魔々勇々第1話「勇者になった日」感想 (ジャンプ41号)

◆はじめに

この感想は、正に連載開始当時、今後への期待という思いで書いたものであり、第1話、ひいては魔々勇々の魅力についてしっかり語った記事が読みたければ、ぜひ以下の2記事を読んでいただけると嬉しいです。
いずれも作品についてある程度長い目で見た紹介記事ですが、第1話の内容にもしっかり触れています。

・1巻の内容までの総合レビュー

・第16話までの内容で魅力について全力語り

第2話感想はこちら

記事紹介は以上です。ここから先は、公開当時から内容をいじっていません。

タイトルロゴとそれぞれの紋章がリンクされているのがおしゃれ。
すごいスマホ以来の感想を書きたくなる新連載。
期待感と共に思いつくままに感想を。

良かった点

・勇者と魔王

「勇者」「魔王」という言葉が好きなので、どんなになろう系で使い潰されようとも勇者がテーマの時点でどうしても心が躍ってしまう。
「守るのが勇者」という王道キャラのコルレオと、母を前面に出しつつも格は高そうな魔王マママのまだ謎に包まれたキャラクターのバランスがいい感じ。

ジャンプ本誌のストーリー漫画で勇者を扱うのはダイの大冒険以来では?
ギャグ漫画だけどぼくのわたしの勇者学も面白かったなあ。

・世界観・謎の多さ

ファンタジー系の漫画の面白さは、どれだけ広い世界を感じられるかと、どれだけ謎に包まれているかの2点の比重がでかいと思う。
この点でいえば、複数の世界を行き来できるという世界の広さは無限大。
後述するように第一話にもかかわらずかなりたくさんの、かつ気になる謎が提示されている。
コルレオの鼻血に何も説明がなかったり、「この世界の魔紋を利用したか」あたりの情報開示の加減がちょうどいい。
第一話の期待感としては満点である。

・展開のわかりやすさ

設定盛り盛りなのに話の筋はしっかり見える。
人間と魔人が共生し始めて間もない世界、魔王が勇者を育て、魔王と勇者の存在意義が揺らぐ。世界は複数存在し、一つの世界に魔王と勇者は一対。
これをナレーション量最低限で紹介しつつ勇者二人の葛藤から昇華まで1話で書ききったネーム力は凄まじい。
設定紹介に終始したり、逆に風呂敷はでかい割に小物とのバトルが長い…みたいな失敗はしなそうな安心感がある。

・画力

ファンタジー漫画の見せ場に画力は必須。今作のテーマからすればかっこいい勇者と魔王の活躍は迫力のある絵で絶対に見たいところ。
これについても、新人と思えないほど図抜けている。エンドの不気味なデザインは現連載陣の中でもトップクラスだったのでは。
マママも個人的にはかなり好き。表紙のようなはっちゃけは見られるのか否か。

・今後への期待感

タイトルから順当に考えれば、複数の世界の勇者と魔王が出てくる話になるのかな。
この画力でいろんな勇者と魔王が見られるならそれだけでも十分楽しめると思う。

作者の林先生の読み切りを見る限り、キャラの関係性でドラマを作るのがすごくうまいと思った。台詞のハッタリの効かせ方もすごく好み。「いや、そうなるかな…?」という展開を力づくで納得させてしまうパワーがある。
今のところ「守る」勇者というだけではコルレオのキャラが物足りないというのが正直なところ。
だが、設定の面白さに、「へのへのもへじと棒人間とパンツ」のような台詞の熱さがのってくれば看板を張れるポテンシャルがあると思っている。

気になる謎をピックアップ。どれがどのタイミングで明らかになるのか楽しみ。

・魔王と勇者

メイン部分。めっちゃ気になる。
今のところ説明はないが、魔王と勇者が双方の存亡にとって重要な存在なのは間違いない。
死んだ瞬間、後継者に紋章が発現するようだけど、それって争いが絶対終わらないよね。

和平したとしても、人間と魔人はそれまでは争っていた同士。
人間目線、常識的に考えればさすがに魔王に勇者を預けない。
同い年なら分かる。何も知らない勇者と魔王が互いを大切にするように育てば、再び争いが起きる火種を初めから消せる。
でも、マママは38歳。和睦を結んだ当事者であろうし、無垢な赤ん坊に刷り込むのとは訳が違う。やろうと思えば和睦当時20歳だったマママが政治的にコルレオを利用もできるわけで。
…これが実験的な試みで、うまくいかなければコルレオを切り捨てる前提とかじゃないよね?死亡と同時に次の勇者が生まれるとすれば、倫理観抜きにすれば勇者は切り捨て可能ではあるが。

・人間と魔人

魔物とか魔族じゃなくて「魔人」というのが珍しい。
1話を見る限りでは、そもそもが角の有無程度の違いしかなさそう。
エンドの造形はそこからかけ離れていること、共生を始めたとはいえ、人間と魔人が同じ生活態様に馴染みすぎていることなど、種族自体もどういう成り立ちなのかかなり気になる。

・社会制度

軍役やら魔勇博物館やら紋章術に対応しない牢屋やら、社会の成り立ちも面白そう。極端に平和なムードの裏に何が隠れているのか。


などと書いているうちに明日はもう第2話。
マママの掘り下げに期待したい。

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