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Podcast(ラジオ番組)作りを授業に取り入れてみよう!

SpotifyやAmazon Music、Apple Podcastなどサブスクリプションサービスの普及により、ひと昔前と比べてPodcastやラジオといった音声メディアが子ども達にとって身近な存在となりつつあります。
私自身も最近、voicyのパーソナリティを始めた影響もあり、スライドや映像など視覚情報に頼らず、言葉のみでわかりやすく簡潔に説明することはとても難しいんだなと実感しています。言葉を使って人に何かを丁寧に伝えていく作業は小さい頃から訓練していかなきゃいけないんだなと。

今回は、英語の初学者向け(中学生や小学校高学年)のアクティビティとして「Podcast(ラジオ番組)作り」を紹介します。

「言葉」に集中したアクティビティを作ること

学習指導要領が数年前に改訂されて以降、中学校で扱う文法事項や表現の量や幅が増え、内容も以前と比べて難しくなっています。
小学校高学年のスタートでいきなり英語につまづいてしまった子ども達にとっては、現行のカリキュラムに沿って授業を展開していくとますます英語嫌いや英語が苦手な状態を助長してしまう恐れもあります。(反面、英語が得意な子ども達にとってはどんどん自分が表現したいことについて英語で書いたり話したり、チャレンジすることができるようになってきたとも考えられます。)

中学1年生の中盤以降、早くも「過去形」が登場します。以前までは中1の最後か中2の最初に出てきた単元ですので、学ぶべき内容が前倒しになっていることがこういった部分からも伺えますが、大量の不規則動詞の数々をこのタイミングで一気に覚えなければならなかったり、3単元のS(He plays〜、Does she study〜?)などつまづきやすい単元が続くことからも、こうした難しい内容を扱う際は、子ども達にとって楽しく、習得してもらいたい文法事項や内容(Target Language)を自然と運用できるアクティビティ設定が大切になります。

従来の学習では、難しい単元に突入した際、小テストをしたり、教科書の本文を音読したりして内容の理解度を確認していました。
今回紹介するPodcast作りは、Podcastで語る内容について英語の原稿を自分たちで書いてもらうところからスタートします。

Podcastで放送するテーマはその時扱っている授業の内容によって設定します。
今回は「過去形」がTarget Languageですので、「今年の出来事について振り返り、紹介するPodcast(ラジオ)番組を作りましょう」というテーマを設定しました。
学校行事の思い出や部活動で起こった出来事、家族の思い出などを紹介したり、インタビューやクイズなど英語を使って自由な形で表現し、一本のPodcast番組を作ります。

翻訳サービスや生成AIを上手に活用して原稿を書く

子ども達は、まず番組で読み上げる原稿を自分たちで英語を使いながら書いていきます。
現代の子ども達は、こちらが何も指示をしなければまず翻訳サービスに日本語を突っ込んで、そのままでてきた英文を使おうとします。
このPodcast作りのもう一つの目的やねらいとして、翻訳サービスや生成AIが提示した英語を上手に修正しながら英語の文章を書くという点があります。
このアクティビティを行う際の私たち英語教師の主な仕事は子ども達との対話と原稿の修正です。子ども達が書いた原稿は表現のミスだけではなく、翻訳に頼って出てきた難しい表現や言い回しなどが多く混ざっています。
原稿を提出してくれた子ども達それぞれと丁寧に対話をしながら「どんなことが言いたいのか」「どの表現が適切に自分の気持ちを言い表しているのか」探りながら原稿を修正します。
このやり取りを繰り返していくと、子ども達は英語を書く作業の全てを翻訳やAIに頼ろうとせず、自分の言葉と翻訳が出した英語との感覚的なズレを自然と修正するように意識が変わっていきます。(少なくとも、この表現が正しいかどうか自分以外の誰かに意見を求めることができるようになります。)

英語の原稿を修正していく過程を通して、主語や目的語など基本的な英文の要素や構文の理解、過去形や現在形など時制を正しく使っていく感覚を早い段階に実践ベースで身に付けられることも大きなポイントです。

英語が苦手な生徒達向けにサンプルの原稿とPodcast音源を準備しておくと、そのサンプルをもとに(フレームはそのままで、穴埋め形式のように)自分らしい原稿を作ることが可能です。

サンプルの原稿。使用してほしい不規則動詞や疑問文などをここに盛り込んでおきます

GarageBandを使ってPodcastを収録する

Podcastの収録にはiPadのGarageBandを使います。
ナレーションの音声だけではなく、BGMの録音も同時に行います。
ナレーション原稿に合わせた思い思いのBGMを作ることで、より自分の書いた内容に愛着やこだわりが持てるようになるのもPodcast作りの特徴です。

↑ GarageBandを用いたPodcastの作り方はこちらの記事を参考に!

ナレーションの収録では、ミスに気をつけながら正しい発音を自然と心掛けるようになるため、発音のチェックやきちんと読めているかなど友達同士で確認し合いながら進めることができます。

↑ 和田が作ったサンプル動画
中学1年生には取っ付きにくい(イメージが付きにくい)ような英語の表現については、あえて英語ではなく日本語をそのまま使って録音するのがいいかなと個人的には感じています。英語の初学者向けの授業展開であれば尚更。
(例えば先輩→Seniorsではなく、”Senpai”、文化祭→"Bunkasai"など)

Podcastやラジオ番組作り、なかなか楽しくて奥が深いのでぜひみなさんも挑戦してみてください〜!!

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