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拝啓タイムカプセルの話

 こんがお!

 どうも、苗輪和音です!


 今回は、今年の7月に発売されたシャニマスのCD『THE IDOLM@STER SHINY COLORS L@YERED WING 04』に収録されている作品『拝啓タイムカプセル』のエモポイントをつらつら書いていこうかと思います!


 去年書かせていただいた『よりみちサンセット』の記事と似たようなものですね!


 その記事を執筆した時には前提知識として必要な『THE IDOLM@STER SHINY COLORS(通称:シャニマス)』の話やその中に登場するアイドルユニット『放課後クライマックスガールズ(通称:放クラ)』の説明から書かせていただいたのですが、この一年と数ヶ月でシャニマスに関する記事を色々書いたので今回は説明を省きます!

 もしこの記事をお読みになっている方の中で「シャニマスとか放クラとか知らん」という方がおられましたら、下記リンクより公式サイト等の紹介文や拙作記事を読む事をオススメします。


THE IDOLM@STER SHINY COLORS公式サイト 放課後クライマックスガールズ紹介ページ



Pixiv大百科 「放課後クライマックスガールズ」


だいたい5分で分かる!小宮果穂!



だいたい5分で分かる!園田智代子!



だいたい5分で分かる!杜野凛世!



だいたい5分で分かる!西城樹里!



だいたい5分で分かる!有栖川夏葉!





『拝啓タイムカプセル』の話


 さて、『シャニマス』や『放クラ』の事をご存じなかった方も上記リンクなどでなんとなく把握していただけましたでしょうか?


 それでは、『拝啓タイムカプセル』の歌詞を交えながらエモポイントを語りたいと思います。

(Hey…Ho…)
(Bye…Say,Hello)


イントロ

 イントロから『よりみちサンセット』との繋がりを感じさせる歌詞が登場します。「Hey」や「Ho」といった言葉は『よりみちサンセット』の頻出単語ですし、「Bye…Say,Hello」の部分は『よりみちサンセット』の最後の歌詞「Good day Good bye 手を振ろう その笑顔に明日も Hello」から繋がっており、この『拝啓タイムカプセル』が時系列的に『よりみちサンセット』の後であるという事がこの時点で暗に示されています。


ガードレールも 膨らむほど
はしゃいでた帰り道
あの頃 それが 全てみたいに
身体中 風が巡ってたあの日の自分 今会えたら
驚いてくれるかな?
それとも 笑う? 相変わらずって
もっとずっと 驚かそう


Aメロ

 ここで語られている「はしゃいでた帰り道」というのは『よりみちサンセット』そのものだと思います。
 また「膨らむ」や「身体中 風が巡ってた」という表現は『放課後クライマックスガールズ』というフィルターを通した『太陽キッス』との間接的な繋がりを暗に示しているのかもしれません。

 「あの日の自分と出会ったら向こうはどう反応するだろう?」という話は、きっと誰もが考えた経験のある事だと思いますが、これを考えるタイミングは基本的に「自分の成長を自覚できた時」だと思います。
 つまり、この時点で既に「『よりみちサンセット』からの成長」を感じる事が出来るという訳です。しかしこれだけではどこがどう成長したかという事はまだ分かりません。いったいどういった部分が成長したのでしょうか。


夕焼けに 胸を張ろう
想い出に I say Hello
いつかの言葉 嬉しかった
泣きたい時 語り合えた
だから走れてるよ(Just Love'n Peace)


Bメロ

 ここで言われる「夕焼け」とは『よりみちサンセット』の事だと思うので、それに対して「胸を張る」という事はつまり「あの時のあの事は今への成長へ繋がっているよ」という過去の肯定です。その後に続く歌詞も同じような意味を持つと思われます。
 情景描写と同時に心情描写をする事で2つの情報を一度に読み取る事が出来る訳です。古屋真さんの才能が溢れすぎてる。
 また「Just Love'n Peace」という歌詞を直訳すると「ただ平和を愛する」というような日本語になるのですが、英語の熟語で「in peace」は「安心して」という意味を持ちます。「in peace」だとここの歌詞の文法がめちゃくちゃになってしまいますが、この歌詞はそういう意味も含まれた言葉遊び的な要素もあるのかなと思いました。


La La 拝啓 タイムカプセル(From myself)
皆 第一志望 一緒じゃなかったんです
でも大丈夫 ホッとしてよね 今でも側にいる(No more neverland)
たまにアルバム囲って(Ourself)
写真と同じ笑顔 寄せ合って
もっと 目指してるから
これからも 想いも寄らない明日へ
愛し足りないこのままで We go


サビ

 「拝啓 タイムカプセル」という擬人法を用いてタイムカプセルだけでなく想い出、つまり過去の自分自身へ挨拶をしている描写でサビが始まります。つまり「未来の自分へ」の逆の「あの時の私へ」です。「From myself(自分自身から)」というコーラスの歌詞もそれを補強する材料となっていると思います。
 そして「皆 第一志望 一緒じゃなかったんです でも大丈夫 ホッとしてよね 今でも側にいる」という部分で『よりみちサンセット』の中で描かれた「この先この関係がバラバラになってしまう事もあるんじゃないか?」という果穂の持つ未来への恐怖に対する答えが描かれています。
 「第一志望」という単語の捉え方により、「放クラそれぞれが思い描くトップアイドル像が別々である」という風に捉える事も出来るし、『拝啓タイムカプセル』及び『よりみちサンセット』を「放クラ全員が同級生の世界線の話」という風に捉える事も出来るのです。
 ただどういう捉え方をしたとしても放クラの皆はずっと一緒だという事は直後の歌詞から分かります。
 また「No more neverland」という歌詞も『よりみちサンセット』からの成長を感じられてとても好きです。「変わっていく事を肯定する」という事は特に思春期の少年少女にとっては難しい事だと思いますが、様々な事を経験する中でそれを受け入れられるようになっただけでなく「その成長に自覚的」というのは素晴らしいと思います。樹里や凛世、夏葉など過去描写がよく見られる放クラが歌う事でより説得力が増しますよね。
 そうした成長描写を以て描かれる今の描写と未来への描写がとても良いです。
 「もっと 目指してるから これからも 想いも寄らない明日へ」という歌詞は成長してからも変わらずに誰も見たことのない景色を求めて活躍をしていこうという一種の決意表明と捉える事も出来ます。
 そして「愛し足りないこのままで We go」に続くのです。この歌詞も凄いですよね。「たくさんの想い出を積み重ねても皆を愛する気持ちの上限が見えない状態のままで未来へ行こう!」って歌詞を果穂が歌うのめちゃくちゃエモいですよね。凄まじい成長を感じられます。アイドル個人それぞれを見た時は全員が主人公ですが、放課後クライマックスガールズとして見た時の主人公はやっぱり小宮果穂なんですよね。


Right Let's Down
ぬいぐるみ ゲッツしたクレーンさばき
騒いだ後 寝落ち気味
水着バッグも重たくなり
落ち葉で埋まった遊歩道
桜が積もる道も
はっ はっ 吐息の 白さ比べも


2番 Aメロ

 本作のラップパート。「放クラと言えばラップ、ラップと言えば放クラ」と言われるほどラップとの縁がある放クラが繰り出すエモーショナルバース。めちゃくちゃ良いですよね。
 初っ端の「Right Let's Down」をどう訳せばいいのか全然思いつかなかったので誰か良い訳をお持ちの方は教えてください。お願いします。
 その後に続く「ぬいぐるみ~白さ比べも」まではより具体的な想い出が描かれています。樹里がクレーンゲームで非凡な腕前を見せ他の4人、特に夏葉や果穂からキラキラした尊敬の眼差しを向けられたり何処かに遊びに行った後に眠たくなってついつい寝落ちしてしまったプールや海などで遊んで疲れてる時に持つ水を吸ってなんかめちゃくちゃ重くなってる水着が入ったバッグだったり少し肌寒くなった晩秋に散歩していたり桜の花びらが積もる春の道(学校の前とか?)での想い出だったり吐息が白くなる冬についやってしまう競い合いといった何気ない日常、しかしかけがえのない尊い想い出たちが列挙されていますね。
 ここだけで無限に妄想が膨らみますね!えぇ!
 あとこの辺りのフロウちょっとHilcrhymeっぽさあって好きです。00年代~10年代前半の青春って感じがします。良いですよね。


変わらなく 続いてるよ
失くしたもの ないよね?
いつの間にか みんな一緒に
失くしてる かもしれない
それでも先に行こう(Just Try'n go)


2番 Bメロ

 先ほどのラップパートを受けて「変わらなく 続いてるよ」が来ます。あの時のような日常が今もしっかり続いているのです。しかもここの1行を歌うのがラップパートで出てこなかった智代子なのも良いですよね。全員が同じ時を過ごし、想い出を共有出来る関係性が完璧に構築されているというのがもうこの1行から分かります。最高か?最高だったわ…
 そしてそこに続く「失くしたもの~(Just Try'n go)」の歌詞ですよ。
 ここで言う「失くしたもの」「想い出」の事なのかなと思います。「いっぱいの想い出を皆で作る事が出来るほどの時間を一緒に過ごしてきたから、もしかするといつの間にかみんな一緒に失くしちゃったものがあるかもしれない。それでも未来に進んでいこう!」というハイパーポジティブな歌詞ですね。「Just try'n go」は恐らく「やってみよう!」とか多分そんな感じだと思います。誰か英語出来る人、教えてください。
 ここで描かれている「過去を抱きながら未来に進んでいく」という姿勢は放クラだけでなくシャニマスのテーマの一つな気がしているので、実はかなり重要な歌詞なのではないかと思っております。


空震わす花火の音(Faraway)
打ち上げ場所が何処か見えなくて
手分けして 空見上げ いつでも追いかける(We are No.1)
大人なんて言えはしないけど(Ourself)
日が暮れない魔法は無くて良いんだって
そう 笑って言える
想い出は 未来が
咲かすものだから
愛し足りないこのままで We go


2番 サビ

 花火大会の夜、音だけが聞こえる花火の打ち上げ場所を上を見ながら走り回る放クラの姿、めちゃくちゃ想像しやすいですね。ここに詰められた情報多すぎてSSが出来ますね。
 ここで注目したいのは時制です。1番を中心に「~だった」という過去形で語られているのに対し、2番は基本的に「続いてるよ」や「追いかける」などの現在形で語られている事の方が多いのです。
 という訳でつまり、このサビのシーンは「想い出の中の話」ではなく「想い出になろうとしている今の話」なのです。だから花火の件の直後に「大人なんて言えはしないけど」という歌詞が来る訳ですね。「私たちは胸を張って大人だと言えるほどではまだないと自覚しているけど、停滞を願うほど子どもでも無くなった」と言っているのです。『よりみちサンセット』へのアンサーですよね。泣きました。
 『よりみちサンセット』未来への恐怖から「このままでいたい」と願った果穂も含めた全員でここを歌っているのが本当に好きです。ここも1番と同様に「成長の自己肯定」なんですよね。沢山の事を経験した事で「『想い出』というものは今成るものではなく、いつかの未来に過去を想う時に出来上がっているものだ」と知ったのです。だから、どれだけ愛してもまだまだ愛の上限まで届かない今のまま、皆で未来へ進んでいきたいと歌うのです。


チャッチャッチャラチャーチャッチャラチャーチャ♪
ビヨニヨワ~テレーレッテーレッ♪
チャッチャッチャラチャーチャッチャラチャーチャ♪
テレレレテーレテレテレレテーテレ~♪

間奏

 いきなり奇妙な文字列を見せてしまい申し訳ありません。この間奏について書かせてください。
 『よりみちサンセット』のサビメロアレンジをこの間奏に使用する事で『拝啓タイムカプセル』が『よりみちサンセット』と明確な繋がりを持っている事が示された訳です。しかも「日が暮れない魔法は無くて良い」という成長が描かれた2番直後に配置する事でどっちも知っている筆者のようなリスナーが勝手に対比してエモ中毒死するという風になるわけですね。王道ながらも非常に効果的な展開だと思います。


時は過ぎるよ
だからもう歩いてくよ
だけど大丈夫
この胸にあるから
ずっとずっと 忘れないよ


Cメロ

 『よりみちサンセット』のCメロ「向いてる未来 と同じくらい 大事な今 時間が止まればいいのにな さあ行かなくちゃ」との対比が見事な『拝啓タイムカプセル』のCメロ。
 本作の中で一貫して描かれている「過去から未来への積み重ね」がここにも描かれています。
 『よりみちサンセット』では「さあ行かなくちゃ」を果穂を除いた夏葉、樹里、智代子、凛世の4人がユニゾンし、そこ以外の部分を果穂だけが歌っていたのに対して、こちらは5行ある歌詞をメンバーそれぞれが1人ずつ歌い上げていき、最後の「ずっとずっと」を果穂が歌い「忘れないよ」を果穂含めた全員でユニゾンすることで確かな成長を描いている訳ですよ。凄いよね。
 やっぱり放クラは魔法戦隊マジレンジャーなんですよね。


Dear my love タイムカプセル(from myself)
やっぱ 第一志望 一緒じゃないんだって
でもきっとね どんな未来も 同じ歩幅で行く(No more neverland)
たまにアルバム囲んで(Ourself)
写真と同じ笑顔 寄せ合って
もっと 目指してるから
これからも 想いも寄らない 明日へ


大サビ

 内容はほぼ1番サビと同じですが、ここまでの歌詞に込められた想いも交えて考えるとより強い意味を持つ歌詞になります。
 「どんな未来も 同じ歩幅で行く」という1番サビの「でも大丈夫 ホッとしてよね 今でも側にいる」を踏襲したより強い意志を持つ歌詞になっているのも良いですよね。


La La La La La La La…
未来を浴びよう
La La La La La La La…
It's my lil guraduation
La La La La La La La…
Yeah Here we go now
これからも想いも寄らない明日へ
さあ 行くよ このままでHo Ho
(Smile Hi Cheese Say Hello)


Dメロ

 ここも『よりみちサンセット』との対比です。
 向こうのDメロでは「いつも通りの日常の中で小さな最高を探そう」と言っていた放クラが、本作では「決して揺るがない絆を持って想いも寄らない未来に向かってさあ行こう!」と「未来への希望」を歌うのです。成長ですよね。
 また「Here we go now」は『よりみちサンセット』のイントロ部分の歌詞でもあるので、直後に「これからも想いも寄らない明日へ」を持ってくる事で『よりみちサンセット』から『拝啓タイムカプセル』に向かう時系列と描かれる心情の変化を纏めている訳ですね。『L@YERD WING』と銘打たれたCDシリーズに収録されているだけあって、「過去から未来への積み重ね」が分かりやすい形である訳です。
 そしてこの作品は、「アルバムの中の写真と同じ笑顔の写真を撮影するシーン」で幕を下ろします。未来への確かな希望を抱きながら。



【終わりに】

 もうここで語る事はあまりありません。というかあんまり語っちゃうと人によって違って当たり前な解釈が固定化されちゃいかねませんからね。この辺りで終わっておきます。
 皆さんも是非とも自分の好きな音楽や漫画、小説などの解釈をしてみてください。きっとその作品に対する解像度が爆発的に跳ね上がります。
 出来上がった解釈は別に誰かに見せる必要はありません。自分の中に大切に置いておくのもまた一つの答えなのです。

 では、最後に一つだけ。

 考えたくなさすぎるけど、もしシャニマス最後のCDシリーズが出る時が来たら放クラのCDジャケットは『THE IDOLM@STER SHINY COLORS BRILLI@NT WING 04 夢咲きAfter school』のセリフオマージュでお願いします!!!「アルバムの中の写真と同じ笑顔」でお願いします!!!でも出来るなら一生そんな事が来ないようにしてください!!!お願いします!!!

 皆も自分だけのオリジナル解釈を大事にしていこうね~!押し付けはダメですよ~!!!


 では、終わります。

 おつがお~!



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