どこかのだれかの日々の記 禹条リキ 編 その2

文学の一ジャンル。自由な形式で書かれ、見聞、経験、感想などを気のむくままに書き記した文章。随筆

日本国語大辞典 第二版


2041年9月9日 初日

今日から教育実習が始まった。これから高校生たちに様々な知識を授ける事が出来ると思うだけで昂りが抑えられない。だがこんな思考を表に出しては「異常者」などと罵られる。決して表に出す事なく高校生たちに授業をしようと思う。ただ、静かに心地良い生活をしばらく味わうとしよう。

それはそうと、たとえ教育実習生と言えどもやはり授業計画などは立てなければいけない訳だ。実習生たちを指導担当である教員が言っていたような要領で計画を立てれば恐らく充分なのだろうが、授業中に教員が口にするこぼれ話や閑話が意外と受験などで役に立つ事がある。そういう意味で「教科書や資料集,参考書に載っていない」且つ「出来る限り全生徒の受験期に役立つ」という知識を織り込んでいかなければならない。そこが難しい。

今日は校内や部活動の見学と会議だけで終わってしまったが、明日から徐々に授業に関わる事になっていき、実習期間終盤には丸々1コマの授業をする事になっている。そこをどうするかが当面の課題だ。

とりあえずこの1週間に使う資料などはまとめ終えた。そろそろ寝ようと思う。

そう言えば今日の放課後、3年生の教室で何かを話しているのを見かけた。反対側の棟から窓越しに見かけただけだから内容は分からないし特に知る必要も欲求もないが、あれは恐らく「告白」というものだろう。それに別にとやかく言う事もないし野暮な事も言いたくないから問題を起こさないようにしてもらうとこちらとしてはありがたい。



2041年9月29日 休暇

久々の休暇だった。先週はかなり忙しなかったから今日はしっかり休んだ。

特に何をする訳でもないが先日咫半との会話で言われた事を思い出して風呂に入る事にした。先日この日記帳に書きアウトプットしたからもう思い出したくもないのだが、やはりあの完璧とも言える論破は流石に堪えた。他人のポリシーや思考に勝手に入り込んで完膚なきまでに叩き潰してくる人間と相対するのがこれほどまでとは思ってもいなかった。だが、ここで自らを省みるのも咫半の手中に収まるようで癪に障る。だからこれからは出来るだけより深い部分で考えるようにしよう。

まあ、この実習が終われた咫半と会う事など無くなるから気楽に考えようと思う。そろそろ寝よう。


※ この文章はフィクションです。実在の人物・団体・名称なぞとは一切関係ありません。

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