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ザ・ゴールデン・エイジ

「今日のニュースはこちら!名実共にアメリカ一のヒーロー、ブライトシェルの独占インタビューです」

軽薄そうな、トパーズのスーツを纏ったアナウンサーに促され、目の痛くなるような過剰装飾のスタジオにブライトシェルは通された。騎士を連想させるフルヘルメットに、黒のディレクタースーツという間抜けな格好に、仮面の内で失笑しながら、スタジオを埋め尽くすファンらに手をあげて応える。割れんばかりの歓声に、拍手。40年という年月のなかで築き上げたもののひとつだ。

20歳、まだ尻の青いガキは、司法の不徹底さや警察の無能さに耐えきれず、自警団(ビジランテ)になる道を選んだ。度重なる犯罪との戦いに負けては、戦術を研究し、1年たって漸く勝利を納めた。活動に資金が必要になれば、援助を乞い願い、小さな量販店がスポンサーになった。今ではコカ・コーラらをはじめとした大手企業がスポンサーだ。タイツにホッケープロテクターのみだったコスチュームは、専属のデザイナーがつき、強化ケブラー繊維とナノカーボンによるプロテクターで、洗練された装いになった。

富を築き、愛にも恵まれ、公私ともに成功したアメリカン・ドリーム。まさにブライトシェルの黄金時代(ゴールデン・エイジ)

息子が悪役(ヴィラン)であることを除けば──

【続く】

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