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栄養学と健康研究におけるエビデンスの信頼性について

エビデンスの多様性と信頼性について

栄養と健康の関係には、肯定的な結びつきと否定的な結びつきが存在します。同じ研究テーマに関しても、異なる結果が得られることがあります。例えば、油を摂取すると体重が増加するという研究結果がある一方で、油を摂取しても体重に変化がないという別の結果もあります。これらの違いから、一般の読者は栄養学が信頼性に欠ける学問であると感じるかもしれません。

エビデンスの判断は国際的に合意された基準に合わせる

栄養学の専門家は、同じテーマなのに異なる結果がある場合、研究論文を細心の注意を払って詳細に検討し、判断する責任を負っていますが、専門家の間でも意見の不一致があります。これは、栄養と健康の関係が非常に複雑で多くの要因に影響を受けるためです。また、専門家とされる人たちの中にも、最新の知識や技術が更新されていない場合、明確な結論が必ずしも導き出されるとは限りません。では一体どうすればよいのでしょうか。そんな時、国際的に合意された基準に合わせることで、意見の一致が得られる可能性は高いと考えます。

エビデンスにはレベルがある

エビデンスには質の違いがあります。質の高いエビデンスを得るには、研究テーマにあった適切な研究方法が必要です。また、因果関係が成り立つには複数の高品質な研究が同じ結果を示す必要があります。

以下にエビデンスの質に違いが出てくる、研究方法が異なる例を書きます。

  1. 医学の研究で、大規模なランダム化比較試験の結果は高品質のエビデンスと見なされます。例えば、新しい薬の効果を調べるために数千人以上の患者を対象にした試験です。

  2. 自己報告に基づくアンケート調査は、低品質のエビデンスとされることがあります。なぜなら、人々の主観的な意見や記憶に基づいており、誤った情報が含まれる可能性が高いからです。

  3. メタ分析は、複数の研究結果を統合して全体的な結論を導くための方法で、高品質のエビデンスを提供することができます。多くの独立した研究が一致した結果を示す場合、信頼性が高まります。

高品質のエビデンスは信頼性が高く、科学的な結論を支持するのに役立ちます。

国際的な健康研究における異なる結果と研究方法の影響

同じテーマについてアメリカと日本で異なる結果が出ることがありますが、単に「国が違うから」と説明できるわけではありません。異なる要因が影響することも考えられますが、前記に示した研究方法がことなると結果が異なるのは想定されます。したがって、 因果関係を立証するために、研究デザイン(研究方法)が非常に重要です。このようなことから、出版された論文に含まれるデータの収集方法や統計解析手法を詳細に検討する必要があります。

信頼性のある研究結果を得るには、研究者のスキルが必要

信頼性のある研究結果を得るには、研究を計画し実施できる研究者のスキルが必要ですが、それだけでなく資金と時間も必要です。資金が豊富でも高品質なエビデンスが得られるとは限りません。最近では、「エビデンス」という言葉が一般的になってきましたが、エビデンスの品質についての認識はまだまだ十分ではないと思います。

まとめ

栄養と健康の関係には、肯定的な結びつきと否定的な結びつきがあり、同じ研究テーマに関して異なる結果が得られることがあります。一般の読者は栄養学の信頼性に疑念を抱くかもしれません。エビデンスの品質には違いがあり、高品質なエビデンスを得るには適切な研究方法が必要です。因果関係を示すには複数の高品質な研究が一致する必要があり、研究方法の違いによる例も示されています。栄養学の専門家は国際的に合意された基準に従って判断しなければなりません。

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