大事なこと⑤ 〜イシューを考える〜

 皆さんこんにちは。遠方へ行けなくなり暇になった休日に塩麹と醤油麹を作ってみようと企んでいる竹中寿史です。

 今日はリハ職の人が考えるべきイシューとは何かについて書いていこうと思います。

 

良いイシューの条件とは?

 そもそもイシューって何?と思う方もいると思います。イシューとは

「解決すべき問題」

のことです。

 患者さんのリハビリを進めていると問題点など色々と出てくると思います。

・痛みがある ・筋力が低下している ・活動量が低い などです。

それらの一つ一つがイシューであり、どのイシューから取り組んでいくかを考えることは非常に大事な作業になります。


 では、複数の問題点がある中で何に取り組んでいくのか?
 それを考える時に参考になるのが以下の良いイシューの3条件です。

・本質的な選択肢であること

・答えが出ること

・深い仮説があること

 これらを考慮した上で取り組むべきイシューを考えていくとどこからアプローチしていけば良いか明確になりやすいかと思います。

 今回は、「本質的である」「答えが出る」ということに焦点を当てて考えていきたいと思います。



その問題は本質的でかつ答えが出るか?


 本質的であるとは、解決することによってその後に大きな成果が得られることです。具体的に考えていきましょう。
 
 例えば、片麻痺患者さんである程度、初期評価が終了した時に以下のアプローチすべき問題点が上がってきたとします。

・麻痺側上下肢の出力の低下
・車椅子シーティングが悪く座位姿勢が崩れてしまっている
・胸郭の柔軟性の低下により寝返り、起居の介助量が多い
・起立で前方への重心移動が不足し、うまく立てない
・食堂の机が高く肩甲骨挙上の代償が出現して食べにくい
・痙性による足関節の背屈可動域の低下

 皆さんはどの問題から取り組みますか?

 色々と意見はあると思いますが、自分だったらまず車椅子シーティングと食堂の机の高さの調整に取り組みます。

 それはなぜか?
 ここで先ほどの「本質的である」かつ「答えが出る」ということを考えていきます。


 まず、両方の問題の共通点として普段の病棟生活で日常的に行うことであるという点があります。車椅子は離床している時間は常に乗っていますし、食事は1日3回あります。

例えば車椅子では、
  座面が低くバックレストの背張りがたわみ過ぎている
 →大腿後面が浮いてしまい、骨盤は後傾して脊柱は屈曲位になる
 →腹部の緊張は保たれにくくバックレストに押し付ける座位になる

という現象が日常的に起こり、背部伸筋の活動が強くなってしまうということが考えられます。

そうなると
・起立で前方への重心移動が不十分になる
・起居で麻痺側肩甲帯が後退してしまう
・脊柱の可動性が低下する

などの色々なマイナス面が生じるため、非常に大きな問題となりますよね。

 
 これを考えると、シーティングと食事の机の日常的な問題は圧倒的に影響を与える時間が長いわけですから、取り組んで解決することによって大きな成果を得ることができます。


 また、良いイシューの条件である「答えが出ること」を考えてみても取り組むべき問題であると分かります。

 ちなみにここでいう答えが出るというのは、取り組みやすく、かつすぐに解決することができるということです。


 車椅子のシーティングであれば座面や背張りの調整はすぐにできますし、食事の机では高さ調整式のテーブルにすることで解決することができます。

 反対に麻痺側上下肢の出力向上は根本的な問題であるかもしれませんが、すぐに解決できる問題ではありません。そのため取り組み始める順番としては上記に挙げた2つのほうが先になると思います。


このように普段仕事の中で取り組むべきイシューの優先順位を考えるときに良いイシューの3条件である

・本質的な選択肢である
・答えが出ること
・深い仮説がある

 を考えると頭の中が整理しやすくなるかもしれません。

 ぜひ皆さんも取り入れてみてもらえると良いと思います。


 また、もっとイシューについて詳しく知りたいという人は、安宅和人さんの「イシューからはじめよ」という本を読んでみることをオススメします。

 今回参考にしたのもこの本です。

 やや難しいかもしれないですが、本当に頭の良い安宅さんの思考に触れることができる良書なのでぜひ読んでみてください。



今回も時間を作って読んでくださりありがとうございます。
少しでも普段の仕事の役に立ち、皆さんの良い人生の手助けになれば嬉しいです。

ではまた!

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