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なぜ建設会社の役員の地位を捨て、建築 バーティカルSaaSでの起業を決断したのか。

なぜ建設会社の役員の地位を捨て、
バーティカルSaaSでの起業を決断したのか。私、豊田一晴(とよたかずは)は、いま37歳。3年前までは父親が立ち上げた建設会社を兄と共に継ぎ、経営陣の一員として充実した日々を送っていました。

親の築いた資産の上で楽をしてはならない、兄弟でこの会社を何倍にも
大きくしてやる・・・そう決意して、現場を飛び回り続けました。
取得した資格も54にのぼり、自ら建設会社を作ることもできるほど、建設業界の事情には精通するようになりました。会社の売上もわずか10年で6倍以上に伸びました。経営者としての兄の能力の高さは目を見張るほどでしたが、私もそれなりに貢献できたとは自負しています。


ちなみに経験してきた業務領域は、ゼネコンの下請け企業、サブコンの派遣社員や現場代理人、元請け現場代理人、PFI事業責任者、積算責任者、調達・購買責任者、工事統括管理者、採用責任者など多岐にわたります。

でも、そんな私がなぜ、会社を辞めると決断し、FIRST(ファースト)という会社を起業するにいたったのか。それも建設会社を立ち上げる等ではなく、「建設業界特化型」というIT領域で。決意の根本には、このままでは日本の建設業が破滅してしまう、それはつまり日本の破滅に繋がる・・・!そうした危機感がありました。そうです、「IT」と言っても建設業界に直結した、建設業界で働く人々を救うためのもの。建設業の未来のために、あえて専門外の領域に打って出ることにしたのです。

[建設業の構造的問題]
建設業は特に高齢化が著しく、30歳以下の若手はたった10%

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まず、建設業の構造的な課題についてお話しします。建設業と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?騒音あふれる工事現場、ニッカボッカをはいたガテン系・・・ありがちですが、それも間違いではありません。一方でYouTubeによって、職人さんの超絶な技を見て感心した人もいることでしょう。最近では建設業の実情をSNSで語る人も増えてきており、理解も少しは進んでいると感じます。

しかし、世の中の大部分の人にとって、建設業は魅力的な職場とは思われていない。特に若い人には良い就職先として認知されていない。私はそう感じています。身体を動かすことを前提とする職場で、厳しい制約が課せられる毎日。何より、キャリアパスが見えず、成功者のイメージがすぐ思い浮かばないことが致命的です。

これから少子高齢化を迎える中、日本の全産業で若年層の取り合いが始まります。建設業もご多分に漏れず高齢化の一途、就業者数の約35%が55歳以上です。この35%の人たちは長くてもあと10年くらいしか働けず、結果として175万人の職人さんたちが現場から消えてしまいます。そこを引き継ぐ30歳以下の人たちは、就業者全体の10%、50万人くらいです。差し引きすると、なんと125万人の手が不足してしまうのです。

[社会への負の影響]
インフラ整備や新しい街づくりは待ったなし、それなのに造る人がいなくなる

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働き手が不足すると、何が起きるのか。当然のことながら、現場の生産性は下がります。流行のロボット化も試みられてはいるものの、少しでも複雑な施工になると、やはり職人さんの技に頼らざるを得ない状況です。最近では外国人の方も増えていますが、現場の改善なしに労働だけ委託するという風潮には、私は違和感を覚えます。そしてここからが本題なのですが、建設業は日常生活のあらゆる安全・安心を担保している存在であり、そこが崩れると私たちは普通に生きることすら出来なくなるということ、これを大きな声でお伝えしたいのです。

昨年、2021年は東京オリンピックが行われましたが、街中の橋や高速道路、トンネルなど「インフラ」と呼ばれる設備が整ったのは、実は前回の東京オリンピックのころ。つまり60年近くも過去のことであり、抜本的な改修の時期を迎えています。以前、大問題となったトンネル外壁の崩落事故も、耐用年数の限界がきているところに原因があります。ところがいま、日本全国で老朽化への対策が急がれる一方で、以前のオリンピックの時とは決定的な違いがあります。それは人口減であり、それによる税収の不足です。

これからは人口減と税収減を前提に、都市やインフラの整備にも選択と集中が求められます。コンパクトシティはその最たる発想、MaaSや自動運転も本格的に稼働することでしょう。しかし、こうした未来の街づくりには、新しい道路規格も必要であることは、意外に知られていません。たとえば街中で自動運転を実現するためには、車道と歩道の厳密な分離が必須と言われています。老朽化対策と、新しい都市規格への対応。この両面で建設業の重要性は増すばかりです。繰り返しになりますが、それなのに建設業で働く人が減り続けている。これを何で放っておくんだ・・・!?20年近く建設業で生きてきた私の中で、怒りと疑問が抑えきれなくなっていきました。

[解決の糸口]
「次世代の担い手が集う建設現場」を作るため建設技能の「評価」と建設業務の「分断」を解消すればいい

建設業、そして日本の未来を支えるために、真っ先に改善すべき重要課題は何か。あらためて建設業界を分析してみたところ、大きな事実が見つかりました。それは、建設技能に関わる「評価」と建設業務に関わる「分断」です。

●不適正な評価の実例
建設業界は、人々の安全と安心を守る社会インフラ整備事業であるため、
国が定める法律や高い要求水準、規格に沿って建設物を建造することが求められてきました。官民問わず、多くが、国が定める法律や要求水準、規格を満足する建築物を安価で提供出来る企業が受注を行える、競争制度であるため過当なダンピングに陥り、建設企業の収益化が悪化しているのが現状です。建設業界は多重階層構造であるためシワ寄せの影響を大きく受けるのが
下請け企業であり、建設技能者です。そのため建設技能者は技術に見合った適正な評価が受けられず他業界と比較しても低賃金での就労を余儀なくされています。結果的に肉体労働で休日も少なく、給与も低賃金な建設業界は魅力を欠き若年層(29歳以下)の方々の離職率が高止まりし、3年以内に2人に1人が建設業界を後にするという状況になっています。
●分断の実例
・複数社をまたぐ産業構造と業務スタイル
・現場や書類ごとの同一内容・重複業務への時間投下
・企業を超えた煩雑な承認フロー
・情報の齟齬
・情報員用のための転記作業
典型的なのが、元請けや協力企業の分断です。ひとつの建設現場には、70を超える業種の職人がフェーズによってさまざまな業務を分担して作業に従事します。ちょっとでも遅延やミスがあると、そこを起点に全体のスケジュールが狂うという最悪の結果を招きます。そこで各企業間の意思疎通が重要となってくるのですが、立ちはだかるのが企業を跨いだ管理文書の作成と煩雑な承認フロー、率直に言えば膨大な承認書類の数々です。いまだに紙と手書きが主体のため、書類の不備は日常茶飯事。重要な承認印が抜けたままでいることも珍しくありません。そうした不備を、忙しい現場監督や職人の方々が一日の作業の合間に作成や修正対応。そして寝不足のまま翌日の作業を迎える・・・これではどんなに安全確認の手順を整備しても、根本からの解決にはなっていないというわけです。元請けとしても工事の進捗管理だけでなく、人命のかかる監督責任を問われてしまいます。

そこで私は、建設業界が抱える「評価」と「分断」という課題を解決するべく、「すべての企業と業務をひとつなぎにする」をテーマに掲げ、新しいシステムの開発を思い立ちました。名付けて1-Touch(ワンタッチ)。すべての事務的業務をスマホ1台で完結させることで、建設企業や現場監督、職人の方々が、本業である技術の提供に特化できるようにします。

[1-Touch誕生]
そして誕生、1-Touch(ワンタッチ)。ワンタッチで建設DXを実現し、建設企業や現場監督、職人を助けます。

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新サービスの名称は「1-Touch(ワンタッチ)」と名付けました。誰でも場所に囚われる事なく、その場で、管理業務と書類作成が特別の負担無く、超簡単に行える・・・そんなユーザーメリットを表現しています。

具体的に1-Touchは、
1.就業履歴システム(建設キャリアアップシステムAPI連携)
2.安全衛生日誌・RKY
3.安全書類
4.グループチャット
5.勤怠管理
6.日報
7.データ連携
8.BPO(業務委託)

初期リリース時は以上の8つの特徴的な機能をひとつなぎとしたサービスから構成されています。いずれも私自身が建設業界に従事していた16年の経験をもとに、「こんなサービスがあったら良いな」と願い続けてきた理想を徐々に実現していくもの。サイロ化している企業や業務を、システムの力でひとつなぎにしていきます。これにより現場で発生するさまざまな「ペイン=痛み」を根本から消滅させることができ、建設業界を健全に保つ切り札になると確信しています。繰り返しになりますが、自分が現役時代にこのシステムさえあれば・・・そんな感慨にふけるほどの機能を、シンプルに内装しています。「すべての企業と業務をひとつなぎにする」は大きな事業であるため短時日には成しとげられないことから、長い年月にわたる努力を積み重ねて理想を実現していきたいと思います。

なお、中小の建設会社を対象としていることから、経済合理曲線の外側にある事業なのでは・・・そう思う人もいるでしょう。しかし、人々に必要な本当のイノベーションは、そうした既成理論を超越したところにあると信じますし、マネタイズのシミュレーションは何度も何度も繰り返しています。それこそ1円単位まで検証し尽くした結果が、このFIRSTの新事業であると断言させていただきます。

1-Touchサービス サイト

[仲間募集]
地に足のついたスタートアップで、世の中に貢献してみませんか?

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ここまで駆け足で、豊田一晴によるFIRST創業の理由を述べさせていただきました。まだ創業間もない企業ですが、1-Touchの事業にて経産省のものづくり補助金に採択され、建設キャリアアップシステムとの連携も取り付けています。さらに建設キャリアアップシステム導入・運営サポート業で生計をたてスタートアップでありながらも地に足を付けて活動していると自負しています。夢ばかり語り、ストックオプションへの期待値で従業員をつなぎ止める、そんな会社にするつもりはまったくありません。創業者でCEOではありますが、自分より優秀な人から学ぶ姿勢は、常に持ち続けているつもりです。

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関わる市場も存在意義も、夢も理想も、すべてが大きい、小さいのは今の規模だけ。FIRSTを一緒に育ててもらえる人を、常に募集しています。社会を良い方向に変えたい、自分の意志で何かを生み出したい、起業を学んでみたい、そんなあなたを大歓迎!さあいっしょに、建設業界に維新を興しましょう!

●応募はTwitterのDMでお願いします。


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