浅瀬
ゴミが溜まっている。
朝早く起きることが無くなったから。
1人天井を見ている。
音楽を聴いている。
飛行機が飛ぶ音が聞こえる。
ここは、全然別の場所なんだと思う。
君が私に語りかけていた言葉たちは、一度も固まることなく、柔らかいまま漂っていた。
今もきっとまだそこにあるのだろう。
机に向かうとき、ペンをノックするとき、紙に文字を書くとき、それぞれの音を久しぶりに聞く。
私はこれが好きだったことを思い出す。
小説のページをめくる。
食欲は湧かない。
部屋の掃除をする。
日が暮れるのが早い。
神様のことを思って体を伸ばす。
冷たい音がする。
永遠に続く穏やかな川の中で私は踊っている。
流されることはない。
それが、すごく恥ずかしいことだと思う。
もし間違いに気づいて、向こう岸に渡ることができたなら、君もきっと笑ってくれるんだろう。
もしくは岸辺から、手を差し伸べてくれるのかもしれない。
しかし私が、間違いに気づくことはない。
私の神様は、ずっとここで踊っている私をにこやかに見守っている。
岸辺で起こっている全てから守られている。
この川を作ったのも、きっと神様に違いない。
日が登ると、空を見上げる。
ただ、それだけのこと。
太陽が水面に反射する。
綺麗だな、と思う。
水草が美味しそうに日光を食べている。
美味しそうだなと思う。
小魚が私の足に触れて、川下に下っていく。
その先には、永遠が待っている。
絶望を感じる。
岸辺が賑やかになる。
誰かが呼んでいる気がする。
遠くて、よく分からない。
太陽がてっぺんに位置するとき、私は影を失う。
その瞬間、少し心が動く。
一歩踏み出そうとするところで、黒い影ができる。
足を戻す。
滑らかな石ころを踏む。
夕暮れ時、長く影が伸びる。
孤独を感じる。
岸辺の方を見る。
すっかり静かになっている。
あたりが暗くなる。
私は踊るのをやめる。
神様は寝ている。
ひっそりと岸辺に近づく。
1人布団に入る。
電気を消す。
硬い床のせいで、体が痛い。
飛行機の飛ぶ音が聞こえる。
遠くに行きたいと思う。
目を閉じる。
面白い話を思いつく。
目覚ましをセットする。
明日こそ朝に起きてゴミを出そうと決心する。
深くなる呼吸の音が聞こえる。
私はこれが好きだったことを思い出す。
部屋いっぱいに満たした私の自己満足が私を温める。
明日を待って、神様が目覚めるのを期待している。
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