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MakerDAOのアジア進出と真の分散化に向けた鍵を握る「SakuraDAO」とは?

MakerDAOが先日日本向けローカライズの一環であるSakuraDAOを発表した。

そもそもMakerDAOとはどんなDAOなのか。そしてMakerDAOが今回SakuraDAOに至った経緯や目的などについて考察していければと思う。

リンク:
SakuraDAO Frontend: https://sakuradao.com/
SakuraDAO Forum: https://forum.makerdao.com/c/sakura-subdao/88
SakuraDAO Discord: https://discord.gg/EZbGnHa6


MakerDAOとは

https://makerdao.com/


そもそもMakerDAOとは何なのか。まずはそこから説明する必要がある。 MakerDAOとは 2016年に創業者のルーンクリステンセンにより設立された世界で現状最も古い、そして最大のDAOである。
最大の特徴はDAIと言うステーブルコインを発行する点で、DAIとは別にガバナンストークンであるMKRトークンよって投票が行われている。

MakerDAOの課題

そんなMakerであるが、約8年ほどの歴史を持っている中で数多くの課題が露見してきた。

その1つは集権性の分散化と完全な自律分散型の実現困難性にある。
創業者のカリスマ性、トークンの偏在、そして彼の難解なプロポーザルにより、古参以外の多くの人々がDAOのガバナンスに参画できないことが必然的に中央集権性を増加させている。これによりガバナンス構造上、大きな課題が存在している。

加えて各国当局の規制が強まる中DAOの中央集権性や分権性が疑われたことより、規制当局による圧力がより顕在化してきた事は言うまでもない。さらにマーケットがベアで下降気味であるにもかかわらず市場としてのリスクヘッジを考慮しても中央集権性がDAOに見られることは非常に分が悪いといえよう。

これは最大のDAOとしては非常に致命的な問題である事は創業者やコアチームも認識をしており、この対策がMaker全体として直面している大きな壁となっていた。

課題解決をはかるビッグアップデート「EndGame」

これらの直面している課題を解決するアップデートがMakerDAO End Gameである。

MakerDAO End Gameの主な目的としては、強靭性の向上や参加のハードルを下げることによる、ガバナンス効率のアップにある。

具体的施策として、いわゆる支社的な役割である「SubDAO」を各地域ごと設立を行うほか、AIの導入についてもアップデートが進むにつれて行われるとアナウンスされている。

SakuraDAOとは


SakuraDAOは、そんなEndGameの流れを汲んだ日本向けのSubDAOである。

MakerDAOは欧州や北米のマーケットの人口と比較し、アジア圏の人口が少ないことが課題であった。そのためKorea Blockchain WeekやTOKEN2049など、韓国やシンガポールなどアジア圏でも同じようなSubDAOのローンチが行われる。

しかしとりわけ日本に特化したSakuraDAOからはMakerの狙いと、真の分散化を目指すMakerとしての今後の展望が見て取れる可能性がある。

今回発表されたMakerDAO End GameのSubDAOローンチイベントでは、SakuraDAOとして日本にローカライズした形での展開プランについて発表がなされた。

SakuraDAOの特徴を一言で説明すると「DAIトークンを使い、sDAIで報酬が得られるなんでもDAO」である。

むしろそれ以外のロードマップはほぼ公開されていない。


SakuraDAOとしては「何をやっても良い」ということがテーマとして挙げられている。ユーザーがDAIトークンさえ持っていれば、音楽プロジェクトでも、ガバナンスプロジェクトでも、公共財プロジェクトでも、なんでも立ち上げられる。その立ち上げをMakerが支援する、という内訳だ。

もう一つの特徴はDAIトークンをステーキングすることで、DAIトークンのサブトークンであるsDAIトークンがこれらの活動に応じて報酬として獲得できる点である。

https://github.com/makerdao/sdai


sDAIとは、Maker上で展開されるDeFIプロトコルのSparkに導入されるトークンだ。
sDAIは、いわばSparkが導入する利回りを生み出す役割を果たすトークン。DAIをDAI Saving Rate(DSR、平たく言えばステーキング活動)に預けたものをトークン化したもので、DAIおよびsDAIをUSDCに1:1のレートで交換できる。

https://www.sparkprotocol.io/

Sparkは、2023年5月9日から開始されるDeFi(分散型ファイナンス)のプロトコルで、DAIを中心に展開されEthereum上で動作するセキュリティに優れたプラットフォームである。Sparkは、ETH、stETH、DAI、sDAIなどの資産の供給と借入れを行うための機能を備えており、Maker自体の流動性を高める活動に貢献している。

MakerDAOの日本展開の理由

SakuraDAOの本格的な活動は2023年末ごろを予定しているが、韓国と共に少しローンチを早めたのには訳がある。

より長い時間をかけ日本のコミュニティーを育成することが、 言葉も文化も違うMakerの日本進出の確実性を高めるという可能性があるためだ。
そして何より、日本はIP、暗号資産の規制、そして豊富なクリプト人口を有しており、Maker側からしても非常に魅力的な市場である。

だからこそKorea Blockchain Weekなどのイベントを控えている中で日本でもSubDAOローンチイベントを開いたのはそのような狙いがある。

とはいえSakuraDAOのガバナンストークンのローンチは2023年末から2024年を予定しており、DiscordやGitリポジトリには公開当時何一つ更新されていない。Sakuraのページもウォレットコネクトでき次第トークンをSpark Protocolにステーキングできる簡単な機能があるのみでほぼ全く何もないと言っても良い状態である。

所感

DAOの立ち上げと言うものは非常に困難を極める活動であり、メンバーの一部がしっかりとイニシアチブをとってコミュニティーの形成と拡張に努めていく必要がある。 つまりDAOは最初は集権的に始まるものであり、徐々にスタートアップのようにスケールしていくにつれ流動性と分散性が高まっていくのが一般的であるためだ。

そして、何をやっても良いということは逆を返せば何をやって良いかわからないにつながりかねない。

GameFiやNFTが未だ強い勢力を誇る日本市場においては、DAOのガバナンスに強い関心を寄せる人間はそう多くは無い。そのためSakuraDAOに能動的に関わる人々の性質と言うのは非常に限られたものになると思われる。

またMKRやDAIを投資対象として捉える人間が一定数いる限りにおいては、日本のSakuraDAOのコミュニティがどのような空気感を持ち、どうスケールしていくかにおいてはかなりガラパゴス化の様相を呈しても全く不思議ではない。


ガバナンストークンのローンチを2023年末そして2024年の初めに予定しているため、ガバナンス機構は今後構築されてゆくものと思われる。
何も決まっていない。ほぼ情報も明かされていない。そんなカオスの中で立ち上がったSakuraDAOではあるが、今後どのような形で展開していくのか。吉と出るのか、凶と出るのか。



我々としてもSakuraDAOのガバナンスシステムを下支えすべくアジア初のガバナンスファームを設立中である。今後の趨勢に注目だ。


DAOAsia公式ツイッター https://twitter.com/DAOASIA_


SakuraDAO関連リンク

SakuraDAO Frontend: https://sakuradao.com/
SakuraDAO Forum: https://forum.makerdao.com/c/sakura-subdao/88
SakuraDAO Discord: https://discord.gg/EZbGnHa6

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