5月2日
おはようと目を覚ますと 7時。
まん丸の梅干しおにぎりとほうじ茶を準備する。
紙袋に入れたら ゆっくりと店へ向かう。
トト。 おはよう。
そう言って、扉を開けた。
〈本日のメニュー〉は
トマトソースのピザ
瞬間温野菜
イチゴミルク(豆乳に変更可)
ピザ生地を仕込んで寝かせている間に
温野菜の支度。
ピザ生地はとっても簡単な薄力粉だけの生地。
発酵ができたら小さいピザ4枚分くらいの生地の玉に分けて、冷蔵庫に入れておく。
トマトソースは昨日のソース。
ピザチーズも残っていたけど、今日はモッツァレラを
ちぎってのせる。
温野菜はブロッコリー、さつまいも、にんじん、かぼちゃ、スナップえんどう。
店主はまん丸梅干しおにぎりを頬張って、イメージを膨らませた。
熱いほうじ茶をすすりながら、いつのまにか膨らむイメージにニヤリとする。
11:00 オープンです。
ちく たく ちく たく
時計は14:15
誰も来ない。
店主は今日も、自分へ〈本日のメニュー〉を作る。
ピザ生地を丁寧に伸ばし、オリーブオイルをぬる。
昨日のトマトソースをのせ、少し多めにモッツァレラチーズをのせた。
たぶん、店主はチーズ好きだ。
オープンで焼いている間、カウンターに座って残っていたほうじ茶をのむ。
その時、扉が開いた。
小さめの身長に、少しぽっちゃり。
メガネをかけた男性が入ってきた。
あの、まだいいですか?
…あ!はい!
どうぞ!
はじめてのお客さんだ。
ビックリした店主は、いらっしゃいませも、お冷やも忘れて、カウンターを勧めた。
ピザのいい香りがする頃に、瞬間温野菜を作る。
温野菜の調理時間は3分、お気に入りの粗塩を振ってお皿に盛り付けたら完成。
ピザが焼き上がったと同時に机に並べた。
どうぞ。〈本日のメニュー〉
トマトソースのピザ
瞬間温野菜 です。
ありがとう。
そう言って、男性は食べはじめた。
ゆっくり箸をすすめて、特に話はせずに。
でも、店主にはその時間がまた心地よかった。
あ、飲み物、、、
遅めのお冷やにも、ありがとう。
とだけ男性は告げて受け取った。
男性が気にならないよう、少し様子を伺いながら、店主はイチゴミルクを作った。
イチゴは4つ。ミルクを入れて、フォークで丁寧に潰していく。
食事が終わる頃合いをみて、男性へ届ける。
イチゴミルクと、これ、おまけでどうぞ。
自分に買っていた小さなおからクッキーを添えた。
男性は、これもゆっくり食べた。
あの、今日、あなたがはじめてのお客さまで、、、
そう話すと、驚いた表情を見せたが、落ち着いた声で、
それはよかった。とてもおいしかったよ。と。
それから、また、静かな時間。
お会計は、1300円。
男性は皮の折りたたみ財布から、お金を取り出し、
おつりを受け取ると。
ありがとう、ごちそうさま。
そう言って帰っていった。
(イチゴミルク)
2022.2.17 カズ
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