夏の幻

君は夏の幻。事故で失ってから毎年夏に現れる。触れないけど君に会えたから僕はそれでいいと思ってた。悲しみに打ちひしがれていたけれど僕は毎年楽しみになっていた。君さえいれば他はなにもいらない。あの日までは。

「君の前に現れるのは、もう今年で最後にするよ」

「なんでそんなこと言うんだ?」
「君が先へ進めないから。君は私にめろめろ過ぎるのは駄目!」

からっと笑うと君は僕の背中を押した。僕は慌てて振り返ると君はもういなくて。ひまわり畑で迷子になったような感覚で。君とはそれきり。

沢山悲しんで僕はまた歩き出す。失意の底で。

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