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学童野球は自分を少し大人にした。


小学校4年生の時、野球を習いはじめた。

野球が好きで好きでしょうがなかったか?と言われると全然そんなことない。

プロ野球も見てなかったし、甲子園も興味ない、なんだったら、延長したら見たい番組見るの遅くなっちゃうじゃんかよ。って思ってた。


アニメのメジャーくらいだよ。野球で興味あったのは。

名字がメジャーにでてくる本田とか、茂野とか、佐藤だったら、もっと野球うまかったんじゃね?って当時は本気で思ってた。

名字が同じやったら、それはそれで変に意識して違う名字がよかったとか言ってたんやろうな。

なんにも関係ないんに。

なにかのせいにするのが得意な小学生だった。
ひねくれてたと思う。

そんな学童野球は4年生から習い始め、大谷内を少しだけ大人にしてくれた。

これっ!ていうきっかけは覚えてなくて、たしか友達のお兄ちゃんが野球やってて、なんとなくやろうかなって思った気がする。

その友達は1個下だったんだけど一緒に学童野球チームに入った。そのチームは隣の隣の小学校の野球チーム。

僕の小学校には、野球グラウンドもなかったし、チームを作る人数もいなかった。
休み時間は学年関係なくドッヂボールをしてた。全校生徒の名前が言えた。60人前後しかいなかったからね!

だから少し遠くても、そのチームに入るしかなかった。

そのチームの練習は土日だけ、初めての練習の土曜日、初めて外野フライのノックを受けて、ボールの落下点に入った!と思ったら顔面に当たってた。

ちょっとだけ野球を始めたのを後悔した。

その次の日の日曜日、9時からのアニメが見れない。金色のガッシュベルが見れない。

また、ちょっとだけ野球を始めたのを後悔した。

そんなやつだよ自分は。

そっからメキメキ上手くなって気付いたらチームの中心になっているっていうわけではなかった。

土日しか練習がないってことは、平日は自分で練習しなきゃいけないってこと。

向上心がなかった僕は、平日は学校行って放課後友達と遊んで、飯食って風呂入って9時には就寝。

土曜日久しぶりにボールを投げて、日曜日に筋肉痛になるっていう、どう考えても上手くなるはずのない毎日をすごしていった。

4年生の時の試合は、外から応援。ベンチにいても、もっぱらランナーコーチか最終回の代打、頑張ってないんだから悔しいとかも思ってなかったと思う。

むしろ、自分なんて下手なんだからスタメンで出るなんて想像できなかったし、スタメン発表で名前が呼ばれなくて安心しちゃう自分もいた。


それはそれで、楽しかったこともあった。自分の小学校以外に友達ができた。

同じ小学校から練習に参加してる友達とは、もっと仲良くなれた。

少しだけど上下関係も知れた。


今でも、たまに思いだすエピソードがある。

5年生の時かな。背番号渡しがあった時の話。
人数でいったら、6年生と5年生全員が背番号を貰えてたと思う。

6年生全員が背番号をもらって、仲良しの同級生の名前が呼ばれて、4年生の上手で頑張ってる子が背番号を渡された。

自分はもらえなかった。
同学年で1人だけもらえなかった。

恥ずかしかった。当時初めて経験した感情だった。あの気持ちは忘れないんだろうなって思う。

背番号をもらえなかった理由は、すごく簡単で僕より上手い子が下級生にいたから、自分が下級生より野球が下手だったから。頑張ってこなかったからだ。

そのチームが特別強くて、スタメン争いが激しかったわけじゃない。1、2回戦負けがあたり前のチームだった。

それでも、背番号をもらえなかった、必要とされなかったのがつらかった。

帰って素振りしながら泣いた。
泣きながら素振りした。

その時はちゃんと悔しかった。

ちょっとだけ野球上手くなりたいって思った。
そっからエースになってクリーンナップになれるほど、漫画みたいな話はできないのが申し訳ない。

特に、この先チームでも個人でも結果を残せることはなかった。


でも、あの背番号をもらえなかった瞬間の感情は、これから僕の人生で何度か味わうことになる。当時はそんなこと知るはずもなかった。

野球に出会えてよかったってよりは、普通に生活してたら出会えない自分を見つけれてよかったって思った。

自分が高校2年生の時やったかな、当時、僕が習ってた監督が亡くなったのは。
僕は身近な親族や大切な人を亡くしたことがなかった。だから今思えば初めて死を考えた時は、その時が初めてだったかもしれない。

悲しかったっていうよりは不思議だった。元気だった時の記憶しかないから、二日酔いで練習に来る監督しか知らなかったから。

人って死ぬのは知ってたけど、初めてちゃんと知った。

監督が昔教えた人らが、お通夜にたくさん来てた。僕らの学年はあまりいなかった。

背番号もらっといて、現金なやつらだ!

補欠の僕は、いろいろな感情がぐるぐるしながら監督を見送った。

野球を始めたおかげで少しだけ大人になれた気がする。

野球を始めたことを、もう後悔してない。
日曜のアニメを我慢してよかった。

2019.12.16





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