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メトロポリタン美術館


2011年アレキサンダー・マックイーン回顧録展時のメトロポリタン美術館

メトロポリタン美術館は歌川広重作品をはじめ多くの浮世絵を所蔵している。メトロポリタン美術館には何度か行ったが、残念ながら広重作品に遭遇した事はない。そもそもメトロポリタン美術館は膨大な作品を所蔵している訳だから、展示に遭遇出来る確率は低い。どうしても観たければあらかじめ展示を確認してから行くべきなのは解っているが、訪れるたびにもしかして展示されているかなと淡い期待を抱いてしまう。

歌川広重 大はしあたけの夕立 パブリックドメインによる

初めてメトロポリタン美術館に行った際、見た事のある有名な絵画を始めとする美術作品の展示方法に驚いた。多くの作品に規制線などなく、作品を間近で鑑賞出来る環境に衝撃を受けた。
近年日本の美術館も展示に際して相当オープンになったっが、それでも欧州や米国の美術館の展示と比べるとやはり観覧に制限が多い。別に日本の美術館がいけないと言っているのではない。このような状況は単に文化の違いや展示の契約によるのが大きいのだろうが、やはり間近で作品を鑑賞できるのは、芸術を体感する意味で素晴らしいと思う。

2020年頃から美術館で環境保護団体が温暖化の警鐘目的で、作品にペンキやインクをかけるといった愚行をニュースで目にする。これは芸術への冒涜だ。とにかく目立つ事を目的としたパフォーマンスに暴力を用いるのは姿勢に怒りを覚える。彼等は一応ガラスで保護された絵画にペンキやインクをかけているので、作品に傷は付けていないと主張しているが、いやいやいや、額はどうなの?。額も作品の一部。それを修復不能にまで傷つけておいて、構わないという独善的な主張には本当に呆れる。
芸術作品は時代によって政治に翻弄されていきた。それは残念ながら現代も変らない。
近年欧州や米国の美術館でも日本の様にガラスで保護したり、柵をもうけて作品と距離を置いて鑑賞するケースが増えている。仕方ない事だが、やはり寂しいし、残念である。

話は戻るが、歌川広重は北斎程ではないが、やはり海外で人気は高い。広重の作品は米国や欧州での評価は絶大なものがある。特に彼の用いる青はヒロシゲブルーと呼ばれ多くの芸術家や愛好家に愛された。勿論当時は展示に際してガラス越しで鑑賞ではなかったであろう。欧州や米国人は直接作品を見る事が出来、その色合いに感嘆した事だと思う。

当たり前だが、鑑賞方法によって作品から受ける印象は変わる。今はネットで簡単に名画に触れる事ができる。広重の作品も高画質でメトロポリタン美術館のアーカイブで公開されている。でも、それがいくら高画質であっても実際の作品と並べるとその色合いの違いは、はっきりしている。モニター越しで見るのと実際の作品を目の当たりにして鑑賞するのはやはり違うのだ。

私は以前メトロポリタン美術館で、アレキサンダー・マックイーンの回顧展に行った事がある。展示されていた作品は当然彼の代表作として扱われていた作品ばかり。ネットや雑誌で取り上げられていた事もあり、私はそれらを通して多くの作品を知っていた。
しかし実物を見ると、今までとは全く違った感動があった。服の形状や色合いは勿論の事、材質や質感まで手に取るように解かる。今まで知っていたと思っていた作品は、あくまでもその一部でしかなかったのだと痛感した。
本当に彼の作品に圧倒された。そして、その感覚は間違いなく名画を目の当たりにした時に感じた衝撃と同じであった。
ファッションは素晴らしい芸術であると改めて認識した。アレキサンダー・マックイーンの作品を生で目の当たりにしなかったら、あの時の感動は絶対に味わえなかったと思う。

現在多くの芸術作品を高画質の画像や映像で触れる事が出来るのは素晴らしい。でもやはり直接鑑賞する事はモニター越しでは絶対に経験出来ない感動を齎してくれる。
生で鑑賞するという事は画像では得られない様々な情報が得られます。
メトロポリタン美術館は、可能な限り仕切りなどなく、作品を素の状態で公開し続けて欲しいと切に願います。



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