マラルメ「乳母」(エロディアード古序曲より)

乳母 la nourrice

棄てられて、

彼の醜い翼は 洗面器をつたう涙のなか

棄てられて、不安を映し出すその醜い翼。

むき出しの黄金が臙脂色の隔たりを責めたてる

暁光は、紋入りの羽毛の暁光は、

我々の納骨の塔、供儀の塔を選んだのだ、

かわいらしい小鳥たちを慄かせる重々しい墓石を、

うぬぼれ屋の真っ黒な翼にささる朝日の

ひとりぼっちの気まぐれを

選んだのだ…。

ああ、衰えた痛ましい国々の映し身よ!

さざ波も立たぬ水、

小鳥どころか、その場を忘れぬ渡り鳥さえ、

もはや訪れぬ懈怠の水

秋が身を棄て、みずからその明かりを消すのが

その水には映るばかり。

忘れがたき渡り鳥、青白い祠か その翼かに

頭を沈めて 悲嘆にくれる。

星々の澄んだダイヤモンドは、

しかし昔々、ついには決して輝かなかった。

罪よ、

火葬台よ、

古びた暁よ、

責め苦よ、

空の紫の紅よ、

その共犯者の、泥沼よ…

そしてその紅色の上に、明け開かれた、このステンドグラス…。


Stéphane Mallarmé, "Hérodiade", ouverture ancienne d'Hérodiade, la nourrice

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