「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」と、その広告主

筆者は2018年10月から、ネット広告の記録をしている。

記録したデータを分析する中で、「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」の存在に気付いた。それについてまとめる。

「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」とは?

この記事で言う「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」とは、広告の運営社情報に、全く無関係のコンビニの電話番号が使われているものだ。

「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」実例

わかりづらいと思うので、例を挙げよう。

下記のような、ちょっと怪しいネット広告を見ることがあると思う。

「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」の例
引用元:http://girl-channel.tokyo/2019/02/28/2836/?aknid=z8OR9YE4g6Urxe3z
取得日付時刻:2019年3月15日19時58分40秒

このような広告ページの一番下に、「運営者情報」へのリンクがある。

「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」運営者情報リンクの例
引用元:http://girl-channel.tokyo/2019/02/28/2836/?aknid=z8OR9YE4g6Urxe3z
取得日付時刻:2019年3月15日19時58分40秒

今回の例では、このリンク先の運営社情報は、下記のようになっていた。

「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」運営者情報の例
引用元:http://girl-channel.tokyo/%E9%81%8B%E5%96%B6%E8%80%85%E6%83%85%E5%A0%B1/
取得日付時刻:2019年3月15日19時58分40秒

この運営社情報の電話番号に、あるコンビニの実店舗の電話番号が記述されていた。

なお当然ながら、電話番号が見えてしまうとコンビニ店舗に迷惑がかかるので、上記画像では見えないように加工した。

おそらくこのコンビニ店舗には、筋違いの苦情の電話が殺到したはずだ。対応のために人件費もかかっただろう。

運営社名も嘘

また、上記画像には運営会社として「株式会社がーるちゃんねる」との記述がある。しかし、筆者が調べた限り、この名前の会社は、これまで設立されたことがない。つまり、おそらく運営会社名も嘘だということだ。

なぜ電話番号を盗用するのか?

他社の電話番号を勝手に使えば、当然ながら問題になる。この広告代理店は、なぜそのような危険を犯したのだろうか。それはおそらく、作成した広告が違法だからだ。

最初に出した画像を再掲する。

「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」の例 再掲
引用元:http://girl-channel.tokyo/2019/02/28/2836/?aknid=z8OR9YE4g6Urxe3z
取得日付時刻:2019年3月15日19時58分40秒

この画像のページは、サプリメントの広告をしている。サプリメントの広告をする際には「薬機法」という法律を守る必要がある。

薬機法では、サプリメントの広告で「飲むだけで痩せる」と表現することを禁止している。つまり、このページは違法広告だ。

違法な広告を行えば、通報される危険がある。この広告代理店は、その危険を回避するために、自社の情報を隠したと推測できる。

自社の情報を隠す手段として、全くの他人であるコンビニの電話番号を勝手に使い、会社名も偽ったのだろう。

「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」は複数あった

上記のほかにも、「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」は、いくつかあった。

運営社情報ページを載せる。

「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」運営者情報の例
引用元:http://kirari-style.com/%E9%81%8B%E5%96%B6%E8%80%85%E6%83%85%E5%A0%B1
取得日付時刻:2018年12月12日21時19分02秒
「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」運営者情報の例
引用元:http://nofake-story.tokyo/contact/
取得日付時刻:2018年11月7日14時43分21秒
「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」運営者情報の例
引用元:http://secret-beauty.tokyo/%E3%81%8A%E5%95%8F%E3%81%84%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B/
取得日付時刻:2018年11月13日21時35分34秒
「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」運営者情報の例
引用元:http://slim-cutie.com/contact/
取得日付時刻:2018年11月7日18時16分28秒
「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」運営者情報の例
引用元:https://peaceful-beauty.net/%E9%81%8B%E5%96%B6%E8%80%85%E6%83%85%E5%A0%B1
取得日付時刻:2020年2月25日4時37分19秒

なお現在は、いずれも電話番号の記述は消えているようだ。

また、それぞれの会社名は、やはりいずれも虚偽であるようだ。

商品のメーカーについて

サプリメント等のインターネット通販では、メーカーが広告を行う場合、広告代理店に依頼することが多い。

被害者か加害者か、わかりづらい構造

上記の「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」は、おそらくサプリメントのメーカー自身が作ったものではない。メーカーから依頼を受けた広告代理店が作ったものだろう。

その観点で言えば、メーカーも被害者かもしれない。

しかし、被害者だと言い訳できることを悪用し、違法な広告を放置しているメーカーもあるだろう。もしそうなら、メーカーも断罪されるべきだろう。

消費者側から見ると、メーカーのスタンスがどちらなのかは、わからない。

消費者が身を守るためには

一方で、消費者が自分の身を守るためには、悪いのがメーカーなのか、広告代理店なのか、という点は、あまり重要ではない。

悪いのがどちらの会社であっても、違法な広告や、モラルのない広告で商品を買うことは、避けるのが無難だろう。

電話番号を盗用した広告 メーカー会社名

今回の「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」では、筆者が確認できたもので13社の商品が広告されていた。

その13社の中には、とても短い期間で広告が消えたメーカーもある。おそらくそれらのメーカーは、広告の監視をしており、不適切な表現があれば、広告代理店との契約を切っているのだろう。筆者としては、良い動きだと思う。

一方で、この「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」が長く出ていたメーカーもある。2社を挙げよう。

株式会社モイスト

まず、株式会社モイストだ。

筆者が確認した限り、この会社の「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」は、2018年11月05日から出ていた。最後に確認できたのは2019年02月22日だ。単純計算では109日間ということになる。

なお、この会社は2019年(平成31年)に消費者庁から措置命令を受けている。

消費者庁から株式会社モイストへの措置命令
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/representation_cms215_190329_01.pdf

株式会社モイストの主な商品は「雑穀麹の生酵素」であるようだ。上記の措置命令でも名前が挙がっていた。

雑穀麹の生酵素 画像
引用元:http://girl-channel.tokyo/2018/09/07/1088/?id=4fn2c5s6
取得日付時刻:2018年11月11日20時06分35秒

株式会社ヘルスアップ

もう1社は、株式会社ヘルスアップだ。自然派研究所というサイトでサプリメント等を販売している。

筆者が確認した限り、この会社の「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」は、2018年11月02日から出ていた。最後に確認できたのは2020年02月25日だ。単純計算では480日間ということになる。

わざわざネットで買う必要は無い

ネット広告は、ひどい状態になっている。この記事の例は、多数ある問題点のひとつに過ぎない。

消費者が自分の身を守るためには、なるべくネット通販を使わず、近所のドラッグストアで買い物をしたほうが良いだろう。

以上


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