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新年早々、今年最高の一冊に出会えたかも- 2019年1月号

どーも、新年明けましておめでとうございます。織戸和葉です。

昨年末よりnoteへの投稿を始めました。本を読むのが好きな、ただの読書人です。本に関する記事を中心に投稿していますので、2019年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、このマガジンでは最近読んだ面白い本を月毎くらいにまとめて、簡単にご紹介していきたいと思います。あくまで私的な読書の備忘録ですが、皆さんが本を探したりする参考になれば嬉しいです。


『帰れない山』/ 著・パオロ・コニェッティ

北イタリア、モンテ・ローザ山麓で出会ったふたりの少年、ピエトロとブルーノの友情を描いた小説。毎年夏になると、ミラノに住むピエトロは両親と共に山の麓にあるグラ―ナ村に滞在し、友だちになった牛飼いのブルーノと休暇を一緒に過ごすようになります。山を駆け、沢を渡り、廃墟を探検する。そんな山での暮らしはかけがえのないものとなり、やがてふたりは大人になっていく……。

物語は山での出来事を中心に進み、とても静かで落ち着いた雰囲気があります。けれど、登場人物たちの心情や葛藤が胸の内を熱くしてくれる素晴らしい作品です。文章がとても美しく、ふとした山の風景ですら無性に込み上げてくるものがありました。著者の描写力はもちろん、翻訳が実に素晴らしいと思います。

今年最初に読んだ本ですが、今年を代表する一冊になりそうな予感。


『放課後ひとり同盟』/ 著・小嶋陽太郎

様々な事情を抱えて難儀な人生を歩んでいる10代の若者たちを描いた連作短編小説。不幸が続く女子校生の林は友人に誘われるがまま、パルコの屋上で空を蹴り続けている「蹴り男」に会いに行きます。男は空から落ちてくる不幸を蹴り返していると言いますが……。

表紙の女の子の蹴り足が何とも印象的で思わず手に取った一冊。読み始めこそ物語の方向性が掴み切れずにどうなるかと思いましたが、次第に登場人物たちの心情と文章のテンポが重なり合い、気がつけば夢中で読み進めていました。連作短編なので章ごとに主役が変わるものの、小さな横の繋がりがあちらこちらに見られるのも面白いところ。ストーリーに引き込むが抜群に上手い作品です。

期待以上に面白かった一冊。今年はこの方の作品をいくつか読んでみようと思います。


『犬物語』/ 著・ジャック・ロンドン

ジャック・ロンドンの短編作から犬に関するものを集めた一冊。『ブラウン・ウルフ』『バタール』『あのスポット』『野生の呼び声』そして1902年版の『火を熾す』が収録されています。

ジャック・ロンドンは以前から読みたいと思っていた作家で、この本が最初の一冊となりました。犬、とりわけオオカミには不思議と惹かれる魅力があります。どの短編も素晴らしく、特に代表作として有名な『野生の呼び声(The Call of the Wild)』が本当に感動的で胸が震えました。こんなにもすごい小説に出会えるのだから、読書はやめられません。


『ハクメイとミコチ 7』/ 著・樫木祐人

待望のハクミコ最新刊。毎年1月頃に単行本が発売されるため、ここ数年は年明けが待ち遠しくて仕方がありません。私にとってはお年玉みたいなマンガです。

7巻は何と言っても面白かわいいジャダさんのお泊まり会が好き。あと、司書さんシリーズが本好きとしては大変面白く、ハクメイが登場すると過剰に反応する司書さんがたいへん良いです。それとシュンカさんが超カワイイので登場するだけで嬉しくなっちゃう。

第43話『こし餡と鳥』の見開きページが大迫力で美しくて本当に最高なので、このマンガを知らない人にもぜひぜひ見て欲しいです。ほんとに面白いから。


『配色の教科書』/ 著・色彩文化研究会

色彩の配色について体系的にまとめられた良書。特に学者や芸術家に関する記述が豊富で、どのような歴史背景のもと配色理論が構築されていったのかが非常にわかりやすいです。実践的な解説書は数あれど、ここまで歴史や人物に踏み込んでいるものはなかなかありません。この内容でこのお値段はおマジで買い得。


『イラスト、漫画のための配色教室』/ 著・松岡伸治

カラーイラスト向けの配色理論がまとめられた良書。イラストの実例がかなり豊富なのが特徴です。配色理論と言っても、ファッションや雑貨、家具や建築、写真や絵画、書籍やWebなど、表現したい媒体によって、向き不向きなどの差異が現れます。ですから、基礎を理解した上でイラストのための配色を考える必要があり、その点で、この本は非常に参考になる一冊でした。



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