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【著者公認】中村啓『無限の正義』第一章を完全要約(※ネタバレあり)【PART2】

▼YouTubeでも公開中


◆本当の正義のお話 PART2


◇パート1の要点

こんばんは!Kazukiです!
それでは本日もさっそく投稿の内容に入っていきましょう!

今週は、
2024年1月30日に河出書房新社さんから発行されました、
中村啓(なかむら・ひらく)先生の

『無限の正義』第一章の完全要約をお届けしておりまして、

前回のパート1の投稿では、、、


  • 紹介書籍概要および選出理由

  • 今週の投稿内容とその目的

  • 『無限の正義』第一章の完全要約【第一部】


についてお届けしてきました。

なので、
今回の投稿ではその続きになります、

『無限の正義』第一章の完全要約【第二部】

の内容をお届けしていきますので、

もし、先にあげたパート1の投稿の内容の中に、
なにか気になる内容がございましたら、
その方たちはぜひパート1の投稿をご覧いただければと思います。

◇前回のあらすじ

とはいえ、
いきなり『無限の正義』第一章【第二部】の要約に入っても、
パート1でお届けした【第一部】の内容が、
少し薄くなってしまっているかもしれないので、
まずは最初に【第一部】のあらすじを振り返っていこうと思います。

▼それがこちらです▼


池袋警察署の薬師丸遼一ら及び本庁捜査一課の小田切らは、
目下、池袋を騒がせている連続殺人事件の解決に追われていた。

けれど、その犯人「聖掃者」は、警察より一枚も二枚も上手であり、
これまで四人が殺されるも確たる証拠は、何一つ現場に残っていなかった。

そんな中、遼一は、週刊誌記者・茂木からの助言により、
被害者の一人が所属する半グレ集団の闇金事務所の場所を探し当て、

なんと、闇金の顧客リストのUSBデータを押収することに成功する。

しかし、そんな華々しい成果を挙げた遼一とは打って変わって、
娘の佳奈は、友人・梨花と共に渋谷のクラブへと夜な夜な赴いていた。

本人は連日のバレエレッスンの息抜き程度のつもりだったが、
「ユウキ」と名乗る男に薬を盛られ、部屋に連れ込まれてしまう。

その後、目を覚ました佳奈は、襲いかかってくる「ユウキ」に向かって、
咄嗟に掴んだ鉄アレイを、渾身の力を振り絞って殴りつけると、

「ユウキ」は倒れたまま、動かなくなってしまった。


◇其の四


それではようやく今回の投稿の内容であります、
『無限の正義』の第一章【第二部】の要約へと入っていきますが、

先の「前回のあらすじ」の中でも述べたように、
遼一は、自身の手柄によって「聖掃者」に殺された被害者のひとり、
「小倉漣」のシノギを明らかにして、その顧客データも手に入れたことから、

疲労の溜まった体とは裏腹に、非常に心は晴れやかでした。


そのため、遼一は、捜査会議を終えた後、
午後11時半過ぎという夜遅い時間なのにも関わらず、
桜台駅前にある行きつけのスナック〈さおり〉に少し顔を出すことにしまして、

カウンターに腰掛けた遼一は、
そこのスナックを切り盛りする同年代の沙織(さおり)ママと共に、
自分が目下池袋を騒がせている連続殺人事件の捜査員であることは誇示せず、

30分ほど沙織ママと杯を酌み交わします。


その後、遼一は、
時刻が深夜0時を過ぎたあたりでスナックを後にしますが、

帰宅した後も、
昇進の兆しによってもたらされる幸福感が、
自身の身を包んでくるその余韻によって、

再度、自宅のリビングでひとり、缶ビールを傾けていきます。


、、、しかし、その時でした。


突然、
リビングの静寂を突き破るように、
遼一のスマホに娘の佳奈から電話が掛かってきたかと思えば、、、


その佳奈から震える声で一言、こう告げられます。


「人を殺しちゃったかもしれない」

『無限の正義』p63


最初、遼一は、
娘が発したその言葉に自分の耳を疑いましたが、

その後、娘がスマホ越しに伝えてきた状況を、
段々と酒の入った頭が理解をしていくにつれて、

だんだんと事の重大さを把握していきます。


なので、遼一は、
すぐさま家のガレージに停めてあったプリウスに乗り込み、
佳奈がLINEで送ってきた地図の元へと向かいますが、

その間、遼一の頭の中を埋め尽くしていたのは、

何かの間違いであってくれ!

『無限の正義』p65

という、先の佳奈の言葉が全くの嘘であることを祈る想いでした。


そうして、
佳奈に指定された場所である「南大塚三丁目」付近にやってきた遼一は、
住宅街の暗闇の中でうずくまっている佳奈と合流して、

佳奈が殺してしまったかもしれない男がいるはずの、
二階建てのアパートの一室へ、佳奈の案内で向かいます。


すると、佳奈の言った通り、
その部屋のリビングの真ん中には、金髪でスーツ姿の男が、
目を半開きにした状態で倒れていたのですが、、、

その顔を見るなり遼一はハッとしてしまいます。


なぜなら、
佳奈が殺したという「ユウキ」と名乗る男は、

その前日の夕方、
遼一と小田切が訪れたブラックチェリーの闇金事務所で、
闇金の顧客リストのUSBメモリーを差し出させた、

あの「島田裕樹」だったからなんですね。


遼一は、その嫌な偶然に、
心臓が大きく脈打つのを感じつつ、
足元に横たわる島田裕樹の頸動脈を触れて一言。


「死んでる」

『無限の正義』p67


◇其の五


遼一のその一言を機に、
堰を切ったように声をあげて泣き始める佳奈と、
その佳奈を叱責する遼一という、

悲惨な状況にその部屋はいっとき包まれます。


さらに、佳奈は、
「どうしよう…」と慌てふためいてしまっているので、
ひとりの父親として、また、ひとりの警察官として遼一は、

佳奈に警察へ自首をするように促すしかありません。


それに、この場合、
殺された島田祐樹は佳奈をレイプしようとしていたため、
佳奈の「正当防衛」が成立する可能性が大いにあります。

つまり、佳奈が罪に問われることはないわけなのです。


なので、遼一は、
そのように佳奈に説明をして、納得させると、

自身のスマホを取り出し、
「110」に電話を掛けようとした、、、

その時です。


遼一の脳裏を掠めたのは、次のような考えでした。

 昇任試験に受かるだろうか、そう思ったのだ。その先の捜査一課への異動は? 娘は罪には問われないかもしれない。だが、人を殺したことに違いはない。遼一の人事に影響が出ないはずはない。そう思い、恐れたのだ。

『無限の正義』p67-68


けれど、遼一の警察官としての確固たる信念は、
そのような利己的な考えでは決して揺るぎませんでした。

すぐさまスマホを握り直して、
「110」を入力し、電話の応答を待ちます。


、、、すると数秒後、

「はい、110番です。何がありましたか?」

『無限の正義』p69

電話口から男性交換手の声が応答しましたが、

それと同時に、

佳奈が遼一の腕を強い力で掴んで、

こう言い放ちます。

「わたし、バレエあきらめないよ。すっごい練習してやっと名門校に合格したんだもん。絶対あきらめないよ」

『無限の正義』p69


その刹那、遼一の頭に稲妻のような衝撃が走ります。


というのも、
いくら佳奈の言い分が正しく、
正当防衛が成立するのだとしても、

人を殺害した事実は決して覆りません。


そして、その事実は恐らく、、、


、、、いや、確実に、、、


佳奈のバレエ留学に影響を及ぼします。


ひとりの親として、
また、ひとり警察官として正しいのは、

間違いなく、娘に自首をさせることです。


けれど、それと同じぐらい、

娘である佳奈の将来を守ることも大切なはずです。


それら二つの相反する信念によって、
ギリギリと歯軋りをせざるを得ない遼一。

フーッと吐いた息は震えを伴っていましたが、
遼一は確固たる覚悟を持って口を開きました。


「すみません。こちらの手違いです」

『無限の正義』p69


そう一言だけ男性交換手に告げると、
遼一はスマホの通話を切ってしまいます。


その後、遼一は、
佳奈からの当時の状況の聴取をもとに、
ドアノブと鉄アレイをハンカチで拭き、

また、
倒れている島田のスーツのポケットに入っていた、
銀色の折り畳み式ナイフと島田のスマホを自分の懐にしまうと、

娘の顔を真正面に見据えて、次のように告げていきます。


「今夜あったことは誰にも話すんじゃない。二人だけの秘密だ。わかったな?」

『無限の正義』p70


これが遼一の選んだ道でした。


◇其の六


その後、遼一は、
アパートの周辺の様子を一通り確認して、

周辺の民家に防犯カメラが設置されていないことに安心すると、
佳奈には自分の財布から抜き取ったお金を持たせてタクシーで帰らせます。


一方の遼一はというと、
娘を助けると覚悟した時に閃いた計画を実行するために、
島田の遺体を自らが乗ってきたプリウスの後部座席に載せて、

池袋三丁目あたりにポツンと佇む、
名もなき小さな公園へと向かいます。


遼一はその公園へ到着するなり、
周囲に人目や防犯カメラが存在しないことを確認すると、

プリウスの後部座席から島田を引っ張り出してきて、
公園の敷地内にそびえたつ、大きな欅の木の下に島田を横たえます。


そこで遼一は何をするのかと思えば、
あの島田から拝借した銀色の折り畳み式ナイフで、

島田の額に「バツ印」を刻みつけていくんですね。


そうなんです。
遼一は、この島田の殺害の一件を、

今現在、遼一自身が追っている、
あの「聖掃者」の仕業にしてしまおう、

と、考えたわけなんです。
まさしく「木を隠すなら森の中」というわけです。


そうして、遼一は、
手先に伝わってくる皮膚の感触に嫌悪感を覚えながらも、

島田の額に、
自身が実際に他の現場で見たものと同じ「バツ印」を付け終えると、
息も絶え絶えになりながらプリウスに乗り込み帰宅します。


帰宅した遼一は、
島田の遺体を載せたプリウスの後部座席が気になり、
アルコール消毒液を用いて消毒しようとすると、

運悪く、

佳奈が帰宅した際の、
タクシーの音で目を覚ましたと告げる、
義父の貴久とガレージで鉢合わせてしまいました。


遼一は先ほどまで、
犯人蔵匿や証拠隠滅、死体損壊などの、

犯罪行為を犯していたことから、

背中に嫌な汗を感じずにはいられませんでしたが、

遼一は、義父から矢継ぎ早に放たれる、
夜遅くに車をいじっている遼一への質問や、
夜遅くにタクシーで帰宅した佳奈への質問を、

がんで余命一年と宣告された義父の体調を引き合いに出すなどして、
口八丁手八丁でなんとかかわしていきます。


しかし、細かいことにこだわる性格の貴久は、
その遼一の様子になにか違和感を感じたのか、
遼一のプリウスとしげしげと見つめます。

遼一はその間、
背中にかいた冷や汗の湿り気を感じると共に、
義父が何を考えているのか手に取るようにわかっていました。


けれど、貴久は、、、


何も言うまいと決めたのか、隣の自宅へと帰っていきます。


◇其の七


そして、翌朝。

昨夜、少しだけ仮眠をとることのできた遼一は、
すぐさまスーツに袖を通して、
自宅のリビングで今か今かとスマホが鳴るのを待っていると、、、

案の定、島田の遺体発見の知らせはスマホの着信と共に訪れます。


その時、時刻は午前七時ごろでしたが、
遼一は竹野内課長からの「また殺しだ」という電話からの第一声に続く、
現場の住所を聞き終えるなり、すぐさま現場へと向かいます。


とはいえ、その現場の場所は、
昨夜、自分が必死になりながらも島田の死体を遺棄した公園であり、

遼一の頭の中は、その公園に向かいつつも、
昨夜の自分の行動に何か不備がないか不安感を抱かざるを得ません。


そうこうしているうちに、
現場となる公園に到着すると、

すでに公園には規制線が張られておりまして、

その公園内には、
遼一に先ほど電話を寄越した竹野内課長のほかにも、

組対の浜田やその相棒の藤井、遼一の相棒である小田切、
また、部下の谷川や相馬、吉野や深田の姿も確認できました。


そして、、、


その彼らが取り囲む大きな欅の木の下には、

昨夜、自分が遺棄した島田祐樹の死体があり、


さらに、その額には、、、

「聖掃者」の仕業であることを証拠付ける、
遼一が偽装した「バツ印」が今もなお刻まれてあります。


かくして、この遺体も、
有無を言わさず「聖掃者」の仕業になる、


、、、はずでした。


というのも、
今回も遼一より先に現場に到着していた浜田が言うには、
島田の遺体には「聖掃者」の仕業とは思えない不審な点が、
いくつも見受けられるとのことでして、

その極め付けである不審な点を、浜田はこう遼一に告げます。

「まず第一に死因だよ。こいつは刺殺じゃない」

『無限の正義』p83

その言葉を耳にした瞬間、
遼一は「あっ」と声をあげてしまいます。


というのも、
これまでの「聖掃者」の犠牲者は皆が皆、

死因が「刺殺」でして、

もちろん、そのことは遼一自身もよくわかっていました。


なので、浜田のその一言を聞いて、
遼一は「しまった」と思いつつ、

一方では、

死因を鉄アレイでの撲殺から、
刺殺に変えることは不可能であるため、

遼一はやきもきしながら、
その浜田の言い分について「確かに」と念を押していきます。


しかし、それと同時に、
遼一は島田の死体の額には「聖掃者」の仕業であることを示す、
バツ印が付けられていることから、

それはつまり、「聖掃者」の仕業なのではないのか?

という論拠を浜田にぶつけますが、

一方の浜田としては、
警察内部で今現在、箝口令が敷かれているこの「バツ印」の情報を、

もしかしたら、
外部に漏らしている人間がいるのかもしれない、

との見方を示します。


それこそ、現在、池袋には、
殺された島田祐樹が所属する「ブラックチェリー」に敵対する組織である、

「アグリーズ」

という半グレ集団があったため、

浜田としては、

この「アグリーズ」に警察内部の裏切り者が、
「聖掃者」の「バツ印」の情報を流しているのではないか、

という見方を捨てきれないとのことだったんです。
なにせ、浜田は組織犯罪対策課の警部補ですからね。


そして、もしもですが、「バツ印」の情報が、
認めたくはないが、外部に漏れているのだとしたら、

それは「模倣犯」の仕業である可能性も、
出てきてしまうことを意味しています。


その場にいた捜査員全員が、
現在すでに逼迫している捜査状況の中、

いくつかの可能性が増えてしまったことに、
不快の声を示す一方で、

遼一の顔色は部下の深田に心配されるほどに青くなっていきます。


しかも、浜田らは、その後、
島田が生前住んでいたアパート周辺に住んでいる、
近隣住民への聞き込みによって、

島田はレイプドラッグの常習犯であることを掴みまして、

さらには、
島田が生前使用していたレクサスの後部座席には、
まだ新しい吐瀉物の痕跡を発見したことから、

昨晩も女を乗せていたのかもしれないことが判明してしまいます。


よって、浜田は、
その女が何か事情を把握しているかもしれない、
と真っ先に考えまして、

遼一の顔が青くなっていることは意に介さず、
遼一の相棒である小田切と自身の相棒である藤井に、

昨晩の島田の足取りを探るように命じていきます。

〈パート3へ続く〉

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