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研究に対するモチベーション [缶詰48日目]

 内定を取った方々のESを見ていると、学生時代に頑張ったことのほとんどが「大学外での活動」である。勉強以外の活動に精を出すことは、大学生として当たり前のようだ。バイトして、インターンして、学生団体に所属して、イベントを開いて、スタバでMacを開きカタカタ作業をする。そんな学生生活を送るのが社会人切符への近道である。

 しかし私はそんなことはしなかった。学部3年のときに焦って、起業サークルや長期インターンを経験しようとした。前者は3か月程度続いた。渋谷に群がる若者に話しかけて、自分には向いてないと気付いた。なんの共通点もない人と関係性を築くことは性格的に合わなかった。後者は、市ヶ谷の雑居ビルでテレアポをする大学生。正社員よりも低い時給で配布された資料の番号に電話をかけていく。単に電話をかける機械。それなのにコミットしようとする有名私大の学生たち。社会ってこんなもんなんだなと幻滅した。一度も電話することなくやめた。

 ES通過する内容として「自主的か」、「他所と協同的か」、「数的成果を上げたか」を絡めることが高評価につながると過去に紹介した就活本に書いていた。

 自分がやってきたことって社会に評価されないことなんだと思う。深夜ラジオに投稿する、e-sport選手になろうとする、現代アートの世界観に触れる。自分な好きだったことは、結果は出てないし、他者と協同もしていない。ただ好きだということだけで生きるのはダメなのか。

 こんなダメなことばかりの自分でも、学部4年からの研究生活はすべての時間を犠牲にしてでも没頭できる時間だった。あれも知りたいこれも知りたい。そのためには英語と化学の勉強、論文読み、実験スケジュール管理など自分の頭では整理が追い付かないほどパニックになったまま、それでも狂いながら命をささげた。好きだったから。

 その好きだということを分かってくれる仲間がいたことも心の支えになった。同級生、先輩、そして教授陣。理系学生にとって研究室選びはかなり重要だと思う。やっと卒業間際にして、人と協力することの楽しさに気づき始めた。人と協力して成果をあげる。これまでの個人主義的価値観の欠陥に気づかせてくれた。

 「研究」というものは自分だけのものではなく、他人によっても支えられている。だから一人でもくもく作業をすることは研究に値しない。他人の俯瞰地図を拝借しながら、研究の概形を見る。そのためにもっと言語化して意見交換する機会を増やそうと思う。

 研究することが社会的評価には今のところない。没頭できる好きなことを楽しみつつ、それなりの成果があったら、誰かには気付いてほしいなと思う。更なる創造を目指し行きたい。

 

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