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生き残った男の子

はじめに

お芝居の仕事をする上で、関わる作品と同じイメージを持つ別の作品を探すことが好きです。特に、漫画や音楽といった演劇とは違う分野とリンクさせようとすることがあります。なぜなら、一見遠そうな世界と共通項が見つかって文脈がパチっと合うと、これが気持ちいいからです!

例によって「呪いの子」の場合も同じようなメッセージを持つ音楽はないかなぁと探してました。気づいたのは、この物語は結構パンク・ロックと相性が良いこと。例えば、THE BLUE HEARTSの楽曲の多くはアルバスの冒険や彼の内部にある使命感を描写するものが多いです。「未来は僕らの手の中」なんてタイトルそのものがもう、ね。

色々聴いた結果、ある曲に辿り着きました。その曲は英語なので、この記事はハリー・ポッターの気持ちに寄り添って和訳をしてみた、という内容です。

曲は、"Welcome to the black parade" / マイ・ケミカル・ロマンス

中高の頃にハマったんですが、再び聴き直したら、この曲は「死にゆく者」と「生き残った者」がテーマ。
僕は「ハリー・ポッター」シリーズは舞台を含めて死をいかに克服するかが命題となっている気がするのでこの曲を選びました。
注意していただきたいのは、かなり捻じ曲げて意訳している点。本来の歌詞と違うじゃねーかと思われる余地が大いにありますが、ご愛嬌ということで。

歌詞と実際の曲、そして舞台の物語を思い出してみてくださいね。では↓

"Welcome To The Black Parade"
和訳 「呪いの子」バージョン

When I was a young boy,
まだ小さな子どもだった頃、
My father took me into the city
父さんが連れて行ってくれた気がする
To see a marching band
街へマーチングバンドを見に行こうって

He said,
父さんは言ったんだ
"Son, when you grow up
「息子よ 大きくなったら
Would you be the savior of the broken,  
救世主になってくれないか?
the beaten and the damned?"
儚く散った人間や周りで悩み苦しむ人々の」

He said,
父さんは続けた
"Will you defeat them?
「打ち勝てるか?
Your demons and all the non-believers,  
お前の中にいる悪魔や お前を信じない奴ら
the plans that they have made?
連中が企むすべてを

Because one day, I'll leave you
というのも、俺とママはお前の元から
いなくならなければならない運命らしい
A phantom to lead you in the summer
代わりに機が熟したら 
ある魔物が迎えにやってくるんだ
To join the black parade..."
ブラック・パレードがお前さんを待ってるぞ
ってな」

…(INTRO)

Sometimes I get the feeling
時々、妙な気分になる
She's watching over me
母さんが今の僕を見てるんじゃないかって
And other times I feel like I should go
ま、そうじゃない時は「ただ目の前のことを」ってつもりだけどさ

And through it all, the rise and fall,
これまでずっと上がり下がりを繰り返し、
The bodies in the streets
いくつもの屍を見てきた身だ
And when you're gone,
だからこそ言える 別れの時がくれば
We want you all to know
覚えておいてほしい

We'll carry on, we'll carry on,
僕らは生き続ける 進み続けるだけだ
And though you're dead and gone, believe me,
たとえあなたが死にゆく運命でも 信じてよ
Your memory will carry on
あなたの意志は引き継がれていくから
We'll carry on,
僕らは生き続ける
And in my heart I can't contain it
僕の心には到底入りきらない
The anthem won't explain it
聖歌でさえ説明できない

A world that sends you reeling
世界が君を不安にさせる
From decimated dreams
悪夢のようなぞっとする世界が君を
Your misery and hate will kill us all
苦痛憎しみは破滅へと向かわせる

So paint it black and take it back,
そんなもん黒く塗りつぶしてしまえ
Let's shout it loud and clear
取り返そう 気が済むまで叫ぼう
Defiant to the end we hear the call
その声がせめてもの僕らの反逆だ

To carry on, we'll carry on,
生き続けるために 僕らは生き続ける
And though you're dead and gone, believe me,
たとえ君が死にゆく運命でも 信じてくれ
Your memory will carry on
君も生きていられる 絵の具と記憶なら
We'll carry on,
僕らは生き続ける
And though you're broken and defeated
たとえ打ちひしがれ 立ち直れなくとも
Your weary widow marches
生き残った僕たちは歩き続ける

On and on, we carry through the fears
どんな恐怖も乗り越える 
いつだってそうしてきたんだから

Disappointed faces of your peers
家族をがっかりさせたり 
友とぶつかることもあるかもな

Take a look at me, 'cause I could not care at all
でもほら、僕を見てごらん
「大したことない」って顔してるだろ?

Do or die, you'll never make me
やるかやられるか 世界は僕を変えられない
Because the world will never take my heart
そもそも僕の心を奪えないからさ
Go and try, you'll never break me
やってやろう 負けるはずがない
We want it all, we wanna play this part
全員が望んでる 僕らでやるしかない

I won't explain or say I'm sorry
説明不要だし、撤回もしない
I'm unashamed, I'm gonna show my scars
恥でもなんでもない 僕の傷を見せよう
Give a cheer for all the broken
くじけた人々の励ましになるなら
Listen here, because it's who we are
これが自分なんだ 聴いてくれ

I'm just a man, I'm not a hero
僕も普通の人間さ 英雄なんかじゃない
Just a boy, who had to sing this song
ただのガキさ こう生きるしかなかったんだ
I'm just a man, I'm not a hero
父さん、悪いな 救世主じゃないや
I don't care!
でもそんなこと、もうどうでもいいよな?

We'll carry on, we'll carry on,
僕らは生き続ける 進み続けるだけだ
And though you're dead and gone, believe me,
この先 パパが死んだとしても 信じてくれ
Your memory will carry on
今度はお前の心で生き続けるんだ わかるな?
We'll carry on,
僕らは生き続ける
And though you're broken and defeated
また別れに心が折れそうなら こう考えよう 
Your weary widow marches on…
僕たちは「葬列」という名の、
可笑しなマーチングバンドなんだ、って…



We'll carry on...
これからもだ

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