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ギターと14歳。48歳とギター。

自己紹介:妻の海外赴任を機に福祉施設の施設長を退職し、持ち家も処分。当時13歳の娘と家族3人で2023年夏に日本を出てオーストラリアに移住の48歳。現在子育てと家事全般を行う完全専業主夫。ワーホリのタグ付けをしているが、ワーホリではなく働く予定も特になし。一応、社会福祉士だが外国ではなんの意味もない。吉本芸人チャド・マレーンがオーストラリアを「ラリア」と呼ぶことに感銘を受け、そのまま使用する。


今週で今の学校を卒業する娘14歳。最終日の金曜日には卒業Assemblyでギターを弾いて歌うんですって。んで明日はそのリハーサルのためにギターを持っていくということでせっせと準備をしている。

記念にギターの後ろにみんなにマジックで寄せ書きして貰えば?と俺がいうと「いいの?そんなことしていいの?」とびっくりしてる。

いいよ、それはもうパァパがお前にあげたギターなんだからお前の好きにしたらいいよ。

「もったいなくない?これ、なんだっけ?Yairi Guitarっていう高いやつでしょ?」

いいよ、お前にあげたんだから。・・・もったいないかどうかはお前が決めることだよ。・・・そのギターはお前のスペシャルなんだろ?そのスペシャルに、お前の大好きな友達に言葉を書いてもらうこと、それがもったいないことなんてパァパは全く思わないよ?スペシャルなギターにスペシャルな友達からの言葉。それ以上のスペシャルはないと思うんだけど(´∀`)

そんなことを言うとポロリと涙を流した14歳。一言「さみしい」と(´∀`)

「グスッ、パァパもさ、グスッグスッ、自分のギターに、グスッ、なんか書いた?マジックで。グスッ」

パァパもギターに書いたか?って?



フェンダー・テレキャスター。


1991年。高校時代、友人の家で授業サボって昼間っから酒を飲む。

立てかけてあったギターをペンペペン。

これ、いいね。

「そう?持って行っていいよ」

え、嘘!いいの?

てことで俺の手に。

以来30余年。

それ以前は誰が持っていたのわからないので、こいつの年齢はわからない。

でも、俺のとこに来て30年。

昔のどの写真見てもこのギターが写ってるな。

もちろん譲り受けた当時は大きな傷もなく、ボリュームノブもスイッチもちゃんと付いていたけど、今は全部、何処かへ行っちゃった。塗装もハゲて。

何度もステージに叩きつけられ、しこたまビールを浴び、客席に投げ込まれて、まともなメンテナンスなんて一回もしてあげたことない。

でも、いつもちゃんと鳴ってくれるんだよね。

他の人に言わせれば、バランス悪いとか、ネックが曲がっているとか、セッティングがむちゃくちゃとかあると思う。

でも俺にはこれで十分。ってか、これがいい。これにしか出せない音がある。

以前、尊敬するミュージシャンに「カヅのギター、すごい音するよね。ハウッているようでちゃんとコード感あるし。剃刀みたいな音するよね」って言われてすごく嬉しかったんだよね。

ノブはないし、塗装もボロボロ、もしかするとブリッジなんかも変えないといけない状態かもしれんけど、このギターに関しては「何もしない」ってある時点から決めたの。音が鳴らなくなるまで、あるがままでいさせようって決めた。

その代わり、こいつには大きな使命を与えた。

10代の頃、若いながらもコザの町で俺はいくつかの別れを経験して。

それは未来のある別れの時も、そうではない別れの時もあり。

また会おうぜ!って抱き合った別れの、それでも残る寂しさや、突然2度と会えなくなる別れの救いようのない哀しさを全部、このギターに背負ってもらうことに決めたんだよね。

週末の閉店後のbar CHAMPSで、アイスピックか何かで彫った。正面からは見えないように背面に。

'WHEREVER YOU’RE, YOU HAVE A SPECIAL PLACE IN MY MIND."

"Sometimes, a song, a certain view, maybe a scent or a sound will remind me of you. And I’ll smile.”

当時は、俺自身これがこんなに大切な言葉になるなんて思っていなかったと思う。

でも30年以上経った今、ふとした曲や風景や匂いで、そしてこのギターを引くたびに思い出すんだよね、みんなの顔を。

そして、やっぱり微笑むの、俺(´∀`)



「ネエ、グスッ、パァパも自分のギターにマジックでなんか書いた?グスッ」

俺?書かねぇ。掘った🤣

「ぎゃははは🤣パァパらしいね。よし!私は掘らずにマジックで書いてもらおーっと!」

おうおう、たくさん書いてもらいな。一生の宝物になるよ♡


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#子育て

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