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Wellbeingな組織の実現には、信念を持った「素直」な人がプロジェクトオーナーになると成功する。

Wellbeingな組織づくりとは

私が考えるWellbeingな組織とは、ひとりひとりがイキイキと自律的に考え、行動し、結果的に高い成果を生むように機能する組織と定義しています。

もちろん、そんな素晴らしい状態を生むためには、野放図ではいけないわけで、ある程度の仕組み(仕掛け)が必要です。ある種の組織開発プロジェクトのように、各現場の日々の行動やマネジメントにしっかりと入り込み、運用を回していく必要があると思っています。

そうなんです。Wellbeingな組織づくりは、例えば人事部門のような間接部門が「やりましょう!」という掛け声をかけても、ほとんどの場合、スルーになりかねません。まずは現場のマネジメントに携わる人たちから、理解し、納得し、行動を変えることを促す、という地道な取り組みが求められるのです。それは結構忍耐のいる取り組みなのです。

地道な組織開発で成果を出している豊田通商の事例

ウチの会社が毎月「心理的資本®Webセミナー」というのをやっていて、11月に開催したのが、まさしく「ウェルビーイングと組織開発の取り組み」でした。

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武蔵大学の森永先生にウェルビーイング経営について、アカデミックな背景をご説明いただきました。森永先生によると
〇従業員のウェルビーイングを高めるためには、まず病気でないということが確保されたうえで、仕事に対する前向きな気持ちに結び付いていること。
〇そしてさらに仕事だけではなく、自分が所属しているグループや部門といったコミュニティに対するポジティブな感情が伴っていることが必要である。
〇様々な組織の取組を連携させていくことがとても大事。人材開発や安全衛生、ダイバーシティ&インクルージョン、評価や報酬、組織開発といった取組を分断させず、一貫させること。
とおっしゃっていただきました。

そして、豊田通商グループの「いきワク活動」の取り組み事例を豊田通商ヒューマンリソースの池内さんにお話しいただきました。
豊田通商グループのいきワク活動は、現場の課題をみんなで共有しながらボトムアップで施策に取り組むというものですが、なかなか地道で、最初は社内でも賛同をなかなか得にくかったそうです。

本当に地道で、これを推進してこられている池内さんには頭が下がります。
詳しくはセミナーの開催レポートをご覧ください。
https://habi-do.com/blog/report-od-improve-wellbeing/

成功のためにはまずはトップの強いコミットメント。

豊田通商グループのいきワク活動が苦労をしつつも、なぜ浸透できたのかというと、池内さん曰はく、トップの強いコミットメントがあったからだそう。やはり、トップが揺るがずにやり続ける価値を唱えていかないと、とても定着まではできません。
ただ、いかにトップが強いコミットメントを示してもうまくいかないことも多いのではないでしょうか。

トップのコミットメントだけでない。成功するためには「信念を持った素直な人」がプロジェクトオーナーとして引っ張らないと失敗する

豊田通商さんでは池内さんの存在が大きかったと思います。池内さんのように信念を持って、やり遂げるのだという強い意志を持った人が推進役で必要です。

ある大企業の失敗事例をご紹介しましょう。
その会社では3年ほど前から、大企業であるが故に、自律性やイノベーションに乏しくなっていることに危機感を覚えた経営者が、従業員の意識行動変革を呼び掛け、それを推進しようと事務局を設置しました。
ところが、その事務局の責任者やスタッフは、トップの強い思いを具体的にどう実現するかというところまで深堀できず、やった施策は「改善案の社内公募」でしかも、年に1回、アイデアを投稿しようといった施策でした。
トップの想いを実現するには、地道な現場支援策を愚直に取り組まないといけないはずなのに。
これでは、なんとなく、やっている風でお茶を濁したとしか見えません。

このような地道な取り組みは、本当にWellbeingな組織をつくることに意味があり、腰を据えて取り組みたいと考える人がプロジェクトオーナーとして必要です。そしてその人は、その会社の中で、信頼を得ている人物でなければなりません。

「素直な人」と書きましたが、私の思う素直とは、邪念なく、本質を理解しようとする人だと思います。

このような地道なプロジェクトの場合、これをやったからといって、自分の手柄にできるようなものではありません。
例えば、人事制度をつくる場合、「私が人事制度をつくりました」と具体的な手柄がありますが、Wellbeingな組織をつくるなんて、そんなゴールは明確ではないのですから。

失敗した大企業のようにならないように、Wellbeingな組織をつくる施策には、トップのコミットメントと、プロジェクトオーナーの存在が何より大事なのです。

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