見出し画像

【iPadを用いた授業作りのヒント③】PBLとCBL

前回のブログで、授業におけるCreativity(クリエイティビティ)の重要性についてまとめていきました。

みなさんは、普段どんな授業をしていますか?
教科書を開いて、音読して、新しい単語の発音をして、問題集を解いて、、、、
「結局大学入試も当分変わらないし、学校からは授業のスタイルについて見直せって言われてるけど今まで通りのスタイルでいいかな(めんどくさいし)、ぶつぶつ、、、」となんだかんだいまだに教師からの一方通行授業、続けていませんか?
今回は講義型の授業にプラスすると効果的なアクティビティの作り方をご紹介します!

PBL(プロジェクト・ベース・ラーニング)

生徒たちが主体的に参加できる授業アイデアとしてPBL(プロジェクト・ベース・ラーニング)が挙げられます。

プロジェクトとは、一斉授業で学習した内容や、単元のポイントを活用して、生徒たちによりその既習事項を深く理解してもらうためにグループや個人で調べ学習をしたり、創作発表活動を行うことを指します。
教科書が終わったあとの「発展的な学習」というイメージでしょうか。

また、学校によっては「探究学習」などの言い方でこうしたプロジェクトを実施することも多いと思います。

一般的な英語の教科書は、本文、新出単語、リスニング問題など英語を「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能についてバランスよく授業を組み立てられるような作りになっています。

2019茂原先生まとめ.001

例えば、中学2年生が英語の授業で扱うNEW CROWN から「小笠原諸島の生態から自然保護について考える」(習得すべき文法事項は”接続詞 that”)を例に考えてみます。

プロジェクトを組むにあたっては教科書の本文を一通り授業で扱った後、教科書の端の方に記載されている「コラム」や「ひとくちメモ」的な部分を使って授業を組み立ててみるのが、最初のうちはやりやすいと思います。
今回の「小笠原諸島の生態から自然保護について考える」という単元で教科書にコラムとして掲載されていた部分には、「環境問題について、様々な言葉」がイラスト付きで紹介されていました。この部分を使って様々なプロジェクトを考え、組んでいきます。
(ここからが教師の腕の見せ所です。生徒がより楽しく、深く学べるような活動を考えてみましょう!)

PBLのアイデア① 環境あいうえお作文

様々なプロジェクト活動が考えられますが、私の授業ではこれを使い、環境問題について調べてプレゼンテーションを行ってもらいました。

2019茂原先生まとめ2.001

ただ単に環境問題について調べて発表する活動は、社会科でも絶対行っているはずなのでこれだけでは全くおもしろくありません。活動についてアレンジを少し加えるのが大事なポイントです。
私はこのプレゼンテーションを、「あいうえお作文」にして、紹介したい環境問題についてまとめて発表する。というアレンジを加えました。

スクリーンショット 2020-02-04 12.14.01

↑私が作ったサンプルはこんな感じです。これをもとに一枚の絵をiPadで描きます。

スクリーンショット 2020-02-04 12.17.43

↑あいうえお作文をもとに私が描いたサンプルのスライドです。
(絵、上手じゃないですか??w)iPadを使うと簡単に素晴らしい絵がタブレット端末上で描けます。
この絵、一枚を見せながら、事前に自分で書いた英語の原稿を読んでプレゼンテーションをします。

スクリーンショット 2020-02-04 12.27.10

英語が苦手な生徒たちには、今回の単元で扱った文法事項を使ってこんな文章書けるよ。みたいなワークシートを作っておくと動きがよりスムーズになるかもしれません。

スクリーンショット 2020-02-04 12.25.16

↑こんな感じです。前回の単元をさりげなーく入れ込んどくのも大切かなと思います。(前回は助動詞should, mustなどを学習しています。)

スクリーンショット 2020-02-04 12.26.47

基本的に子供たちは創作活動(今回は絵を描くこと)が大好きなので、作り始めるとどんどんこだわりはじめ、最終的には自分で作ったプレゼンテーションにめちゃめちゃ愛着が沸くようになります。
この部分が一番大切で、どの生徒たちも自分の手で時間をかけて作ったプレゼンテーションを大切に相手に伝えたいという気持ちが芽生えます。
このプレゼンテーションをどんな英語(単語やフレーズ)を使ったらより相手にわかりやすく伝えられるんだろうか、子供たち自身で工夫して考え出します。
丁寧に何かを作る作業が、結果的には英語を使ってしっかりと表現する活動につながってくるのです。

2019茂原先生まとめ2.001

(英語の原稿にカタカナのルビを振ったり、日本語の意味を添えておいたり生徒の工夫がみられます。)

CBL(チャレンジ・ベース・ラーニング)

スクリーンショット 2020-02-07 23.33.25

こうした活動の発展系としてCBL(チャレンジ・ベース・ラーニング)というアクティビティがあります。
PBLとの違いは、教科書の内容等をもとに教師主体でプロジェクトを組むのではなく、CBLは実社会や子供たちの身の回りに起きている諸問題について子供たち自身が提案し、考え、解決に導くような活動であるということです。
上の図が、CBLのコンセプトを表した図です。(英語版しかなくてすみません、、、w)
簡単に紹介すると、①ENGAGE(子どもたちの興味関心を惹きつけるような魅力的なチャレンジや社会的な課題について知る)→②INVESTIGATE(その課題について調べたり、分析をする)→③ACT(課題の解決にむけて具体的に行動する)というステップを踏みます。

イメージとしては、文化祭で有志団体が食品を販売するブースを出したとき、どんな食べ物が人気なのか、価格はどうするのか、ゴミの問題はどうするのか。など経営戦略を立ててみたり、
部活動で大会に出ます。どうやったら相手のチームに勝てるのか、どんな練習が必要なのか、生徒自身が考えて実行するプロセスに近いと思います。

CBLの例の一つとして、友人の社会科教諭である神野さんが授業で実践したUNIQLO「届けよう・服の力project」をご紹介します。

まとめ

PBLにもCBLにもそれぞれの良さがあり、どちらが優れているのかということはないと思います。CBLの方が実施のハードルが高いからこっちができた方がスゴイとそういうことではなく、大事になってくるのは目の前の生徒たちのレベルや成長段階に合わせて適切な活動の場を提供できるかどうかではないでしょうか。

次回のブログでは、こうした生徒主体の活動を取り入れた授業の評価についてまとめています。ぜひこちらもご一読ください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?