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女性活躍が進まないのは平和ボケと同じ思考である

先日のAPO研(一般社団法人人と組織の活性化研究会)の定例会のテーマは「女性活躍のリアル」。私なりの雑感をまとめます。

大手企業ほど女性活躍が進んでいない、という報告

話題提供してくださったのは、オフィスサミ代表の水藤麻美さん。APO研らしく参加者の皆さんから、活発な発言があった。
その中で、17年間、企業の女性活躍に関わってこられた方が、この17年間、女性活躍は遅々として進んでいないとの感想。参加メンバーからも、いろんな女性活躍に関する発信はあるものの、現実はなかなかそのとおりにはなっていないという。
一方で、ウチのような小さな会社、しかもベンチャー的に攻め続けないといけない会社にとっては、性差によって役割を分けるなんてことはなく、能力をフルに発揮してもらわないと船が沈んでしまう。結局、大手企業はある意味、まだまだゆとりがある、ということかもしれない。

従業員をケアする制度の本来の在り方を問い直してはどうだろう

参加者から「生理休暇は日本独自の制度だそうだが、このことをどう理解すればいいか」という問いが投げかけられた。
確かに女性特有のPMS(月経前症候群)やひどい生理痛は存在するし、悩んでいる人も多い。そういう意味では生理休暇はありがたい。でも一方で、生理休暇の申請をためらう人も多くて、結果的に有効に使われているのかという疑問もある。
この問いを投げかけた人は、この制度は「女性を大事にする」という、ある意味で日本的な家父長制の流れであって、女性を特別に扱う意識が前提にあるのでは、との指摘だった。
参加者の多くは、男性にも更年期があることが明確になった時代、女性特有のことへの対処ではなく、男女関係なく、なんらかの不調に対するケアは平等にあっていいのではないかという意見が聞かれた。

この話は、従業員の福利厚生的な制度の本来の目的の話なんだろう。福利厚生は、従業員の能力をフルに発揮してもらうために、どう従業員を支援するかが本来だとすると、性的マイノリティの人も含め、もっと使いやすい制度にしていくために頭を切り替える段階になったのだと思う。

女性活躍が進まないのは平和ボケと同じ思考である

水藤さんの発表によると、まだまだ企業の中では、「男性社員を多く採用できるから女性活躍はそんなに急いでいない」というような発言をする人が案外多いという。一方で、少子高齢化で就労人口が激減している中、優秀な人材確保が早晩むずしくなってくることは自明の理だ。それだけではなく、市場や価値観が多様な時代に、同質文化で生き残ることも難しくなってきている。このような発言をしていることは、まったくもって平和ボケである。

女性の皆さんには、ぜひ、貢献という自分の軸を持ってチャレンジしてほしい

私の持論だが、女性活躍を実現するには、自分の能力や適性をいろんな人に知ってもらうことが必要だと思う。
能力的には男女の差はないが、男性社会では、それなりのつながりがあるので引き上げてくれる人は多い。残念ながら女性の場合、つながりがまだまだ不足している。
「●●の仕事をあの人に担ってもらおう」と思い出してもらえる機会が増えるとチャンスは増える。そのためにも日ごろから、「自分はどんな人で、チャレンジしたいことは何で、何が得意か」など、自分の軸をしっかり持つことが大事だ。もちろん、引き上げてくれるのを待つのではなく、発信と行動をしていくことで、おのずとネットワークは広がる。

「自分らしさ」という言葉が発言の中に出てきたが、キャリアや成長という点からみると「自分らしさ」一辺倒は危うい。
なぜならキャリアはひとりでつけるものではなく、周囲と関係にも大きく影響する。「引き上げてくれる存在」「一緒に挑戦する存在」がいることで、キャリアは大きくステップアップする。自分らしさばかりの主張は独りよがりになりかねない。自分らしさだけでは、軸ではないと考える。

自分らしさ(やりたいこと、できること、適性)を活かして、どうチームや組織や、または社会に貢献していくかを描き、行動していくことが、自分軸なんだろう。数年後には女性活躍という言葉がなくなっているといいな。

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