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山田 和正
2017年8月30日 10:41
あぶら蝉が暑さをかきたてるように鳴く真夏日。定時。仕事をいそいそと切り上げると、小走りで酒場へ向かう。体が欲するのは、キンキンに冷えた、黄金色に輝く命の水。本日のお目当ては、荻窪「煮込みや まる」。お店に到着し、さっそく「とりあえず、生!」と威勢よく注文しようとした瞬間、目の端に何かを捉えた。はて、何だろうこれは?お品書きに書かれているのは、日本酒の銘柄と女優の名前。「辨天
2017年8月23日 09:57
ずぶりずぶり。もがけばもがくほど、深く沈んでいくのが沼というもの。僕はいま、沼の中にいる。沼に片足を突っ込むどころか、いつの間にか首まで突っ込んでしまい、沼の水面からようやく顔だけ出して呼吸している。沼の名は「ぬた沼」。野菜、山菜、魚介類を酢味噌で和えた、あの「ぬた(ぬた和え)」である。そもそも、ぬたの語源は、酢味噌のドロっとした感じが「沼田」に似ているということで、「ぬまた」がなまって「