「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」と、その広告主
筆者は2018年10月から、ネット広告の記録をしている。
記録したデータを分析する中で、「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」の存在に気付いた。それについてまとめる。
「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」とは?
この記事で言う「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」とは、広告の運営社情報に、全く無関係のコンビニの電話番号が使われているものだ。
「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」実例
わかりづらいと思うので、例を挙げよう。
下記のような、ちょっと怪しいネット広告を見ることがあると思う。
このような広告ページの一番下に、「運営者情報」へのリンクがある。
今回の例では、このリンク先の運営社情報は、下記のようになっていた。
この運営社情報の電話番号に、あるコンビニの実店舗の電話番号が記述されていた。
なお当然ながら、電話番号が見えてしまうとコンビニ店舗に迷惑がかかるので、上記画像では見えないように加工した。
おそらくこのコンビニ店舗には、筋違いの苦情の電話が殺到したはずだ。対応のために人件費もかかっただろう。
運営社名も嘘
また、上記画像には運営会社として「株式会社がーるちゃんねる」との記述がある。しかし、筆者が調べた限り、この名前の会社は、これまで設立されたことがない。つまり、おそらく運営会社名も嘘だということだ。
なぜ電話番号を盗用するのか?
他社の電話番号を勝手に使えば、当然ながら問題になる。この広告代理店は、なぜそのような危険を犯したのだろうか。それはおそらく、作成した広告が違法だからだ。
最初に出した画像を再掲する。
この画像のページは、サプリメントの広告をしている。サプリメントの広告をする際には「薬機法」という法律を守る必要がある。
薬機法では、サプリメントの広告で「飲むだけで痩せる」と表現することを禁止している。つまり、このページは違法広告だ。
違法な広告を行えば、通報される危険がある。この広告代理店は、その危険を回避するために、自社の情報を隠したと推測できる。
自社の情報を隠す手段として、全くの他人であるコンビニの電話番号を勝手に使い、会社名も偽ったのだろう。
「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」は複数あった
上記のほかにも、「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」は、いくつかあった。
運営社情報ページを載せる。
なお現在は、いずれも電話番号の記述は消えているようだ。
また、それぞれの会社名は、やはりいずれも虚偽であるようだ。
商品のメーカーについて
サプリメント等のインターネット通販では、メーカーが広告を行う場合、広告代理店に依頼することが多い。
被害者か加害者か、わかりづらい構造
上記の「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」は、おそらくサプリメントのメーカー自身が作ったものではない。メーカーから依頼を受けた広告代理店が作ったものだろう。
その観点で言えば、メーカーも被害者かもしれない。
しかし、被害者だと言い訳できることを悪用し、違法な広告を放置しているメーカーもあるだろう。もしそうなら、メーカーも断罪されるべきだろう。
消費者側から見ると、メーカーのスタンスがどちらなのかは、わからない。
消費者が身を守るためには
一方で、消費者が自分の身を守るためには、悪いのがメーカーなのか、広告代理店なのか、という点は、あまり重要ではない。
悪いのがどちらの会社であっても、違法な広告や、モラルのない広告で商品を買うことは、避けるのが無難だろう。
電話番号を盗用した広告 メーカー会社名
今回の「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」では、筆者が確認できたもので13社の商品が広告されていた。
その13社の中には、とても短い期間で広告が消えたメーカーもある。おそらくそれらのメーカーは、広告の監視をしており、不適切な表現があれば、広告代理店との契約を切っているのだろう。筆者としては、良い動きだと思う。
一方で、この「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」が長く出ていたメーカーもある。2社を挙げよう。
株式会社モイスト
まず、株式会社モイストだ。
筆者が確認した限り、この会社の「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」は、2018年11月05日から出ていた。最後に確認できたのは2019年02月22日だ。単純計算では109日間ということになる。
なお、この会社は2019年(平成31年)に消費者庁から措置命令を受けている。
株式会社モイストの主な商品は「雑穀麹の生酵素」であるようだ。上記の措置命令でも名前が挙がっていた。
株式会社ヘルスアップ
もう1社は、株式会社ヘルスアップだ。自然派研究所というサイトでサプリメント等を販売している。
筆者が確認した限り、この会社の「コンビニの電話番号を盗用したネット広告」は、2018年11月02日から出ていた。最後に確認できたのは2020年02月25日だ。単純計算では480日間ということになる。
わざわざネットで買う必要は無い
ネット広告は、ひどい状態になっている。この記事の例は、多数ある問題点のひとつに過ぎない。
消費者が自分の身を守るためには、なるべくネット通販を使わず、近所のドラッグストアで買い物をしたほうが良いだろう。
以上
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