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ベンチャー2年目 未経験のプロジェクト


未経験のプロジェクト

前回の失敗プロジェクトから傷が癒えるか癒えない時に、当時の上司から次のプロジェクトの話しがきました。大手企業へのITSMツールの導入PMのオファーでした。
当時のわたしは、前職含めて、コンタクトセンター関連の案件に10年以上従事していたので、もちろんITSMツールの導入は、未経験です。若干の不安はありましたら、せっかく転職したので、経験を広げるチャンスと考え、このプロジェクトのPMをやることにしました。
今思えば、安易な決断でしたが、後に、この経験が今後の人生に大きな影響を与えるとは、この時は何も思っていませんでした。

前職で、プロジェクトマネージャーの経験は多少あったので、全体の計画を作成し、顧客と合意し、プロジェクトの開始です。最初の壁は、そもそもITSMツールが何ぞやが分からなかったことです(笑)。今であれば、絶対しないことですが、顧客との定例は、頭出しのみして、あとはプロジェクトリーダー任せ。課題の内容理解もほとんどできず、プロジェクトは進んでいきます。幸い、プロジェクトの遅延はなく、要件定義は終了し、設計、開発工程に進んでいきます。とはいえ、漠然とした不安が心に残ります。。。

モチベーションと不安

不安

設計、開発フェーズは、モチベーションと不安は、半々くらいでした。
モチベーションは、今まで経験していなかったプロジェクトをマネージメントしていたこと、不安は、このままでいいのだろうかといった漠然としたものです。
開発フェーズになると、要件定義、設計時の考慮漏れが徐々に発覚し、スケジュールも遅延が発生してきます。顧客には、リカバリープランを提示する必要があり、開発メンバーと議論しますが、方向性が合わず、まとまりません。知識もなかったことで、開発メンバーのスケジュールが妥当かどうかの判断もできず、顧客には実現性を問われるといった状況でした。
この時くらいから、顧客との定例に向かう足取りが重たくなっていました。不安が大きくなります。。。

後悔

後悔

このタイミングで後悔がでてきました。

「なぜ、このプロジェクトを引き受けてしまったのか」
「このやり方で良かったんだろうか」
「なぜ、早く勉強しなかったんだろうか」

こんなことを考えるんだったら、どうすべきが考えなければいけませんが、気持ちが前に向きません。そんな時、一人のマネージャーが助けに入ってくれました。見た目は、ロン毛で性格も尖った人で、その時までまともに話したことが無かった人です。プロジェクトの状況を聞きつけて、状況整理から入ってくれました。
ロン毛のマネージャーが先ず始めたのが、開発状況の確認、マスタースケジュールの確認、WBSの進捗確認、開発メンバーへのヒアリングです。それぞれから出た情報をロジカルに分析し、課題整理を進めていきます。目の前で進んでいくことが、まさに目から鱗です。
見る見るうちに、状況が可視化され、できることろ、できないところが分かります。その上で、できない部分をどうするかの議論が開始され、役割分担が決まっていきます。
「ああ、これがプロジェクトマネージメントなんだ・・・」
と分かりました。
その結果、私の役割が決まりました。
顧客との要件定義時に無かった、追加要件について、追加のコストと、スケジュールを交渉することです。


100万円の重さ

100万円

追加コストは、100万円です。スケジュールは、1か月後。
これを交渉する必要があります。
顧客側の担当者とは、信頼関係が構築できていなかったため、この交渉ができるかどうかの自信はありませんでした。ただ、ロン毛のマネージャーにやると言っていましたし、何より、開発メンバーもかかえていたので、後戻りはできません。この交渉をすることしか、前に進む道がありませんでした。
前職では、営業が交渉もしてくれて、「100万円追加で必要です」とか平気で要望していましたが、いざ自分が交渉するとなると、これほど大変だとは思いませんでした。立場が変わると気持ちも変わります・・・

いろいろ考えている時間もないので、担当者に連絡を入れ、アポを取ります。そして、一人で交渉に向かいます。足取りは重たかったですが、やることも明確になっていたので、覚悟は決めていました。
そして打ち合わせで、現在の状況を伝え、追加要件、追加コスト、かかるスケジュールを伝えます。内心は、ドキドキでしたが、ゆっくり冷静に伝えることができました。
そして、顧客の回答を待ちます。
そして、「まあ、仕方ないね。予算捻出するよ」と言ってくれました。
心の中では、めちゃめちゃ、ほっとしてます。
生きた心地がしました(笑)

そして、オフィスに戻り、ロン毛マネージャーに報告です。
「良かったね」
あっさりでしたが、まさに、良かったです。
その後、いろいろありましたが、無事に納品し、運用開始しました。

その後、1年くらい保守フェーズでもお世話になり、後任に交代しました。
いろいろ勉強になった案件です。


学んだとこ

今回のプロジェクトで学んだことは、以下です。

1.プロジェクトマネージャーの役割
2.プロジェクトマネージメントの大切さ
3.顧客との交渉

1のプロジェクトマネージャーの役割は、過去の案件で何となくPMやっていましたが、それは、知っている人たちが周りで、サポートしてくれていたから成り立っていた役割でした。
顧客が変わっても、案件が変わっても、環境が変わっても、同じパフォーマンスが発揮でき、プロジェクトを完遂するのがプロジェクトマネージャーの役割でした。

2つ目のプロジェクトマネージメントは、PMの意思決定、交渉、メンバーコントロールによって、案件が上手くいくことも、失敗することもありえることです。案件を理解し、計画し、実行し、問題、課題管理、軌道修正など、これらのスキルを身に付けていく必要があります。

3つ目は、顧客との交渉です。前職では、数億円の見積りとか作ってましたが、100万円の追加コストを交渉するのも甘く見てはいけません。しっかり顧客と向き合って交渉することが必要です。

最後に、
この案件は、炎上と呼ばれるところまでは、いきませんでした。
ロン毛のマネージャーと、メンバー、顧客にも救われました。
自身のスキル、経験の無さを再認識できたことが、大きな成果です。

サービス化・・・ほど遠いよ・・・と思った、ベンチャー2年目です。。。

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