『ふるさと納税「市区町村別」寄付・控除額マップ』制作メモ
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

『ふるさと納税「市区町村別」寄付・控除額マップ』制作メモ

荻原 和樹 / Kazuki OGIWARA

12月21日、スマートニュース メディア研究所のGitHub Pagesで『ふるさと納税「市区町村別」寄付・控除額マップ』を公開しました。

ふるさと納税による各自治体(市区町村)の「寄付額」=その自治体に集まった寄付金額=受入額、および「控除額」=住民が他の自治体にふるさと納税を行なったことで税収から控除された金額、が総務省「ふるさと納税ポータルサイト」にて公開されています。

このページでは、各自治体の寄付額と控除額のバランスを地図形式で一覧したり、個別の自治体における寄付額や寄付件数の推移を見ることができます。今回はこのマップに関する制作の経緯やデザインの背景・工夫などを解説します。


公開の経緯

公開に至る経緯を説明すると、少し遡って10月5日、スマートニュース メディア研究所では日本の各自治体や衆院選の小選挙区の地形(境界)データを公開しています。

これは国土交通省や東京大学空間情報科学研究センターの公開するデータに軽量化や飛び地の調整といった加工を施し、各種のツールやウェブサイトで簡単&スピーディに自治体や選挙区の地図データ可視化を作れるようにしたものです。ちなみにデータに基づいて各地域を塗り分ける地図をコロプレス地図(choropleth map)と呼びます。

加工したデータの詳しい使い方はGoogle デジタル報道道場など動画でも解説していますが、今回『Media × Tech』(スマートニュースの運営する、メディアやテクノロジーの未来を考えるブログ)にて「境界データの活用方法を実例で説明してほしい」と執筆依頼があり、データ可視化ツール「Flourish」でのサンプルを作ると同時にウェブ(JavaScript)でも開発サンプルを作ろうと考えた次第です。

せっかくなので実在するデータを使う方がよいだろうと考え、(1)公的機関から公開されるパブリックな統計データであり、(2)市区町村ごとにデータが存在し、(3)Media × Techブログの記事が公開される年末に注目されそうなデータ、という点からふるさと納税のデータを題材に選びました。


デザインと配色

私はいつも新しいデータ可視化を作るときには「デザインまたは技術で新しい挑戦をひとつやってみる」ことにしています。今回は「ダークトーンで地図を作ってみる」が新しいチャレンジでした。

個人的にはもう少しデジタルスクリーン(HUD=Head-up display)の雰囲気を出したかったのですが、後述する配色との両立がなかなか難しかった印象です。

画像2

もうひとつ、今回はスマートニュースカラーをデザインに取り入れてみました。スマートニュースではアイコンや採用サイトなどで4色の公式カラーを設定しています。

画像3

今回はページ各所にほんのりと「スマニューカラー」をあしらいました。白背景の時とまったく同じカラーコードですが、割とすんなりダークトーンの背景に馴染んでくれました。

画像4


データを地図に変換する

自治体ごとのデータを地図に変換する過程においては、まずはデータを読んでどのようにデザインを配置するのがよいか検討しました。ミクロの視点(自治体や利用者の視点)で見ると、ふるさと納税は返礼品の「お得度」や特産品の知名度などのバロメーターになります。したがって、単純に寄付額の多寡でマッピングすることを最初に思いつきました。

一方で、マクロの視点(日本全体を俯瞰する視点)で見ると、よく報道などで言及されるように、ふるさと納税は都市部に集まりがちな税金を地方に再分配するという側面を持っています。この視点で「自治体の損得」が語られることも多く、「ふるさと納税で得している・損している自治体ランキング」といった記事を読んだことがあるかもしれません。

その観点で見ると、寄付額と控除額のバランスをマッピングする方が、それぞれを単独で見せるよりもよりデータの内容を端的に表現するのではないか、と考えました。そうすれば都市部と地方でくっきりと対比が浮かび上がるのではないか、というのが当初の仮説です。

これをビジュアルで表現するために、地図の配色(凡例)はプラスとマイナスでそれぞれグラデーションとしています。

画像5

結果として、おおむね仮説通りの分布になりつつも、一緒くたに「地方は◯◯」とは括れない濃淡があり、全国的に有名な特産品の有無やふるさと納税への熱量など、他の要素も絡んでいる可能性が伺えます。

画像6

また、ここ数年での推移を一覧するために寄付増加率(過去5年間の寄付額の成長率)でもマップを表示するようにしています。

過去5年としたのは、データ自体は2008年度から存在するものの、本格的にふるさと納税の認知度が上がり、全国の市区町村が本腰を入れて返礼品などを整備したあたりからの推移を見るためです(そうしないと、どの自治体も数百倍の倍率になってしまう)。

画像7


以上、オープンな統計データと素材(自治体の境界データ)を組み合わせると、色々な表現の可能性があります。

私は東洋経済オンラインなどでデータ可視化コンテンツ制作を行い、今はメディア研究所で報道分野におけるデータ可視化・データ報道の情報発信、講演などを行っています。データ可視化の作り方に関して講演・勉強会やワークショップなどご相談がありましたら、お気軽に私のTwitterスマートニュース メディア研究所のお問い合わせからお知らせください。



この記事が参加している募集

つくってみた

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
荻原 和樹 / Kazuki OGIWARA
データ可視化とデータ報道の仕事をしています。スマートニュース メディア研究所 ← 東洋経済新報社。「新型コロナウイルス 国内感染の状況」でグッドデザイン賞、IMA選考委員特別賞など。個人ページ:https://kaz-ogiwara.github.io/