見出し画像

ポメラ日記46日目 夏休みの終わり、七月の新生活


 お久しぶりです、もの書きのkazumaです。前回のポメラ日記の更新から2週間が経ちました。いつのまにか、夏になりましたね。

 先月末に公開した新作中編「川に向かって、言葉を吐いて」はお楽しみいただけましたでしょうか。今回の創作大賞2023の応募期間は7月17日が〆切となっております。


 読者応援期間、というものも設けられておりまして、こちらは7月24日まで。未読の方は、この機会によかったら読んでみてください。「スキ」で応援することができます。

 さて、宣伝はここまで。今日は久しぶりの更新とあって、近況報告をしようかなと。

 七月から新しい会社に入って新生活をはじめることになりました。先月は有給消化の期間だったので、ひと足早い最後の夏休みだと思って、思い切り小説作品の制作に時間を取りました。

 中編小説『川に向かって、言葉を吐いて』を書き上げたあとは、すぐに次の勤務先へ移る手続きで、事業所の代表の方にお会いして面接を受けたりしました。なので、僕の夏休みはこれでおしまいです。

 新しい会社のライティングは、いまはテストライティングということで好きなテーマで書かせて貰っています。縁があって文芸周りの記事を書くことになったので僕としては大満足です。今週は、6000字程度の記事を書いて納品しました。

 過去に愛読した海外文学の作品を読み直す機会もあって、以前には気が付かなかったことを発見したりしました。

 たとえば、僕が学生時代に何度も読み返した本にカポーティの「ティファニーで朝食を」があります。

 いい表現だと思うところに線を引きはじめたら、ほとんどのページで線を引いてしまって、いつのまにか鉛筆の傍線や傍点だらけになった、そういう本です。

 僕がこの作品のなかで一番好きなセリフをひとつだけ挙げろ、と言われたら、ホリー・ゴライトリーのこの台詞を選びます。

 いつまで経っても同じことの繰り返し。終ることのない繰り返し。何かを捨てちまってから、それが自分にとってなくてはならないものだったと分かるんだ。

『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ 村上春樹訳 新潮文庫 p.168より引用。


 記事を書く上で原文を参照する必要が出てきて、ついでにその箇所を読んでみると、そこにはこう書いてありました。

 Because it could go on for ever. Not knowing what's yours until you've thrown it away.

"Breakfast at Tiffany's"Truman Capote Penguin Books(Modern Classsics) p.99より引用

 
僕が素人翻訳するとしたら、「きっとこんなことが永遠に繰り返されるのよ。何かを捨てるまで、自分が捨てたもののことを、分からないでいるんだ」と訳します。

 おそらく僕の訳では不正確だし、村上さんの訳の方が遙かにスマートで力強い訳し方です。このフレーズがあったから、僕は小説を書きはじめたといっても過言ではありません。

 僕のは明らかに直訳ですが、村上さんは意味が通じるように、『Not knowing~,until~』を「~まで、~を分からない」というところを、引っくり返して、「~から、~を分かる」という風にうまく訳しているんですよね(もし、翻訳の世界では常識的な訳し方だったらごめんなさい)。

 さらに「捨てた」ものは、自分にとって「なくてはならない」ものだったというニュアンスまで「What's yours」のなかから汲み取っているんです。これってそう簡単にできる訳し方ではないと思うんですよね。詩人の訳し方だと思うんです。

 レイモンド・チャンドラーの「撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ」みたいに、このハードボイルドっぽい言い切り口調が最後の最後に来るというところで、僕はやられました。

 こんな感じで、楽しく記事を書かせて貰っています。
  
 仕事の方にまだ慣れていないので、ポメラ日記の更新は緩やかになりますが、またぼちぼち書く日々のことを綴っていけたらなと思います。

 僕が運営する『もの書き暮らし』のブログでは、もの書きに役立つアイテムをリストアップした記事を更新しました。第二弾の記事も用意する予定なのでお楽しみに。


 2023/07/15 13:38

 kazuma

もの書きのkazumaです。書いた文章を読んでくださり、ありがとうございます。記事を読んで「よかった」「役に立った」「応援したい」と感じたら、珈琲一杯分でいいので、サポートいただけると嬉しいです。執筆を続けるモチベーションになります。いつか作品や記事の形でお返しいたします。