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すごいスマホ第1話の感想、考察~ネーミングセンスの是非~(WJ23)

第4話まで進んだすごいスマホ。
第5話を控えた今でも目立っているのはそのタイトルのネーミングセンス。
すごいスマホて。とりあえず読んじゃうよね。実際、連載開始当時は、内容だけでなくタイトルそのものでも話題になっていた。
そういう意味では間違いなく成功したタイトルである。それでは、「グーググ」など、他にも目立つネーミングセンスはどうだったか。一話を振り返った後で、タイトルも含めネーミングについて考える。

第1話 雑感

あらすじ

第一話のサブタイトルまで「すごいスマホ」。このフレーズへの作者の自信が溢れている。
主人公Qは天才。弟が神隠しにあったことで、どんなに賢くても役に立たないことに絶望し、学業含めやる気なし。
物でもデータでも、情報として記載、入力されているものは何でも検索できるのがすごいスマホ、略してすマホ。
すマホの能力が本物であることを確信したQが、弟の神隠しの真相とすマホの正体を探る物語。

評価点


ストーリーを追っていくだけでこれらの情報が頭にすんなり入ってくる構成。第一話として、説明、謎、キャラ、盛り上がり、全て高水準。
特に、無気力なQが、街を走り回りながらすマホが本物であることの確信を深めていくシーンと、誘拐犯を突き止めるのみならず現地に確認に向かうシーン。能力解説とQがただの無気力人間じゃないことの説明を、臨場感ある展開の中で兼ねており、面白いのにいつのまにか設定説明が終わっている理想的な展開。
ポイントシステムや、検索不可対象までチラ見せすることで、このすマホ、今後どう使うの?と強く興味を惹かれ、次週以降を楽しみにさせてくれる。

惜しい点


唯一惜しかったなあと思うのが、台詞のハッタリ。「本当のこと 全部はっきりさせてやる」のコマで、「新世界の神になる」レベルのインパクトを残せれば更に話題になれたなあと。キャラを壊さない文脈で「俺が全知になる」くらい言わせても良かったんじゃないだろうか。

ネーミングセンス

さて、本題のネーミングセンス。せっかくなので5点満点で評価してみる。

すごいスマホ(★★★★★)

そもそも漫画のタイトルなど、基本的には何でも良いと思っている。タイトルに面白さは関係ない。「ブリーチ」は名作だが、タイトルに何か惹かれるものがあるかというと、そんなことはない(本当はオサレな由来があるのだが、タイトルのみから読み取れるものではない。)。
だが、第1話を読んでもらえるかどうかという点においてタイトルは重要である。そして、ジャンプの、読者のアンケートにより打ち切りが決まるというシステムの中では、第1話を読んでもらえるか否かの差は大きい。読んでもらえなければ内容勝負に持ち込めないのだから。
「普通のスマホよりすごいものが活躍する話」だろうと内容が想像しやすく、「どうすごいの?」という好奇心から読みたくなってしまい、そしてちょっとダサい(いい意味で)から、話題になる。これ以上に読んでもらいやすいタイトルはそうそうない。
文句無しの満点である。

すマホ(★★★☆☆)


すごいスマホの略称。仕方ない。仕方ないんだけど、音の上ではただのスマホと同じなんだよなあ。
感想を話すときに、「デスノートのさあ」と話せば伝わることと、「すごいスマホのすマホのさあ」と言わなければ伝わらないこととの差がもどかしい。
特に代案が思いつくわけでもないし、そもそも略さなくてもいい程度の長さだから、些細な差ではあるが、「すごいスマホ」のすごさに比べると平凡かなあというところで、3点。

グーググ(★★★★☆)

何がすごいって検索機能がすごいのねって一瞬で分かる名前。これも素晴らしい。声に出したくなる音の感じもいいし、ちょっとダサい感じがいいのは「すごいスマホ」と同様。
「ググる」と言おうとすると、現実とかぶってしまうので減点。「すマホ」ほどは弊害が大きくないので減点は1点として4点。

探来田 究(★★★★★)


「さぐらだ きゅう」。主人公の名前。
探来田。検索要素を交えつつ、音としては現実にありそうな響き。しかし実在しない(多分。少なくとも検索したところ、すごいスマホ以外ではこの3文字の並びは出てこなかった。)。良く思いつくなあ。
究。検索によって真実を追究しようとする要素、無気力に見える主人公の本質は、万能と信じた科学を究めようとしていたというところにあるという要素が、一文字で表現されている。
姓、名のいずれも、この漫画の主人公としてこれ以上ないネーミング。満点。

Q(★★☆☆☆)
「きゅー」。探来田究のあだ名。
すマホと同じでね…。究と音が同じでね…。
というのは冗談で、これについては音が同じことの弊害は別にない。
ただ、Qより究のほうがかっこよくない?と思ってしまう。通常は究で呼んでよかったんじゃないかなあ。感想書くときも、どっちかというと究で書きたくなるんだけど、これは感じ方次第か。
デスノートにおける「キラ」のように、相手から呼ばれるときのコードネームくらいの位置付けのほうが良かったのでは?と思うので2点。

君(★☆☆☆☆)

「きみ」。究のすマホに究がつけた名前。
いや、これはどうなん?究の面倒くさがりという一面を出すことで、ふだんの無気力さと本気の熱さを対比させたいのは分かる。
でも、これ今後活用されることあるかなあ…そりゃ究はきみって呼ぶんだろうけど、感想を書く身としては、「究のすマホが…」と書かざるを得ない。
「今回君の秘密が明らかになったが」などと書いた日には、何?読者に向けてるの?気持ち悪い!となること請け合いである。
今後改名もありそうな気はしているが、このままだとすれば…という前提で1点。

まとめ


総合的に見れば、タイトルと主人公が両方満点な時点で、ネーミングセンスはばっちりだと思っている。Qについては自分が少数派かもしれないし、君については改名の可能性もある。全一郎さんや結歌など、究以外のキャラの名前もいいし。
いずれにせよ、今後はネーミングではなく内容勝負。自我を前面に出しつつある究のスマホが自分への命名に文句を言うのかも含め、どんな方向に話が進むのか楽しみにしたいと思う。

他の感想はこちら

第3話
第4話



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