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留学・英会話は無駄!?第二言語習得論に基づく英語の効果的な学び方

  英語力を伸ばそうと思ったとき、多くの方が「留学」や「英会話教室」といった方法を選びます。しかし、驚かれるかもしれませんが、純粋な語学力の向上という観点からいうと、留学や英会話は非常に効率の悪い方法です。

 スポーツの上達にたとえましょう。

 サッカーの初心者が、基礎が身についていないうちに試合に出続けても一向に上手くならないというのは直感的に理解できると思います。
 ボールの蹴りかた、止めかた、ドリブルのしかた、下半身や体幹の筋力など、基礎となる1つ1つの技術を磨いた上で試合に出ることで、はじめて効率的に上達します。逆に、こうした基礎が備わってない状態で試合に出ても、試合の中でほとんど何もできないまま終わってしまい、試合の中で成長することも望めません。

 同様に、留学や英会話教室というのは、いきなり実践の場に放り込まれて英語でやりとりすることを強いられる環境です。パスやドリブルもまともにできない状態でサッカーの試合に放り込まれるのと同じで、まともに聞けない・話せない状態で実践の場に行っても、ただ「何もできなかった…」と絶望する間に貴重な時間が過ぎ去っていきます。 

 英語を伸ばすために本当に必要なのは、留学や英会話のような実践の場ではなく、英語力の基礎を効率的に築くための「効果的な自主学習」なのです。

「どうしたら英語が伸びるのか」に対する科学の答え

「自主学習が英語習得の鍵」というのは、科学的に導き出された結論です。

「人はどのように外国語を習得するのか」ということを研究する「第二言語習得論」という学問分野があります。そこでは、「人はインプットを理解することによって言語を習得する」というのが定説になっています。インプット、つまり読む・聞くなどの活動で正しい英語に何度も触れ、理解することによって上達するという主張です。(*1)

 逆に、インプットが不十分なまま無理にアウトプットの練習をしても上達は遅く、さらに不自然で崩れた英語が身についてしまうことも明らかにされています。

 実験対象者を2つのグループに分け、片方には学習開始の段階から話す活動(アウトプット)をさせ、もう片方は話す練習の開始を4週間遅らせる実験では、後者の学習者の方がスピーキング能力の向上が速かったという研究もあります。(*2) インプットが不十分な状態でひたすら話す経験を積ませても逆効果なのです。留学や英会話が非効率である理由はここにあります。

 さらに、日本語と英語の距離が遠いことも大きな理由の1つです。たとえばフランス語と英語は文法構造や語彙が似ているので、たくさんインプットを積まなくてもフランス語の語彙や文法をベースに話す訓練を重ねればある程度話せるようになってしまいます。
 

 しかし、日本語と英語は似ても似つかない言語なので、日本語のベースの上で英語のスピーキングの練習を積むのは非常に非効率になってしまいます。


 頭の中に存在しないものを話すことはできません。自分の気分や体調を伝える表現を知らないのに"How's it going?"と訊かれて答える機会が用意されたところで、結局は何もできず機会を活かすことはできないのです。

必要なのは「インプット+アウトプットの必要性」

 ここまで、インプットの重要性をお伝えしましたが、もちろん、アウトプットもある程度必要です。
 第二言語習得論の別の研究では、大量のインプットをしていても、アウトプットする必要性を感じられないと話す能力が伸びないことが示唆されています。たとえば、テレビで外国語を長時間聞いた子どもたちは、リスニング能力に向上は見られたが、話す能力は伸びませんでした。テレビが相手ではアウトプットする動機は得られなかったのでしょう。

 このように、アウトプットする機会や動機は必要ではあるものの、やはり十分な量のインプットがなければ伸びないということに関して、第二言語習得論の研究者の間で異論はありません。語学習得に必要な要素をまとめると「十分なインプット学習+アウトプットの必要性」となります。留学や英会話は、アウトプットする機会や動機は提供してくれるものの、インプット学習を効率よく行うには適していません。

 第二言語習得論の知見に基づいた、英語のインプットを効果的に行う具体的な学習法は、こちらの記事で紹介しています。

 ということで、最後まで読んでくださりありがとうございます。
 みなさんが科学的に正しい学習法を知り、効率よく英語力を伸ばし、可能性を拡げて充実した人生を生きられることを祈っています。

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