【図解:HUNTER×HUNTER38巻感想・考察・復習】場面ごとに見る王位継承戦編&旅団vsヒソカ編
旅団絡みは前回記事参照
ハンターハンターは、一度に全てを理解するのが難しい漫画である。
難しいというか、不可能とすら思う。
なので本記事では、再開に向けて、38巻の内容の中でも近いうちにキーとなりそうなポイントを、一定範囲で切り取って、場面ごとに考察してみる。
場面ごとに見ればギリギリ理解できる気がする。
復習という意味ではややミクロな話になるので、各論ではなく全体概要を復習したい場合には、下の画像をベースに解説したこちらの記事をご覧ください。
前回の再開時に書いた記事だけど、アウトラインは変わっていないので今読んでも十分復習になるはず。
図解:復習&感想・考察【38巻を読んで】
さて、冒頭で述べたとおり、この記事では、↓この画像のうち一部ずつを切り取って、感想を述べつつ考察していきます。
切り取り前に全体を見渡すと、今のところ、画像で左右に分けたとおり、
①王位継承戦
②旅団VSヒソカ編
の2軸が中心。
これに、暗黒大陸へ向かうのがメイン目的なグループも合わせて全体で「暗黒大陸編」というのが正しいのかな。
複雑に絡み合う暗黒大陸編だが、①と②は、ごちゃごちゃに絡み合っているというほどではない。
左右を跨ぐ線の数は限られている。
そもそも行き来が禁止されている1、2層側と3〜5層側で行われているから当然といえば当然。
だが、左右を跨ぐ線である
①エイ組がツェリードニヒの私設兵との対立を皮切りに王位継承戦に乱入する
②ヒソカを追って旅団が上層にくる
③十二支んがクラピカに旅団のことを教える
これらのどれかが起きた時に状況が更にややこしくなるとともに、暗黒大陸編は佳境を迎える。
まあ、次回起きるのはせいぜい①の中でもツェリードニヒの私設兵VSエイ=イ一家の小競り合い程度だと思う。
①②③は15話先くらいに同時に起こるというのが個人的な予想。
あんまり先の話をしても仕方ないので、以下では図の中でも「次回再開に当たって押さえておくべき」ポイントについて、場面ごとに赤色で切り取って考察していく。
◆旅団(+マフィア)vsヒソカ【ヒソカ、なんでヒンリギに乗ったの?】
ヒソカを見つけたことで、マフィア2組(シュウ=ウ&シャ=ア一家)は旅団に対して交渉上優位に立った。
マフィア:ヒソカの居場所を教える
旅団:エイ=イ組(トップのモレナまで)を潰す
との交換条件なので、旅団としては、ヒソカが見つかるなら別にエイ=イ組を潰す必要はなかった。
が、ヒンリギの提案に応じたヒソカが上層のvipエリアに移動したことで、ヒソカVS旅団の直接対決は先送りになった形。
さすがに積極的にvipエリアで匿われているヒソカを情報無しで見つけるのは難しい。
エイ=イ組を潰すまでは、ヒソカ対旅団は始まらない。
…と思っているけど、クロロならその上をいく気もする。クロロはボノレノフと協力して何をするつもりなのやら。
他方、旅団潰しと、その過程を楽しみたいヒソカにとっては、ヒンリギの移動提案に乗ることに特段のメリットはない。
だけど、ヒソカは気まぐれで嘘つきな変化系(オーラ別性格診断より)。
合理性を無視して、気に入った人物に利する行為をその時の気分でするからこそ、誰もヒソカを止められない。
ヒソカがヒンリギの提案をただ断って暴れ続けるような単純な男なら、行動を読まれてとっくに死んでいる。
ヒソカが気に入りそうな言動を本音ベースで伝える立ち回りをしたヒンリギマジ有能。
作中キャラが合理的でない行動をすると「この展開おかしくない?」とつっこまれがちな昨今の風潮の中、非合理な行動が魅力を生み出すヒソカというキャラクターは、正にトリックスター。
「なんでだよ!」と「ヒソカなら仕方ねえか…」を共存させるバランス感覚は冨樫先生の真骨頂。
会話しているだけなはずなのに、ヒソカが生き生きとしているシーンを読んでいると空気がおいしいのはなんでなんでしょうね。
旅団がヒソカにたどり着くタイミングで話が大きく動くのは間違いないけど、当面旅団はエイ組とやり合う形になりそう。
それは、ノブナガ・フィンクス・フェイタン(+フランクリン?)のバトルが見られるということでもあり、望むところである。
◆オトシン軍団登場の理由【ツェリードニヒ手強い】
誰だよオトシンってと思った方。
別にオトシン一人に着目したいわけじゃないけど、マジで全員全く名前思い出せなかったからオトシン軍団と呼んでみた。
彼らは、第4王子ツェリードニヒの私設兵軍団。
394話、こいつらが画面いっぱいの文字で会話を始めて、「みんな、念とエイ=イ組にはめっちゃ気をつけようね!」って結論を出すために1話の半分を使ったことに気付いたとき、ほんとすげえ漫画だよなと思った。
ここ、単行本読むとき「うし…読むか…」ってなったからね。ジャンプ掲載時は解読諦めちゃってたから…
俺は面白いから読んでいるのか?難しい漫画を読んでいる自分に酔いたいから読んでいるのか?
いや、単行本出てからこれだけ読み返してるんだから面白いに決まってるんだけど、読み解くのに覚悟が必要な漫画ってなんかおかしくない?とは思う。
さて、なぜここで彼らにページを割いたのか考えてみる。
簡潔に言えば、ツェリードニヒの私設兵の層の厚さの強調(によるツェリの手ごわさ強調)ということになると思う。
これまでのところ、第1(ベンジャミン)、2(カミーラ)、3(チョウライ)、5(ツベッパ)、9(ハルケンブルグ)王子あたりの私設兵はそれなりに目立ち始めていた反面(図解の各王子から出ている矢印に代表的な私設兵を載せた)、ツェリの兵はテータ以外目立った活躍をしておらず、ツェリのワンマンチームに見える節があった。
HUNTER×HUNTERは、個の力で局面を打開することの限界にシビアな漫画である。
メルエムですら、人の個人武力頂点のネテロに圧勝しておきながら、種としての人類には全く及んでいなかった。
時を多少遡れようが、対象を人ではなくならせることができようが、ツェリードニヒ一人でできることなどたかが知れている。
そう考えると、今回のエピソードのラスボス感を醸し出しているツェリのチームが組織として強固であることを示すシーンはどこかで必要だった。
私設兵というのは、各王子にとって、最も信頼のおける配下。
このメンバーが、
①各自が状況を打開するための方策を「自分で」検討できるか
②検討するだけでなく、必要であれば王子に対して効果的に意見を伝えられるか
は、組織の強さとして重要なファクターである。
この1話は、オトシンらの賢さとツェリとの関係性を示し、①②を備えていることを示すのに十分なエピソードだった。
「知らなかった」が一番怖く、「あらゆる事態を想定する必要のある」念能力バトルの世界において、各自が分析を行い、その結果を共有することの意義は大きい。
分析力のある部下からは、情報に加えて積極的に意見も述べさせるのが正しい。
ちなみに
こんな感じで、トップが決断するために必要な情報として、「現場の意見」が重要であることを理解してるあたり、ツェリードニヒはかなり手強い。
結果としてこの場面では部下の意見は全部ツェリは把握してたけど、言わせることは大事。
情報だけでなく考えを話させる姿勢から、ツェリは部下に自発的な思考を求めていることがわかる。
これはツェリの部下に軒並みこの考えが浸透しているということであり、このチームを崩すのは容易ではない。
395話の冒頭で、早速オトシンらがシャ一家・シュウ一家と共闘を前提に話し合うシーンがあった。
エイ一家を警戒するオトシン軍団の判断は的確で迅速。
私設兵を1名拉致しようというこの狙いを、オトシン軍団は完全に看破している。
エイ組にオトシンらのうち一人が捕まるけど、逆にそれを利用するようなシーンが出てくるのかなと予想。
一人一人がここまで考えられる部下と、圧倒的念能力を備えつつあるトップ。
クラピカ…お前どうやってツェリードニヒに勝つんだ…?
◆継承戦①フウゲツ衰弱の理由
突如圧倒的に衰弱したフウゲツ。
最初はウショウヒ(第6王子のサレサレを暗殺したベンジャミンの私設兵)が犯人かな?と思ったが、条件を満たす日数が多分足りない。
よくよく読み返すと、カミーラの私設兵による呪いの可能性が高い。
ただ、これほどのスピードで衰弱させるには目の前で死なないといけないはずだし、↑のコマのとおり、カミーラの私設兵は前回登場時、クラピカの講習会に参加してワプル(第14王子)を狙う方針を決めていたから、まだ確定とは言い切れない。
フウゲツが焦りからあちこちにワープした結果、たまたまカミーラ私設兵の前に姿を現してしまったのかなと予想。
ただ、現状で大事なのはこの犯人より、「フウゲツに治療の必要がある」という事実。
フウゲツが呪われている(別の要因でも同じ)ことにより何が起きるかというと、センリツと周囲の王子との間で
①除念手段の提供
②センリツの演奏の利用
この2つを交換条件とした交渉が始まると思う。
フウゲツを治すには除念手段が必要。
タダで除念してもらえるはずはないが、代わりに差し出せる利益として、聞いた者全ての意識を奪えるセンリツの演奏は非常に魅力的。
既に5王子からアプローチを受けているモテモテなセンリツ。
現時点で1、3、4、5、7王子から交渉を受けており、どれかに除念師がいる可能性は高い。
センリツはこの中にフウゲツを呪った犯人がいると思っているけど、カミーラが犯人だとするとここが噛み合わないのがややこしい。
状況に対処しきれないセンリツは「クラピカに頼るしかない!」的なことを言ってたけど、クラピカにかかる負担が半端じゃない。
でもセンリツが状況を打開できる気がしない。
普通に考えてフウゲツの回復はもう無理やろ…
「もうやめて!クラピカのライフはゼロよ!」という自分と「クラピカさんにしかなんとかできねえ…」という自分がせめぎ合っている。
◆継承戦②ベンジャミン周り【ハルケンブルグの狙いは?】
ベンジャミンVSカミーラとベンジャミンVSハルケンブルグ。
この2つの対立は、他のグループと違い、小競り合いを超えて、司法局による介入が入っている。
(クラピカはギリギリのところで、この二組レベルの対立にならないところを保っている。)
カミーラとは膠着状態になっているが、ベンジャミンはムッセ(画像ではカミーラとベンジャミンの間にいる奴)から引き継いだ念能力(裏窓の鳥【シークレットウインドウ】)により、カミーラを常時監視可能という有利状況。
しかし、カミーラは「百万回生きた猫【ネコノナマエ】」により、殺されても復活できる。
リハンによる念能力封印をカミーラにぶつける予定がない現状では、
ベンジャミン側にカミーラを直接攻撃する術はなく、膠着状態は当面動かないだろう。
ハルケンブルグに関しては、司法局を介してハルケンと部下の隔離に成功。
次回で裁判期日を控えており、ベンジャミン側はここでの暗殺を狙っている模様。
ハルケンも無策ではないだろうし、この二者の裁判は次回の注目ポイント。
ところで、ハルケンブルグは、自分の能力の解明にこだわっていた。
恐らく、能力の真価によっては、直接に近い形で他の王子の生命を奪えるからだと思う。
王位継承戦では、王子が直接別の王子を手にかけることは禁止されている。
しかし、ハルケンの能力は「相手の意識を乗っ取る」という効果に留まる。
乗っ取られた相手にはハルケン配下の兵の意識が入り込むのであり、この配下によって自殺させた結果対象が確定的に死ぬのであれば、これは直接攻撃ではない。
ひたすら他の王子を順番に攻撃して自殺させればゲームクリア。
「あらゆる防御を無視し」というくらいだから、対象設定されてしまえば回避は不可能。
恐ろしい能力。
以前シカクを乗っ取ったスミドリに自殺させ、意識を取り戻したスミドリに所属と認識番号を聞いていたのはここの確認のため。
もしこのときにスミドリの中にスミドリの意識が戻っていたのであれば、実験成功。
逆にここでスミドリの中にシカクの意識があった場合、乗っ取って自殺させても、部下の魂を失い部下の肉体に対象の魂が入るだけの使い勝手の悪い能力ということになる。
大丈夫か?この文章、書いた俺しか理解できない文章になってないか?
ハルケンが行動を止めていないことと、ベンジャミンにシカクの能力が引き継がれたことから、ハルケンの能力は狙い通りのものだったんだろう。
(ハルケン視点では、「シカクの魂は別のどこかに移動しただけで死んでない」の可能性は排除できていないが、まだ描写されていない何らかの根拠があってのことだと思う。)
ハルケンの能力ならカミーラも能力発動させずに倒せるんじゃないの?ツェリが時を遡ろうとしても、対象設定された時点で回避不可能なんじゃいの?
こいつやべえって。
◆継承戦③クラピカVSツベッパ【講習会の行方】
すみません、図解上、本当はクラピカを中心として【クラピカによる念能力講習会】という大事な関係図ができるはずなのですが、画像に盛り込めませんでした。
講習会だけで一枚できちゃうんだもん…
さて、38巻の最後の爆弾発言
ロンギ(画像右側)はツベッパの私設兵。
この発言が爆弾発言な理由は2点。
シンプルに
「お前念能力使えるんかい!」
というのが一点目。
ツベッパは念能力の情報を一切持っていないから講習に参加したはずなのに。
継承戦開始当時ならいざ知らず、現時点でツベッパにそれを言っていないのは普通に背信行為。
実は裏目的があるのか…?
しかし、それ以上に、読者視点では
「お前が暗殺者かい!」
という二点目が大きい。
クラピカの念講習会の場では、次々に人が死んでいる。
中にはオイト側の私設兵もいる。
この犯人(暗殺者)が割り出せないことから講習会は度々不穏な空気に包まれた。
暗殺者探しは若干ミステリー要素も含みつつあったように思う。
そんな中、経緯は省くが、ヒュリコフは、この部屋にいる隠れ念能力の最後の一人が暗殺者と推理している。
すると今回最後に明らかになったロンギが暗殺者ということになる。
部屋の外から能力発動してるとかまで考えると確定ではないけれど、ストレートに読むならロンギが暗殺者。
休載直前にこれが明らかになるのもヤバいし、読者の何割かはこのネタばらしがネタばらしだということに気付くことすらできないのもヤバい。
え、気づいてなかったの俺だけじゃないよね?
こいつにはクラピカ(ワプル・オイト)側の配下もやられているわけで、おいそれと協力できる相手ではないはず。
しかし、「ここまでの話を聞いて」という発言から、まだ明かされていない真意がある可能性は高い。
筋が通った協力要請ならクラピカは理を取るだろう。
第6王子(サレサレ)殺害の際に側にいたリハンが今はツベッパを監視しているという情報はクラピカにとっても利用価値があるし、上位王子との連携にはそれだけで価値がある。
次回、カミーラ側からも参加者が追加され、暗殺者も明らかになっている状態での念能力講習会の場が舞台の中心の一つとなる可能性は高い。
ロンギの語る真意と、人間の処理能力を超えた情報を押し付けられるクラピカの立ち回りに注目である。
◆まとめ
個人的に考える、再開に向けた予習・復習はここまで。
しかし、これで連載再開時に扱われる可能性のあるシーンを網羅できたかというとそうとは限らないのが恐ろしい。
話の軸が無軌道であることは以前語ったとおりであり、次にどの場面から始まってもおかしくない。
突然ヨロズヤを利用して船に乗り込むジンのシーンから始まる可能性だってある。
エイ=イ組の言う「器官」の話の詳細だって分からない。
36巻で旅団がパーティーを始めて興奮した後、37巻で一度も登場しなかったことを忘れてはならない。
そういや守護霊獣の腹の中にいるビスケのこととか忘れてたわ…
それでも、今回記事を書くことで、全部のシーンに意味があるということはおぼろげながら見えてきたし、冨樫先生の化け物っぷりも改めて認識できた。
同じチームの中ですら複数の思惑がうごめく集団戦を、この人数で行わせるということを行っているのが、同じ人間だということが信じられない。
そしてあまり触れられることがない点だが、私設兵の一人一人に至るまで、描き分けがなされていることも恐ろしい(誰が誰だか分からないのはこちらの脳みその問題であり、見た目で混同してしまうことはほぼない)。
いずれにせよ、この記事を書いたことで、改めて再開が楽しみになりました。
おもしれーよハンターハンター。
ファンの想いが一つになることで冨樫先生の腰が治る能力発現しないかな…などと祈りつつ筆を置きたいと思います。
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