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湖畔だより。その後12 Winter is just around the corner

カナダで11月11日はRemembrance day。
戦没者追悼記念日である。
第一世界大戦が終結した日で、午前11時に礼砲が上がり黙とうする。ポピーの花がシンボルで、人々はこの時期それを左胸に付ける。
同じ連合国のイギリスやフランスでも同様の式典が行われているが、日本やアメリカではない、とあった。

確か日本はポッキーの日だったなあ。 

いったい去年はどんな風に過ごしていたのだろう。
気になって古いスケジュール表を開いてみる

9:00 Karina
10:30 Alex
13:00 Sheila
15:00 Robert:, oxygen
21:00 Shyiarah

忙しい一日で、それどころでなかったのかもしれない。

少しずつ新しい生活になって
夫との色々な事をひとつずつ忘れていく
それは心の健康のために
良いことかもしれないけれど
それが今はまだ 哀しい

夫がこう言ったとか、
こんな風にしたとか
記銘できることは確かに残せるけれど
皮膚感覚的なことが
どんどん失われて行く
幸せだったことも
ひどく腹を立てていたことも
符号化するとなんと平坦な記憶にとどまってしまうことか

でもだからこんな風にして私たちは
今を生きることができるのかもしれない


朝、東京の教室の講師たちにカリキュラムを送る。
YoutubeでオタワのRemembrance dayの 式典ライブを流しながら、オーガニックコットン製品の整理をする。

新しいデザインをFlorに作ってもらっているが、今ひとつの反響。彼女はKing cityにスペースを借りてお店をオープンさせている。
次々進めてたくましい。
先日お店に行くと、デザインして作った服の数々が並べられていた。専門に作っていたと言う水着やコスチュームだけでなく、ちょっとセクシーなワンピースやスカート、コートまである。こんなに作れるのだったら、もっと彼女の能力が生かせるといいなと思う。コットン製品もそうだが、どうしたらうまく行くかなあ、と考える。この分野での経験がないので、ちんぷんかんぷん。いったいどうすればよいのか皆目わからない。全くの手探り状態である。


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彼女はお母さんのDoraの世代から、コスタリカから移住してきた。現在女ばかりの家族である。開店を前に、Doraは掃除をして娘の手伝いをしている。ボーイフレンドのためにコットン製品をいくつか欲しいと言っている。

この地に来て日本と違うと思うことのひとつは
男女の関係である。
もともと、一般に認められている、結婚に近いCommon lawの関係というのがあって、カップルの間に子供がいたり、二人で家を購入したりしていても、結婚していない人もいる。
また、いくつの年代になっても、ボーイフレンドやガールフレンドを作っている。
友人のお父さんは、妻を失くしてホームに入居したが、そこでガールフレンドを見つけてホームの中で一緒に暮らすようになった。友人が微笑ましそうに話してくれた。
だから多分60代後半のDoraにボーイフレンドがいても、まったくびっくりすることではない。

YoutubeからO Canadaの歌声が聞こえてきた。
プリスクールに行くと毎朝、子供たちと一緒に歌っていたのに
結局私は歌詞を覚えていない。
力強いリズムに流れるよう旋律が交差する
美しい国歌である。

Erikから今週末はハンティングに行くとテキストメッセージが来る。
ガレージの重い物を動かしてもらおうと思っていたのに。
Jenniferからは娘が入院したとある。
心配である。
Jennifer に返信をしていたら
Youtubeから11時の礼砲が轟いた。
ラッパの音が流れている。
どうしてこういう時のラッパの音は
こんなにも悲しげなのだろう。

エアカナダから、バンクーバー便のキャンセルのメールが来ていた。
この間トロントー成田の直行便がキャンセルされて、予約しなおしたばかりなのに?今度はトロントーバンクーバー便がキャンセルである。
一度時間変更もあったので、もうこれで三度目だ。果たして帰国できるのか不安になる。

感染が増えて、レストランなど店内飲食規制、集会制限、ジムなどの施設再び閉鎖、友人宅訪問なども、また禁止される地区が出てきた。

レンタカーも返却したので、
ということは
湖畔の家で、ゆるーく幽閉状態、再び。である。

しかし、あまりにいい天気なので、
式典ライブ終了と共に
デジカメを持って散歩に出ることにした。

外は乾いた葉の匂い。
乾いた木の音も聞こえてくる。
コテージとして使われていた家はしんとして
ヨットやボートにはカバーがかけられ、来夏の出番を待っている。

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満杯の落ち葉用の袋が、ここかしこで回収を待っている。

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途中でこんなステッカーを見かけた。

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ある時からリサイクルと一般ゴミの回収日が、一週おきになってしまったのだ。
ステッカーの文字と一緒に
Oops、おっといけない、
と人々が発しているかもと思うと、ちょっと可笑しい。
私も一度貼られた事があるのだ。

Remembrance Dayを人々は家で過ごしているのだろうか。
多くの家の前に二台の車が止まっている。家族の中の、車を運転する人たち、つまり大抵はお母さんとお父さんが、在宅だということである。

O Canada, Our home and native land

さっきYoutubeで聞いていたせいか、メロディーが頭を去来する。

with glowing hearts we see thee rise
The True North strong and free
From far and wide O Canada
We stand on and guard for thee

平和で
静かな
Adams Roadの午後である。

Remembarance dayが過ぎると、極寒は “すぐその角のところまで”やってきている。

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日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。