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Mid South参戦記 #1 3/11

ダラス行きの飛行機の中で、あまりに暇なので少し日記をつけることにする。日本時間で21時45分である。

起きたのは7時過ぎだった。もっとはやく起きようと思っていたが、昨夜駅前のインド料理屋でビールを呑んでいたせいか、スパッと起きることができなかった。

荷物はevocのバイクケースに収まったグラベルバイクと、日用品が入ったバックパック、あとヘルメットの入った手提げの3点である。直前にならないと入れられないものを除いて、昨日パッキングは済ませてあった。evocケースへの自転車の梱包は、若干位置決めが難しいが何度か出したり入れたりして納得できる位置に収めた。

スーツケースは持たない主義なので、自転車用品をなるべくバイクケースのすきまに配置し、バックパックがパンパンにならないようにしている。バイクケースがその分重くなってしまったが、ケースを預けるまでの辛抱だ。

出発前はのんびり本でも読んでいようと思ったが、それなりに慌ただしく時間が過ぎ、11時を回った。机の上のメモには11時40分に出るように書いてある。

消灯やら戸締まりやらを済ませ、荷物を抱えてアパートの前に立った。これから旅行に出かけるとは少し不思議な気分である。

バイクケースに右手をかけて少し持ち上げるとかなり重く感じる。背負えるタイプではないので持ち上げるしかないし、両手を使うとケースが体にくっつきすぎてうまく動けない。

1ブロック分ひいひい言いながら歩いて、少しポジションのコツをつかむ。このケースは後ろ側にローラーがついているのだが、このローラーに荷重をかけてラクをするには、前をなるべく上に持ち上げたほうがいいのだ。よく見ると前側の下の方にも頑丈な持ち手がついている。この持ち手を右手ないし左手で持ち、持ち手を腰のあたりでキープするとまあまあバランスよく転がせるようになった。ケースの前側が30度くらい持ち上がるイメージだ。これでもまだ重いことには重くて、時折り腕を休めながら、なんとか最寄駅にたどり着く。漕がない自転車はマジでデッドウェイト。

二子玉川の駅で降り、羽田空港行きのバス乗り場へ。楽天クリムゾンハウスの真横である。自分が一番乗りのようで、しばらくするとバスが来た。乗れるのは出発の10分前からということで、いったん待合室に退避。

時間になったのでバスへ。バイクケースをバスのトランクに収納する。ケースを立てた状態で縦寸法がぽぽピッタリだった。ラッキー。

ウトウトしながら羽田空港第三ターミナルへ。今回は行きが羽田で、帰りが成田。羽田はやはり近くて便利だ。バイクケースを抱えて電車の乗り降りをするのはかなりしんどい。その点バスは一度乗ってしまえばケースを転がす必要がないのがかなりラクである。

どうやら空港に早く着き過ぎてしまったようで、お目当ての航空会社のカウンターはまだ開いていなかった。1時間くらい暇をつぶさなくてはならない。

少しウロウロした結果、昼飯を食べることにした。バスに乗る前に小さな蒸しパンとエナジーゼリーを飲んだだけだから、食べ直してもよかろう。某牛丼チェーンでテイクアウトしてフードコート的なエリアでランチ休憩と相成る。

いい感じに時間も過ぎてそろそろカウンター開くだろうという15時前後、再びチェックインカウンターへ。すでに列が形成されているが、まあまあの位置で並べた。今回はチケットはアプリで発券してあるから、その分の手続きは省略できた。地味に便利。

さて、自分の番が来てケースをコンベヤの上に載せる。23.9キロだったと思う。若干オーバーウェイトな気もしたが、特に超過は取られなかった。グッドだ。ここで色々交渉するかもとちょっと力んでいたので、少し肩の荷がおりた。ダラスで再度税関を通さねばならないらしいが、いったん料金はそのままで大丈夫であろう。

手荷物検査へ向かう。心配していたのは、液体(チェーン用の潤滑油)とカメラのフィルムである。潤滑油は、前の晩に100均で買ったチャックつき袋に、軟膏と目薬とともに収納。特にお咎めなし。フィルムは、係の人に言ったらX線検査から分けて目視で見てくれた。フィルムを持ち込む人はどうぞご参考に。

晴れて出発前エリアに移る。まだフライトまで2時間くらいあった。最後のタスクとして、外貨両替がある。ダラスでは外貨両替ないらしいので、ここが最後のチャンス。出発前エリアの3軒を全て回り、換金率を確認。もちろん円からドルが一番安いところに決める(1ドルを手に入れるために必要な円の量が安いところという意味ね)。とはいえ2万5千円が167ドルにしかならない。日本もだいぶ黄昏ている。

トイレで貴重品袋と財布にそれぞれ札を分ける。基本財布に額面の少ない札を入れる。貴重品袋は非常用のストックだ。大体80ドルずつくらいになった。もちろんホテルなどの費用はこれでは足りないので、あくまで現金オンリーの店などで使う用のキャッシュ。

カフェでコーヒーを買ってベンチで少しくつろぐ。途中で搭乗口が1階なことに気づいて移動。まだ最初のグループの搭乗が始まったばかりだった。自分は電子チケをよく見ると第7グループ。そこまで待たずに結局呼ばれる。

離陸するまでけっこうかかったが、まあ飛行機とはそういうものなのだろう。離陸後わりと早く夕食が出てきた。サラダを廊下にぶちまけてしまうアクシデントを引き起こしてしまったが、幸いドレッシングがかかっていなかったのであちこち汚さずに事なきを得た。

そして今太平洋のど真ん中。ひたすら暗闇の中を飛行機は進む。

しばらく気分がすぐれなかったが、眠気ももたげてきて、ウトウトし始めた。本土にさしかかってからも意外と長い。航路をみると北東の方角から斜めに上陸?するので、テキサスまでまだけっこう距離があるのだ

空が紫色から青空へと変わり、もはや何時なのか時間感覚も怪しくなる。ダラスに着くのは夕方のはずだが、外はまるで朝みたいである。

2度目の食事が日本時間の朝4時ごろ(Wi-Fiにつないでないから日本時間のまま)サーブされた。無難にパンケーキを食べる。生まれてはじめてパンケーキを箸で食べた。スペースの節約である。

ダラスに無事着陸。トイレに行ってから税関に並ぶ。Foreign Nationals向けの列はカオス感がただよい、ちょっとビビる。まあ、髪の毛が緑色なのは自分だけだったが。係員とのやりとりもスムーズに進み、荷物受け取りカウンターへ。あれ、パスポートにスタンプ押してもらってないけど、いいのかしら。
※最近は入国スタンプを電子化してるようです

自分のバイクケースが見当たらない。係の人に聞いても床探してよとそっけない。アナウンスを何度か聞いていると、オーバーサイズはカウンターの番号が違うらしい。ホールのすみっこに行くと、ケースが立てて置いてあった。

そのまま隣のセクションへ。やはりというか、オーバーサイズの荷物のチェックインは窓口が別らしく、係員2人に呼び止められて引き返す。単にコンベヤにケースを載せるだけであっさり手続き終了。

再び列に並んで今度は普通の荷物検査。羽田と違い、トレーはなしで液体も含め、全てバッグに詰めるスタイル。例によってフィルムの所持を申し出る。実はまだ一枚も写真撮ってないのだけどね。

ダラス国際空港の出発エリアへ。まだ17時前だが、次のフライトは21時過ぎ。完全に暇人である。ここまでのフライトが長すぎて、お腹も弱っている。

(ここからがちょっとした地獄の始まりだった)

空港内のセブンイレブンでミネラルウォーターを買う。普通の600mlペットが3ドルくらいした。日本円のことまで考えるとけっこう高い。

そしてグーグルマップで空港からホテルまでのルートを見ていて気づいたのだが、ホテルまで5キロくらいあるのだ。荷物がなければまだしも、バイクケースを引きずっていくのはただの自殺行為な気がした。

スティルウォーター地域空港の公式サイトには、昼間のバス情報を除いて、交通情報が特に載っていなかった。タクシーはなさそうな雰囲気なのだ。そういえばと思い、Uberのサイトに行ってアカウント登録してみるが、肝心のルートから配車検索のところで何度やってもエラーになってしまう。電話番号の認証の関係だろうか。

Wi-Fiあるいはローミングの電波の状況も怪しく、空港をウロウロしながら、軽いパニック状態に陥った。下痢が悪化して何度もトイレに行く。

とりあえず今夜泊まるホテルに電話して窮状を訴えてみる。途中で電波が怪しくなり、3回もかけることになったが、結論ホテル側ではいかんともしがたいとのこと。こういうときの自分の英語能力はほんとにダメダメな気がする。

フライトの時間も近くなっていたから、とりあえず搭乗ゲートまでのモノレール的なものに乗り込む。

スティルウォーター行きの飛行機は国内線で廊下1つで席2列ずつのこじんまりしたやつ。グループで乗ってる人も多いから機内はどちらかというと和気藹々という雰囲気がなくもないが、ぼくはこのあとの交通手段のことで頭がいっぱいだった。

隣に座っていた若めの女性(学生?)に空港にタクシーはありますかと聞いてみた。Uberはあるけど、タクシーはたぶんあるのでは、くらいの感じで確証は得られずだった。

フライトはわりとすぐ済んで、飛行機を降りる。街灯はぽつりぽつりと見えるが、日本的には真っ暗という表現になるだろう。

荷物を受け取って外に出る。田舎のJRの駅みたいな空港である。一言でいうとなにもない。

タクシーらしき標示も皆無である。みんな迎えが来るか、Uberで去っていった。ぼくだけがバイクケースとともに夜の空港に突っ立っている。

空港はまだ開いているのでまた自動ドアをくぐった。カウンターには誰もいない。が、中の敷地から事務所に入ってくるスタッフがドアを開けて入ってきた。

街までの足を探しているが、Uberが固まって呼べなくて困っている、と話した。スタッフの男性は、なんとかしてみよう、と言って少し待つように告げた。

もう1人スタッフの人が来て、かわりにLyftを呼んでくれたうえ、寒いから中で待ちな、と言ってくれた。すごいラッキーだ。Lyftが来るまで3人で雑談。Mid Southに出るためにスティルウォーターに来たと言ったら、えらく驚いていた。レースのことは知っているが、街ぐるみというほどではないようだ。まあそうだよなあ。

Lyftの人が来たが、セダンでバイクケースは乗らないと言われてしまった。おおお。いよいよまずいと思っていたら、2人目のスタッフの人が、自分の車がトラックだから乗せてあげようと言ってくれた。感謝。

しばらく空港前で待つと、ピックアップが駐車場に来た。荷台にケースを立てて載せてもらう。クルマの右側(日本と逆だった)から乗る。

出発。道路やら景色やらのスケールが日本とは全然違う。こりゃ歩くの無理だわ。ホテルへ着いて空港スタッフの男性と別れる。本当に助かりました。

ホテルにチェックインして荷物を部屋に上げる。自転車は明日組み立てよう。初日は任務完了。おつかれさまでした。

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