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元ブンデスリーガーから学んだ 「センタリングの選択肢は3つ」 【現代サッカーの攻撃手段とは】

ドイツ、ブンデスリーガは縦に速いサッカーが特徴的で、センタリングからのゴールを毎週のリーグ戦でかなり見掛けます。

変わりつつある現代サッカーの1つのパターンと言ってもいいと思います。

今シーズン、2019-2020シーズンのチャンピオンズリーグで圧倒的な強さを見せ、優勝したバイエルン・ミュンヘンも縦に速い速攻を仕掛け、センタリングからゴールというシーンをよく決めているイメージがあります。

なぜ、ドイツ人はセンタリングが上手く、センタリングからかなりのゴールを決めてるのか、最近わかったことがあります。

それらを今回は育成年代の話も交えながら、お伝えしようと思います。

スペインとアルゼンチンの育成をプレーヤーと経験しましたが、ドイツにはドイツサッカーにしかない特徴がありました。

「センタリングの選択肢は3つ」

これは現在僕が所属するドイツの監督が言っていたことです。

現役時代はハンブルガーSVなどでブンデス1部でもプレーしたことのある監督です。

センタリングからゴールを奪うのは、シンプルなことで可能性が高いと毎回強く主張しています。

シンプルな練習内容で実際に言っていることをまとめます。

【練習内容】

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色々なパターンのセンタリング練習をしますが、今回はメニューよりも実際に求められる内容とセンタリングの可能性について紹介できたらと思うので、時々行うシンプルなメニューを選びました。

矢印通り、順番にボールと選手が動いてセンタリングからシュートというシンプルなメニューです。


【選択肢1:ニアに速いボール】

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ニアに速いボール:浮いても良いが必ず速いボール。出来ればゴロ。キーパーに取られないようにとセンターバックに跳ね返されないように。FWは当てるだけで決められる。

【分かりやすい映像】

日本代表のゴールシーン。(1分50秒)


【選択肢2:ファーに浮き球】

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ファーに浮き球:ニアを必ず超えて、キーパーに取られないボール。

【分かりやすい映像】

バイエルンの3点目のシーン。(4分05秒)

ヴィッセル神戸の2点目のシーン。(4分20秒)

【選択肢3:
ゴロの速い球でPKとペナルティエリアの間へ折り返す

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ゴロの速い球でPKとペナルティエリアの間へ折り返す:相手DFはセンタリングに対して、まずゴール前を塞ぐため、後ろにスペースが空きやすい。受け手はダイレクトでシュート。

【分かりやすい映像】

マンチェスターUの2ゴール目。(1分40秒)

鹿島アントラーズ1点目。(3分20秒)

この2つのシーンを観ていただけたら実際にイメージしやすいと思います。

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・ニアに速いボール
・ファーに浮き球
・グラウンダーで折り返す

基本的にセンタリングにはこの3つの選択肢しかないと監督はいつも主張しています。
だから、この選択肢の中から状況に合わせて、判断し、質を求められます。

その質とは何でしょう。

先日の練習で「これが質の本質か。」と思ったことがあるので、お伝えします。

選択肢は3つと言っていましたが、ポイントがたくさんあります。

これを実践できたら、質が高いということに繋がります。

【センタリングの質とは。 ポイントはキッカーだけではない。】

センタリング練習中に監督が主張するポイントがいくつかあります。

質が高いセンタリングにする為にはどういったことを意識しなければいけないのか。

【ポイント1】
ニアへのグラウンダーのボールは、走り込んでいるFWの足元に強く速いボール。

【ポイント2】
状況に応じては、人と人(DFとDF)の間に放り込むボール。

DFは間に落とされるボールと背後に落とされるボールが1番DFしにくい。
センタリングは、横からのボールの為、よりDFの間が相手の弱点。
マークの受け渡しが間に合わない。

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走り込む選手に対しても動きのタイミングや方向もかなり要求します。

【ポイント3】
必ず1人はニアに走り込む。

センタリングはキーパーにとっては、浮き球以外前に出にくいシチュエーション。
FWが1人ニアに走り込めば、キーパーはまずニアを塞がなければいけないから、ゴール前に居ざるおえない状況を作り出せる。

ニアにセンタリングが通った場合、ゴールまで僅か3mの距離でシュートを打てる。
この時にFWが突っ込まないで相手DFに跳ね返された場合は、かなり注意されます。

【ポイント4】
FWのタイミング。シュートコースをどれだけ作れるか。

ニアに入ってくる選手はスピード感があればある程、DFは対応しづらく脅威に感じます。
そこで重要になるのがタイミングです。

速く入り過ぎてしまったら、ファーポストにシュートする際はかなり腰を捻りながらシュート打たないといけないので、強いシュートで枠に飛んでいく可能性は大きく下がってしまいます。後は僅かなニアポストの隙間しかシュートコースはありありません。

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ですが、回り込んでタイミングよく全速力で入ってきたらどうでしょう?

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ニアポストに打つには十分なシュートコース。ファーポストに打つ際は腰を捻ったりする必要もなく、間接的にシュートコースが視界にも入ります。

確実にゴールを決める確率が上がります。


【セルヒオ・ラモスが語る 「センタリングの有効性」】

「デフェンスからしたら正面を向いた状態の方が明らかに守備はしやすい。
でもサイドの深いところを奪われた状況からセンタリングをされたら、デフェンスするのがより難しくなって、シュートを打つ方はより簡単になるんだ。」

セルヒオ・ラモス選手がこんな言葉を残しています。

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続いてはスペイン代表、ルイス・エンリケ監督です。この動画でセルヒオ・ラモス選手にセンタリングからなぜゴールが生まれやすいのか語っています。

「サイドにいる選手を両サイドへ送らなければならない。中央からシュートを打つよりもサイドのセンタリングからシュートを打った方が簡単だからね。」

ルイス・エンリケ監督もセンタリングの有効性を語っています。

センタリングは現代サッカーにおいてなくてはならない攻撃方法の1つです。

【ゾーンはどこにある?】

話を戻して先程の練習の続きをします。

下記の状況でセンタリングをすると「ゾーン」はどこでしょうか?

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先程から説明していることと、ゴールをする確率論でサッカーを考えてみると良いかもしれません。

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監督の言う答えは、下記のグラフを見ていただけたらわかります。

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この黄色スペースがゾーンであり、この状況で先程説明した「質の高いセンタリング」をこのゾーンに放り込めるかが重要であると言いました。

プラスαで相手がゴール前を固めてきた際に青スペースがゾーンになるので、センタリング時は必ず1人はこのエリアにいることを毎回指示されます。

【ドイツの練習中感じること】

僕はサイドハーフをしているので、センタリング練習があれば、いつもセンタリングをする係です。

センタリングからシュート練習の場合、センタリングがしっかりと来ないと中にいる選手たちはシュートを打てません。
それが何を意味するかというと、センタリングは来るのが当たり前という概念を持っています。

なので、センタリング1本の緊張感が圧倒的に高まります。
失敗すると練習がしらけます。

僕たちの監督が特にセンタリングのクオリティを要求しているということもありますが、練習中にここまでセンタリング1本の緊張感が高いのは、アルゼンチンやスペインではありませんでした。

僕の所属するチームのユースの練習を見掛けることもありますが、センタリングからのシュート練習を週の練習にかなり取り入れている印象があります。

ドイツの練習内容でただ単にシュートを打つ練習は極めて少ないです。

流れや形があった上で試合中はシュートまで持っていけるので、練習中からシュートまでの流れをイメージしやすいです。

【まとめ】

今回はセンタリングをご紹介しました。

自チームだけでなく、トップレベルの試合を観戦していてもここ最近センタリングからのゴールシーンをよく見掛けますし、逆にいい形でセンタリングをあげる為の戦術を取り入れているチームがかなりあります。

特にドイツリーグでは多く見掛けますし、育成年代の練習を見ていても、練習メニューにかなり多く取り組まれています。

僕が所属していたチームで感じたことではありますが、スペインやアルゼンチンではここまで練習中に要求されていませんでした。これはドイツサッカーの1つの特徴だと感じています。

ポゼッションというスタイルを持つスペイン代表の試合を観ていても、以前ならセンタリングを上げずにボールポゼッションをしていた場面でも、ここ最近はセンタリングをあげるシーンやサイドへ展開していい形でセンタリングをあげようとしている様子をかなり見ます。

10年前、スペイン代表やバルセロナが世界をポゼッションサッカーで圧倒したことで世界的にポゼッションが主流となりましたが、現代サッカーは「縦に速いサッカーで効率的にゴールを決めるか」に風潮が変わってきているように思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

これからもよろしくお願いします。



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