見出し画像

2022年、仕事のプレイスタイルが変わった話

この記事はM&Aクラウドアドベントカレンダー2022の25日目の記事です。

去年も25日に書かせていただきました。M&AクラウドでCTOをしている荒井と申します。アドベントカレンダーは3年連続で、記事を書くともう年末だなあとしみじみと感じます。

今回はテーマが「今年の振り返り・来年の抱負」なので、自分の仕事について一年を振り返ります。

今年の振り返り

M&Aクラウドに入ってからは毎日が激動の日々ですが、その中でも今年は格別でした。今年のはじめに40人程度だったメンバーは60人を超え、大きな組織変更も実施しながら、事業も組織も大きく成長した一年でした。Googleカレンダーを今年の1月から振り返りましたが、もうずっと一緒に仕事していると錯覚するようなメンバーと今年の1月に面接していて、1年でこれだけ組織は変わるのかとびっくりです。

業務で大きかったのは「資金調達クラウド」のリリースです。以前から「M&Aクラウド」サービス上で資金調達するユーザーは多かったのですが、今回「資金調達クラウド」という新サービスとしてリリースしたことで、より資金調達に特化したUXが提供でき、たくさんの資金調達を支援できると確信しています!

求められるプレイスタイルが変わった

そして、今年の自分はというと、役割について以下2つの大きな変化がありました。

  1. プロダクトマネージャーとして仕事をするようになった

  2. 6月から新しくエンジニアリングマネージャーを任命し、エンジニアメンバーを直接マネジメントするのをやめた

プロダクトマネージャーとしての仕事

今年に入ってからはエンジニアとしてではなく、プロダクトマネージャーの役割で仕事をするようになりました。

プロダクトマネージャーは自分でデザインを作ったり、自分でソースコードを書いてデプロイしたりということは基本的にありません。方針や目標を伝え、ステークホルダーに動いてもらってようやくプロダクトに影響を与えられます

エンジニアは書いたものがすぐ動いて、リリースしたらすぐユーザーに使ってもらえるという点でフィードバックループがとても速い職種だと思うのですが、プロダクトマネージャーはそうではありません。プロダクトマネージャーになって、時間に対する感覚や仕事の進め方は大きく変わりました。

エンジニアリングマネージャーの任命

プロダクトマネジメントの比重が高まる中、エンジニアメンバーの増加もあり、マネジメントが行き届かなくなる危険があったため、エンジニアリングマネージャーを任命し、メンバーのマネジメントを委譲しました。
プロダクトマネージャーとしての仕事が増え、エンジニアメンバーを直接マネジメントしなくなった事で、ソースコードを読む機会も激減しました。

今までは、コードレビューやスプリントレビュー等、スクラムのプラクティスを進めていく上で、メンバーに対してもっとこうした方が良いと、仕事をしながらコミュニケーションしていましたし、たまに自分がコードを書いたり、新しい設計やツールを試したりすることで、どういう行動が推奨されるかを示すこともできました。

しかし、そうやってメンバーの横で仕事をしながら適宜コミュニケーションすることはなくなり、代わりにエンジニアリングマネージャーとどうやって役割や権限を分担しながら、全体としてチームがうまく進むようにするか?を考えるように変わりました。

以上の2つの役割の変化で、プログラミングのように自分でプレイングする領域がなくなりました。代わりに、方針を伝え、影響力を発揮し、人に動いてもらうことが仕事の中心になりました。やっているゲームが変わったということですね。

今までプレイングマネージャーとして、開発を引っ張っていた自負があったので、このゲームチェンジによって仕事のプレイスタイルも変える必要がありました。

ただ、役割が変わった後もしばらくはゲームが変わったことに気づいていませんでした。振り返ると、この変化に気づかずかなりの時間を無駄にしたなと思います。

ドキュメントの重要性

変化を余儀なくされたわけですが、では何をしたのか?というと、成果物としてのドキュメントを重視するようになりました。もともとエンジニアの自分は、過去には動くコードが正義だ!ドキュメントなんかなくてもコードを読めば分かる、くらいに思っていた時期もあったためこれはとても大きな変化です。

プロダクトマネージャーをやるにあたって、書籍「プロダクトマネジメントのすべて」をよく参考にしていますが、その中でも、チームでプロダクトをつくるためのテクニックの最初の章にドキュメンテーションがあります。プロダクトマネージャーの成果物として、様々なドキュメントは仕事の足場というか起点になるものかなと考えています。

ドキュメンテーションとは資料をつくる作業のことである。プロダクトマネージャーにとってドキュメンテーションは非常に重要な仕事である。プロダクトマネージャーは数多くのステークホルダーと接するが、すべての会話に首を突っ込んで話を聞くわけにはいかない。そこでドキュメンテーションは自分の肩代わりとなってステークホルダーの理解を促したり、プロダクトマネージャーの意思決定をサポートしたりする役割を果たす。

及川 卓也,小城 久美子,曽根原 春樹. プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで (Japanese Edition) (p.287). Kindle 版.

ドキュメントを使ってコミュニケーションすることで、非同期に何度でも情報を伝えることができます。影響力を発揮して、プロダクトを推進していくためには、ドキュメントは最重要です。

また、ドキュメンテーションを日々行う中で、ドキュメンテーション≒考えることだと思えるようになってきました。なにか物事について考える時に、それをドキュメントにすることで、どこが整理できていないのか、どこの要素が足りていないのかを検討できます。

自分の頭の中だけではGoogleドキュメントのページ1枚分もイメージを保持できないと思いますが、手を動かして書き出していくことで、Googleドキュメント何枚分もの情報を繋がりとともに整理できるのだと実感しました。

ドキュメントを作るにあたって、以下の全体観シリーズはとても参考にしています。

このシリーズは問題解決の全体感上下巻とドキュメントコミュニケーションの全体観上下巻の計4巻でなかなかのボリュームがありますが、どの巻もドキュメント起点で仕事を進めるのに欠かせない観点がいくつも書いてあります。その中でも重要視されている一つ、「ストーリー」について少しだけ紹介します。

初めにストーリーありき

ドキュメントコミュニケーションの全体観では、「ストーリー」の重要性が度々説明されます。人はストーリーがあって初めて納得するとして、資料を作るにはまずストーリーを作ることから始めるべきだと言っています。

例えば、あなたが突然「退職しろ」と言われた場合を考えてみよう。
このときあなたはどういう反応をするだろうか?
言うまでもなく、それが何の結論であったとしても、あなたはそれだけで「ハイ。わかりました」と素直に従いはしないだろう。
そして、「なぜ、そうした結論に至ったのか?」と、話の筋道や理由を明らかにするように頼むだろう。

これは、我々は結論とそれに至った筋道あるいは理由づけ、すなわち「ストーリー」を聞いて、それが妥当なときに初めて納得するということだ。

ドキュメントコミュニケーションの全体観 上巻 原則と手順

さらに、本書にはどうやってストーリーを作るか。どうやって資料に反映させるかなど、細かく紹介されています。

自分の作った資料は、分かりづらい、つまりどういうこと?とよく言われてしまうのですが、ストーリーの部分が大きな課題だと思っています。
ストーリーを意識しながら資料を作るのは難しく、ストーリーが資料上だけで伝わるというのはさらに難しく感じます。資料だけでは伝わらず、口頭で補足しまくってようやく納得してもらえるというのが日常ですが、できることなら資料を渡しただけで理解・納得してもらえる状態に持っていきたいですね。

今年の成果

それでは、ドキュメントづくりを通じて成果が出せたなというものを3つ振り返ります!

DPR Project

プロジェクトの構想を伝える図

1つ目はDPR(データプロセスリエンジニアリング) Projectです。今年の5月から始めたプロジェクトで、社内のデータに関するプロセスを見直し、信頼できるデータの構築→データにアクセスする手段の構築→テクノロジーを駆使したフローの構築、というふうにデータ活用を進めていきましょう、というものです。

自分が作った資料でメンバーを少しでも動かせたのかなと思っていますが、今見返すと杜撰な資料でした笑。
プロジェクトメンバーにデータ活用に前向きなメンバーが複数いたこともあり、社内のデータはどんどん整理されていきました。また、データにアクセスする手段の構築としては、BigQueryをメインに据えた新しいデータ基盤の構築が進みました。

さらに詳しい話は津崎さんが紹介しているので、ぜひそちらも見てみてください。

今年作り込んだデータ周りが来年以降、プラットフォームのデータ分析やM&Aのマッチング、顧客サポートに大きく貢献できると思っています。

エンジニアリファラル採用

リファラル採用強化のための施策案の資料抜粋

2つ目はエンジニアのリファラル採用です。今年の前半はエンジニア採用の進捗が悪く、なかなか新しいメンバーが入ってこない期間が続きました。そこで、過去の採用経路を振り返り、最も有効なリファラル採用を推し進めるべきと整理し、リファラル採用を推し進めるための施策を検討しました。

もともと人事側でもリファラル採用強化したいと考えており、ここから、リファラル採用の表彰や紹介フローの明文化、声掛け対象の緩和、会食費補助の整備などが進みました。

結果として、リファラル経由で2名の採用を決定できました!リファラル採用を推し進めてくれたエンジニアメンバー、そして入っていただける新しいメンバーに感謝感謝。

資金調達クラウドリリース

3つ目は「資金調達クラウド」サービスのリリースです。リリースプロジェクトではマイルストンやプロジェクト管理表といった進捗管理のドキュメントを整備したことで、他部署と協力しながらリリースまで調整できました。詳しくはこちらの記事に書いてあるので、ぜひご覧ください。

来年に向けて

今年のアドベントカレンダーのテーマは「今年の振り返り・来年の抱負」ですが、引き続き人に動いてもらうことが課題です。そんな中で、来年はもっと武器を増やしたいと考えています。

再び「プロダクトマネジメントのすべて」から引用ですが、プロダクトマネージャーのリーダーシップは信頼・情熱・共感・論理の4つの手段が武器になると書かれています。

プロダクトマネージャーはミニCEOとよばれるが、CEOともっとも異なるのが権力や報酬を使ったリーダーシップを取れないことである。

・・・中略・・・

そうした中で影響力を行使するにあたって、信頼、情熱、共感、論理の4つの手段が武器になる。これらを用いて議論をできるのは、同じ目標に向かう仲間である。一見、対立しているように見えたとしても、相手が同じ目標に向かう仲間なのであれば、まず相手の立場に立って考えてみることから始める。

及川 卓也,小城 久美子,曽根原 春樹. プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで (Japanese Edition) (p.257). Kindle 版.

ドキュメンテーションは主に論理の部分で、もちろんそこも磨いていきますが、信頼・情熱・共感も自分の武器に入れていきます。2023は情熱的なプロダクト開発をやっていくぞ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?