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M&Aクラウドが全員でテクノロジーにチャレンジする意義

こんにちは、M&AクラウドでCTOをしているかずへいです。この記事はM&Aクラウドアドベントカレンダー2021の25日目の記事です。

アドベントカレンダーも今日が最終日になりました。25日間通してみて、みんな文章がうまく、とても読み応えのある記事を書いていて驚きました。個人的に気に入ったのは 9日目に吉松さんが書いてくださった 「金融の最前線で35年戦ってきた私が、なぜM&Aクラウドとそのメンバーに期待するのか?」という記事です。最後の起業家精神あふれる若手に贈る、3つのメッセージの部分は何度も読み返したいですね。興味がある方は他の記事もcheck!

今回のアドベントカレンダーは「テック」縛りということでしたが、M&Aクラウドでは、実際に非エンジニアのメンバーも職種の枠を超えていろんなことにチャレンジしている姿が多数紹介されました。

これらの記事のように、M&Aクラウドでは全社でハッカソンを行ったり、様々なツールの使い方の勉強会を行ったりして、皆ITツールを使いこなし、様々なチャレンジをしています。一見すると、M&Aのアドバイザーやコーポレートのメンバー、編集者など専門性の高いメンバーが不得意なITツールを使うことに労力を割くのは無駄とも思えるかもしれません。それではなぜM&Aクラウドではわざわざこのようなことを推進しているのでしょうか?今回はその意義について書きました。


テクノロジーとは

そもそもテクノロジーってなんでしょうか?wikipediaで調べると、「実用的な目的のために知識を応用すること、その方法論、そのための体系的な手法など」という広いことが書いてあります。今回はとても狭い了見ではありますが、人間がやる仕事をシステムに代替するという視点で考えていきます。

システムが得意なことは、大量のデータを扱うことや、何度も同じことを繰り返し正確に実行することです。

逆に、一つ一つのことに対して細かいチューニングをしたり、判断したりが必要な仕事は、人間が得意です。システムには向いていません。最近はAIが出てきて、複雑な問題をシステムで解決することが増えましたが、その場合も膨大なデータがあった上での話です。

最近、弊社のM&Aクラウドでは、過去ユーザー様と紙で締結していた契約を利用規約に同意していただく形式に移行しました。同意やお問い合わせといったアクションへの対応やその記録は、システムが得意な最たるものだと思います。

また、Amazonのワンクリック購入はこれの極みですね。私もいつも使っています。逆に人がやる場合、都度正確にこなすことは難しいですし、ユーザー様が増えると対応自体が困難になります。

こういった業務プロセスは、システムが得意なものなので、どんどんシステム化していくべきです。そして、システム化すると、それ以降は人間が何もしなくても、同じプロセスが実行されます。

このシステム化は、考えようによっては、人が考えた作業を保存することと捉えることができます。人が考えた正解だと思う業務オペレーションを都度システム化していくことで、より複雑な業務オペレーションを複雑なシステムとして構築し保存することができます。

Amazonのワンクリック購入には、住所、決済方法等が登録された上で利用規約にも同意して購入を実行するという複雑な業務システムの実行が詰まっていますね。

10 Playerとは

M&Aクラウドには10 Playerというバリューがあります。

"10 Player" T型人材は当たり前だ。
Investorの視点でT型人材を突き破れ。
イノベーションの種は、専門性と他分野をクロスする事で発芽する。
ただし、それだけでは育たない。時間対効果や費用対効果、投資対効果の栄養を注ぐことで、天高くまっすぐに成長する。
まずは専門性(↓)を徹底的に磨き、その他分野(↔)に知見を広げ、常に投資対効果(↑)を意識することを忘れずに十になろう。そうすれば、必ず時価総額10兆円を牽引するプレイヤーとなる。

https://corp.macloud.jp/mission/

弊社にはM&Aアドバイザーやエンジニア、編集者など、一般的に専門職と言われる業務についているメンバーが多いですが、このバリューがあることで、専門分野だけでなく幅広い知見を取り入れ、他部署の垣根や職種の枠を超えて活躍することが推奨されます。また、各部署にDX担当がいて、そのメンバーは各部でのITツールの利活用の推進を担っています。

これらの考え方や施策で、メンバー全員が、どのようにITツールを使うか考えながら仕事を進めています。

全員でテクノロジーにチャレンジする意義

では非エンジニアも含めた全員が、テクノロジーにチャレンジする意義は何でしょうか?それはズバリ、全メンバーが業務プロセスを設計し、それを保存できるようになることだと考えています。

M&A領域は集客からマッチング、成約まで、とてもフローが長く複雑です。それを人力ではなくシステムで進めていくことを考えると、エンジニアだけではなく、メンバー全員が業務プロセスの設計に関与していく必要があります。この時に大事なのはメンバーそれぞれが自分でPDCAを回している状態を作ることです。自分で考え、実行し、その結果を確認し次のアクションにつなげていく。これができるようになるには、自分で実行し、結果を即時に受け取るということが必要になります。

自分自身が結果を高頻度で受け取るということがどれだけ大事か、ここで、「世界はシステムで動く」という本から一つの例を紹介します。

オランダの家庭の電力メーター
 
アムステルダムの近くに、一戸建ての家が建ち並ぶ住宅地があります。同じ時期にどれも同じように作られた家です。そう、ほぼ同じように、ということです。理由はわからないのですが、何軒かの家の電力メーターは地下に設置され、ほかの家の電力メーターは玄関に設置されていたからです。

・・・中略・・・

 1970年代初めに石油が輸出禁止となり、エネルギー危機が到来した時、オランダ人は自分たちのエネルギー使用に細かく注意を払うようになりました。そこでわかったのは、この住宅地の何軒かの家の電気消費量は、ほかの家より3分の1少ないということでした。だれにも説明ができませんでした。どの家も電力料金の単価は同じでしたし、どの家にも同じような家族が住んでいたのです。
 結局のところ、違っていたのは電力メーターの設置場所でした。電力消費量が多い家族は、メーターが地下に置かれていた家に住んでいました。地下ではほとんど目にすることはありません。電力消費量が少ない家庭の家は、メーターが玄関に設置されていました。小さな輪が回って月の電気料金が上がっていくそばを、1日に何度もみんなが通るのでした。

世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方 第4章

この本はシステム思考の導入書ですが、フィードバックループの作り方についても豊富な例を使って説明しています。

本では電力メーターの例が出ていますが、レコーディングダイエットなども一緒ですね。可視化をして、実行者本人が結果を高い頻度で確認することが改善に繋がります。ここで、自分はエンジニアじゃないしなあ…と言って手を止めたり、いちいち、エンジニアのメンバーにデータ出してくださいとやっていると当然改善が遅くなります

そのため、実行のためのツールとしてGoogleフォームやZapier、Slack workflowを使い、結果を受け取る方法として、Redashやスプレッドシートが極力制限なく使える状態を弊社では作っています。

まずはスプレッドシートでも良いし、Zapierでも良いし、Googleフォームでもいいし、Slackのworkflowでもいいから自分の考えられる範囲で運用を回してみよう、というふうに考えられると、PDCAが本人だけで完結するので、スピーディーに業務プロセスを設計していけます。

さらに、ツールで自動化したものはシステム化するのと同じことです。毎回同じ動作が実行されます。これは自分でオペレーションを設計し、しかも保存できるということです。

システム開発を待ったりせず、自分で仕事を進めるために、必要なものなら何でも使っていく、専門性+幅広い知見+投資対効果、まさに「10 Player」ですね。

各メンバーが自分で手を動かし、必要ならツールでも何でも使って一人ひとりが業務プロセスを設計していける。さらに、そのプロセスがシステム化されることによって、知識として保存されていく。これが非エンジニアが、テックにチャレンジする意義かなと考えています。

これを全社でやっていくことは、会社という木があって、それぞれの枝で各メンバーが努力して枝の先を伸ばしたり分岐させたりしているイメージです。中央集権的に、一人の優秀な人が端から端まで全て決めていくという組織よりも、各メンバーが能力を持って、個別に努力していくという状態のほうがスケーラブルで理想的だと考えます。

努力して枝の先を伸ばしたり分岐させてたりしているイメージ

個別最適と全体最適を繰り返し、最良のプロセスを構築する

では、各メンバーが努力していくと何が起こるでしょうか。それは個別最適化です。各メンバーは、他の部署のことや会社全体のことを全て理解しているわけでは無いので、当然そのメンバーが思う最良のやり方が選ばれます。個別最適化が進みすぎると、会社全体でみた時に複数の部署で同じことをやっているとか、整合性が取れないといったことも当然起こるので、たしかにこれは非効率的です。ですが、これを許容することによって、メンバー個人の創意工夫ができるようになります。

では、そのまま個別最適化が進み続けてよいのでしょうか?そうではありません、やはり一定の水準に達したら全体最適に舵を切るということが重要だと考えています。これは伸びた枝を剪定して整えていくイメージです。各メンバーが伸ばした枝の中から価値のあるものとそうでないものを選り分けて整理していきます。

伸びた枝を剪定して整えていくイメージ

例えば、弊社では一時期、各部で自部署に沿ったツールを試しに使っていたために、タスク管理ツールが乱立しているタイミングがありました。そこで、社全体で1つのツールに揃えようという話になりましたが、もうその時にはJira、Trello、Asana、Wrikeなど主要なツールの良い悪いが大体分かっていたので、すぐJiraに統一することができました。

また、弊社ではBIツールとしてRedashを使ったデータの分析やモニタリングや分析を行っていますが、現在クエリーは1500件以上になっています。これは、各部にSQLを書ける非エンジニアのメンバーがいて、自部署のために活発に活動した結果です。ここで、各部で同じようなデータを別々に取っていてクエリーが重複していたり、同じものを取っているはずなのに微妙にルールが違って差が出てしまうという問題が発生しています。

しかし、裏を返せばそれぞれの部署で取りたいデータの種類やフォーマットが全てクエリーになってすでに存在しているということです。これはメンバーそれぞれが試行錯誤した賜物です。その中で、全社的に重要なものをデータウェアハウスで重要指標として整備し、各部で必要なものをデータマートとして整理すれば、一気に便利になるはずです。次はここの部分の整備をやりたいと思っているので、興味のあるデータエンジニアの方は是非ご連絡ください!

このように、個別最適からの全体最適を繰り返すことで価値のあるものと無いものを選り分け、価値あるものを保存していくことで、組織全体が成長していけるはずです。

M&Aクラウドを大樹に育てたい

今まで、木の枝の例えを多用しましたが、この考え方を推し進めていき、やがてはM&Aクラウドという会社そのものを大樹に育てたいです。

M&Aクラウドでは、これからもメンバー全員にたくさんのツールや権限を与えていろんなチャレンジをして行きます。メンバーそれぞれが創意工夫をし、その中でうまく行ったもの、価値があるものが残り、そこから更に新たなアイディアが試され、枝が複雑に伸びていく。そして、局所最適化と全体最適化を繰り返しながら、より洗練された、M&Aクラウドだけが提供できるサービスになっていきます。M&Aクラウドの提供する様々なサービスが連携し合って、たくさんのM&Aの成約に関わっていけるように。これからもチャレンジを続けていきたいと思います。

#アドベントカレンダー2021


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