うちのオトン
うちのオトン
昔の人だからなのか、「男子厨房に入るべからず」と教えを還暦をとうに過ぎていても、今もしっかり守っているジジイだ。
結婚当初から
今は亡きオカンは関東出身
オトンは関西出身
オトンは10代後半から東京の親戚の家にお世話になっていたらしい
ここの親戚が「〇〇ちゃん」とオトンをちゃん付けで呼び可愛がっていた
そして、この親戚がそこそこの贅沢が出来る家だったのか、食事が当たり前に豪華だったのがすべての始まりだ。
オトンは一人暮らしをしていたから、オカンはある程度家事が出来ると思っていた。
一人暮らしとは名ばかりの、全~部親戚が何から何までやってくれていたのだ。
そんなオトンと結婚したオカンは料理教室に通ったり、親戚の家に通い関西の味付けを学んだ。
オトンは晩酌をする人で、おかずをすべておつまみとして食べてしまう。
そして「おかずは?」とほざく。
オカンは試行錯誤をして時にイライラしながらも、何気ない発言にも応えていた。
ある日突然「鮎食べたくて買ってきた」と生の鮎を持って帰ってくる。
捌くのはモチロン、オカンだ。
夕飯のメニューを節約しながら考えているオカンは、あまりの衝撃に亡くなる時まで何かあると思い出しては話していた。
根に持っていたんだろうな。
俺の飯事件勃発
そんなオカンにも甘やかされて過ごしてきたオトン。
オカンが緊急入院することになり、1ヶ月は入院生活となった。
その時の発言も「俺の飯はどうなる?」。
わたしは既に実家を出ていたので、後日オカンから聞いて"オトンらしい"と笑っていた。
まさか自分にまで火の粉がかかってくるとは思ってなかったからだ。
ぶちギレ事件性
しばらくはお総菜を買ってしのいだらしい。
しばらく=3日が限界だったらしい。
オトンがわたしに「お総菜は嫌だ」と泣きついてきた。
何とかわたしも作ってはオトンが取りに来る生活をしていたが、やはりオトンは3日が限界だった。
「オカンの味と違う」。
そりゃそうだ。
そもそもオカンは教室に通うほど熱心だったが、本来のおおざっぱが勝っていたので、目分量の料理方法で徐々にオカンの料理にオトンを慣らしていったのだから。
全くオカンと同じ味は出来ん。
オカンですら、自分の料理を一期一会と言っていたのだから。
わたしも限界が来た。
毎回「オカンの味と違う」と言われ続けりゃいい気分はしない。
ついに「わたしはオカンじゃない」と泣きながらオトンに抗議して、お夕飯を作らないとボイコット。
オトンは3日が限界説は定説だった。
「もうオカンと味が違うと言わないから、作ってくれ」と謝罪(後日オカンにオトンは雷を喰らったらしい)
地雷を踏みまくる
オカンが天国に行く少し前から実家にいる妹が慣れない料理を頑張ったらしい。
妹は几帳面で、オカンは目分量。
妹は頭を抱えた。
オカンの言っていることが分からんかった。
それでもなんとか作ったらしい。
そこでもまた「オカンの味と違う」発言。
オトンは学習してなかった。
妹も泣いてオカンにもオトンから言ってもらったらしい。
オトンはオカンから「妹が上達しないから、たまには味付けも言って」と言われたらしいのだが、妹はそれで毎回凹むらしい。
提案
わたしはオトンに車で送り迎えやらお米をもらったりしているのもあって、お礼がてらたまにはこっちで作ろうか?となった。
食の好み
オトンは脂、ネギ類が大好き
妹は脂、ネギ類(タマネギ含む)が嫌い
同じ食卓でもオカンが料理上手で、それぞれの好みの料理を作っていたので、今まで気付かなかったらしい。
大体【角煮】【もつ煮】【肉巻き】【中華丼】がリクエストされる。
最初はお肉をオトンの脂のお肉、妹の胸肉と分けたりしていた。
しかしオトンの「ここにネギあれば最高なのにな」「お肉パサパサだな」の愚痴を聞かされるようなった。
どっちかの好みに合わせると、どっちかに我慢が生じる。
作り手としてもメンドクサイ。
お鍋を最初から別にしてそれぞれの好みで作るようになった。
同じメニューなのにお鍋を2つはメンドクサイけれど、愚痴を聞かされるよりもマシだ。
学習能力ゼロ
今回はもつ煮のリクエストで妹は豚もつ。
オトンは脂のある牛もつ希望。
オトンに牛もつは高いんだと伝えると「だから旨いんだ」とほざかれる。
食費もお鍋2つ分のガス代もわたし持ちなのだ。
そこまで贅沢に出来ん。
牛もつがたまたま安かったので買えたので、その他にコンニャク、大根、ニンジンを入れると話していたら「気を使ってそんなに野菜入れなくていい」「コンニャクともつだけでいい」と謙遜しているみたいだが、こっちとしてはかさ増ししたいねん。
料理をしないから、食材の値段も分からん。
お鍋を分けて作るのも、洗い物が倍になるのも、な~んにも知らん。
だからこそ毎回ほざけるんだろうな。
なんにも出来ない食道楽はメンドクサイ
それでも普段は妹に合わせて我慢しているんだろうから、と作っていたのだけれど。
最近知ったのが、毎週水曜日のお買い物の時に角煮やら脂たっぷりのお総菜を買っていたらしい。
小さい頃にかさ増しのいもご飯が嫌で、サツマイモが嫌いという思いもあるのか、食の我慢はしたくないらしい。
イラつくけれど、何だか憎めないところもあるオトン。
これからもお鍋を2つに分けてオトンの好みのおかずをこれからも作ろうと思います。
それがわたしなりの親孝行だと思うから。
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