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本からの学びの共有-Book Knowledge8-

おはようございます こんにちは こんばんは 川岡キング・ジュニアです🤴
毎週土曜日に更新している Book Knowledgeです

前回の本は「地頭力を鍛える」 著 細谷 功 氏 よりお届けしました
そこそこ渾身の作だったんですが、あまり読まれていません(笑)


さて、今回は「コミュニティナース」 著 矢田 明子 氏よりお届けしたいと思います

代表の矢田さんは大学同期だったり、先日 Community Nurse Company に仕事で視察に行かせてもらったりと個人的に最近ホットなので、話したいと思います

そして、先日「10th Asia Pacific Eldercare Innovation Awards 2022 」を受賞されていらっしゃいました。本当におめでとうございます!!


コミュニティナースとは

保健師の方で「コミュニティナース」という定義を知っていたり、実際にコミュニティナースと関わったことがある方はどのくらいいるのでしょうか?

そして、保健師とコミュニティナースの違いをどのように認識しているでしょうか?

コミュニティナースとは

地域住民たちとの関係性を深めることで、
健康的なまちづくりに貢献する医療人材
コミュニティナース

つまり、健康面のおせっかいを焼く人と言われています
見守りや巡回などなどの活動を通じて、安心を提供することで地域に関わり、まちを健康にしていくと綴られています

わたしが生まれる前の時代に遡ると、地域のつながりがいまよりも強かったり、お互いのことを気づかいあったりしていたのかもしれません

いつの間にか人と人のつながりは疎遠となってしまい、不審者扱いされるから挨拶もしないという雰囲気が地域にあった時代もあったように思います

我が鬼ヶ島根=田舎でもそのような雰囲気を感じるなかで、都会はどんな雰囲気なんでしょうか?

この本にも綴られているように、近年では色んな生活のあり方や住まい方が変わり、地域の助け合いや地域のつながりが激減しています

そして、コロナがやってきたことにより、より一層の地域の集いの場や交流が激減し、地域のなかで孤立感を感じる方が急増していると思います

時代の流れと色んな福祉

時代の流れとともに、「介護保険=高齢者福祉」や「障がい福祉」が制度としてできてきました

この本にもあるように、障がい福祉が制度として整っていくまでは、地域に障がい者の方々が生活されていて、身近な存在でした

もちろん、いまでも地域に生活されている障がい者の方々はたくさんいらっしゃいますが、地域住民にとって身近な存在かというと少しそこからは遠くなっているかもしれません

わたしが小学生の頃はいま思うと障がい者という定義に当てはまるであろう上級生が登校班の班長をしてくれていました
わたしはその班長が大好きだったし、仲良くしていましたが、いまではどこでどんんな暮らしをされているのかは把握していません

色んな障がい施設ができたことにより、日常生活から暮らしが見えなくなってしまった感があるのかもしれません。少し寂しさも感じます

ある地域の地域ケア会議に参加した際に、地域住民としては「『Aさんはデイサービスに通い始めた』とわかると、地域福祉から遠ざかってしまう」と言われてました

デイサービスに通所を始めたとしても、地域で暮らしている
でも、地域の見守りからは少し距離ができてしまうというのは寂しいです

障がい福祉、介護保険=高齢者福祉を利用しながらも、地域福祉を維持するのはどうやったらできるんでしょうか
まだ解決の方法はわたしには見えていません


ハレとケ

ハレとケとは、柳田國男さんによって見出された時間論にともなう日本人の伝統的な世界観のひとつです

ハレというのは儀礼や祭り、行事などの「非日常」
ケというのは普段の生活である「日常」を表しています

それでは「医療」と「暮らし」をあらためて考えると
「医療」は患者さんにとって「ハレ」ですよね

もちろん診察では患者という仮面を被り、家に帰ると仮面を外します

まちや家庭での役割、今までのその人の歴史というか
その人らしく暮らすためには、その人の普段の暮らしも見て知ってそれを支えることが必要
コミュニティナース

とこの本には綴られていて、わかりみがすぎるんです


日常であるまちに存在して、健康や安心安全に貢献する医療人材が
① 暮らしの動線に乗っていること
② 多様であること
③ 「楽しい」を接点にして健康や喜びに貢献すること

地域住民の暮らしが多様であり、「楽しい」も多様であることを認識でき、関われる人間になりたいと思ったところでした


わたしは「すべての人がいきいきと暮らすことができる地域をつくりたい」と思っていて、【いきいき】の意味をこのように考えています

きることに びを感じ きてくことができる
川岡

いきいき=生喜活輝 でその中心は「生活」にあります

喜びを感じるポイント・タイミングは100人のヒトがいれば、100通り
輝いていると感じるポイント・タイミングも同様にヒトによります

色んなヒトにとって、いきいきという時間が長くなる地域を目指したい


視察で見えたコミュニティナース活動

先日、視察に行かせていただいた際に「ナスくる」や「地域おせっかい会議」という事業・取組を聞かせてもらいました

決して目新しい取組だとは個人的に感じませんでしたが、いままでありそうでなかった手の届きそうで届かない素晴らしい取組というのが個人的な感想です
(少し偉そうな表現になってしまって、すみませんでも本当にリスペクトです)

特に「地域おせっかい会議」はフォーマルサービスの利活用の比重が多くなってしまいがちなケアプランやサービス等利用計画にはなかった「インフォーマルサービス」を利活用した、地域住民を巻き込んだ取組になっていることが本当にすごいと思いました

そして、個人的に極めつけだと思ったことがありました

わたしの衛生研究所における調査研究で「健康寿命と要介護原因疾患に関する研究」を行っていて、Community Nurse Companyのある雲南市は県内で1番健康寿命が長いのです

その理由はなんだと思うかズバリ聞いてみました

ある住民さんからは「地域の人と人とのつながりの良さだと思う」と回答があり、コミュニティナースからは「一言でいうと、『健康なおせっかい』です」と明確な回答がありました

また、UIターンでこの地域に住まれている方々からは「地域の人が積極的に挨拶をしてくれたり、カフェの駐車場がいっぱいだった時に知らないおばあさんが家の駐車場を貸してくれた」とか色んな意見が聞かれました

おせっかいと言うと、ネガティブなイメージが先行してしまいますが、この地域には「ポジティブなおせっかい」=「健康なおせっかい」が地域のあらゆるところで起きており、それが人と人とのつながりをより良く醸成している

そんな気があらためてしたわけです

そこにCommunity Nurse Companyはもちろん、行政や多くのステークホルダー(地域住民をガッツリ含む)が関わっていることは間違いない気がしました

最近、個人的なトピックでもあり、大学院の研究テーマでもある「地域づくり」に関して、たくさんのことを考えさせられた「コミュニティナース」という本でした

保健師界隈からコミュニティナースに対して色んな感情・気持ちがあることは理解できているつもりですが、実際に聞いたことも会ったこともない方はぜひ読んでみていただきたい1冊です

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