大学職員を目指す方へ

最近、身近な就活生から「大学職員ってどうですか?」ってよく聞かれるので、私なりにまとめてみようと思います。何かの参考になれば幸いです。
私立大学に勤めているので、私立大学での話を書いていきます(国公立は分かりません…)。

大学職員とは?

大学で働く人には、教育研究を主な業務としている『教員』と教育研究以外で学校運営に携わる『職員』がいます。
職員は、事務職員と技術職員(用務職員)に分けることができますが、本学はほとんど事務職員です。
※ちなみに筆者は事務職員という言葉が嫌いです。書類作成などのデスクワークだけやっているイメージがあって、職員も関わり方は違えど、教育を提供しているのに…と思うからです。なので、単に職員と言ったり、学校職員と言ったりすることがあります。

色々なサイトを検索してみると、大学職員は、給与が良い、労働環境が良いと人気の職業なようです。しかしながら後述の”大学を取り巻く環境”により、見方によっては、お先真っ暗な職業でもあります。

大学を取り巻く環境

『大学を取り巻く環境』って固有名詞があるのではないかと思うほど、入職時から色々な場面で耳にします。この言葉は3つの意味合いを1つにまとめた言葉だと思っています。
1.少子化(18歳人口の減少)
2.大学数の増加
3.大学改革の加速化
これらのことから”競争が激化して選ばれない大学から淘汰されていくぞ”と常々言われております。
経営が厳しい一部の私立大学では、この先の職員の仕事増、報酬減、福利厚生改悪の可能性は高いと思います。

私立大学の求人

私立大学の求人には以下のような特徴があります。
1.欠員補充型の人事
営利企業のような「事業拡大のため、積極採用します!」ってことはほとんどありません。急に退職者が出れば、ある日突然求人が出ることもあります。
2.選考時期は比較的遅いことが多い
退職者の動向により採用予定者を決めるので、一般企業に比べて選考が遅いことが多いです。
3.採用コストをかけない
求人サイトに登録せず、自前のホームページとハローワークにしか掲載しない大学が多いです。

求められる資質

採用担当でも何でもありませんが、一般的に求められる資質は以下の通りだと思います。
1.一般常識
大学生相手に恥ずかしくないレベルの一般常識は当然求められるでしょう。
2.コミュニケーション能力
サービスを提供するのも人、協働するのも人、仕事相手も人…人しかいない業界なので、コミュニケーション能力が求められます。人間関係がストレスになりやすい人には向かないかも。
3.向上心
大学改革がものすごいスピードで求められてきているので、直接業務には関係の無いトピックにも敏感である必要があります。改革しなければ淘汰されていくだけだという危機感があるので、何事にもチャレンジする向上心が求められます。

おすすめの採用試験対策

大学業界について深掘りした知識をつける
教育の質保証、大学ガバナンス改革、大学設置基準改正など…この業界に勤めていても目まぐるしく動向が変化していきます。自分もそうですが、一緒に働く職員もこれらの用語をしっかりと理解し説明できる人は少ないです。でも、必ず耳にしたことがあるだろうし、採用権限のある執行部は理解して取り組もうとしている(あるいは取り組んだ)課題の話になります。
正直、私が採用面接を受けた際に「教育業界の課題は何ですか」と質問されても”少子化”や”いじめ”など社会一般的に言われているレベルの課題しか話せませんでした。
だからこそ、一歩深掘りしたトピックを話せば、大学業界を本気で目指している者だと評価されると思います(ただし、上辺だけ知識で語ることは難しく、しっかりと勉強する必要あり)。
なるほど~と思った人は、中教審答申を読んでみましょう。
学士課程答申質転換答申グランドデザイン答申
その他、教育学術新聞や日本教育新聞など業界紙を読むのもおすすめです。

最後に

筆者は働いていて「確かにジリ貧業界だ」と認識していますが、目まぐるしく状況が変化したことから、職員間の意識の差がある業界だとも思っています。危機感があり、必死に大学に貢献しようと思っている人もいれば、与えられた仕事をこなせばいいやで終わっている人もいます。
そして、競合相手の同業他社なのに他大学と仲良く情報交換している側面もあります。
この業界の真の安定は、『勤めている学校法人の経営が傾いたときは、他大学から呼ばれる職員になる』ことだと思っております。
ジリ貧と言えど、日本の教育に携わる素晴らしい仕事だと思っております。これから目指す人は安定職種っぽいけど、そうではないということを認識したうえで就職活動に挑んでください!応援しています(最後なぜか偉そうになってすみません)。

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