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新米人事だったわたしに手を差し伸べてくれた、あの時の神様にお礼を言いたい

欲しいものを手に入れるには、「行動すること」が何より重要だ。
今のわたしはそう思っています。

でも、新米人事だった24歳当時のわたしは、行動なんて全然できずにただ立ち往生している超未熟者でした。

そんなわたしに、行動のハードルを低く低く下げて、そっと目の前に差し出してくれた人がいました。

とある会社の人事マネージャーの方でした。なんの取引関係があるわけでもない他社の新米のわたしに手を差し伸べてくださった、神様のような方でした。

いつかまたお会いできたらお礼を言いたいとずっとずっと思っている、その方の話を、今日は書きたいと思います。

実力も知見もない中での人事デビュー

わたしがホテル運営会社の人事になったのは、入社2年目の秋のことでした。「大好きな会社の仲間たちにいきいき働いていてほしい」「個々が持っている力を120%発揮してほしい」そんなまっすぐな思いで、希望して人事になり、採用と人材開発を担当することになりました。

当時わたしがいた組織は、いずれV字回復を遂げるその手前の、ちょうど底辺期のタイミングにありました。バック部門の人員は絞られ、特に人材開発分野においては、自分よりも知見を持っている人が社内に誰もいないという状態でした。(※その時のわたしの知見レベルはというと、ちょっと興味を持ってそれ系の本を読み漁り始めた、という程度。)

そもそも、人材開発に注力できるような状況ではない。
でも苦しい時だからこそ、今いる人員でのパフォーマンス最大化が必要です。その知見が組織の中にないのであれば、外に取りに行くしかありません。

が、当時のわたしは「外に取りに行く」という行動ができませんでした。

場所が地方すぎたし、社外に人事の知り合いなんていなかったし、今ほどSNSも発展していなかったし、ウェビナーなんてなかったし…全部、言い訳。引っ込み思案を無駄に発揮していただけです。

唯一できたのが、最寄り都市で開催された人事向け勉強会への参加でした。仕事を早上がりして、2時間ほど電車に揺られて向かいました。

エレベーターの中で差し出された助けの手

その勉強会の参加者は、50人ほどだったでしょうか。会場に入ると、4名程度のグループに分かれるようテーブルの島がセットされていました。

最初に講義があり、その後グループディスカッションをしたような気がします。
内容を全然覚えていないのは、理解が追いついていなかったのと、ちゃんと目的を持って参加できていなかったから、だと思います。今の組織課題は何で、それを打開するために自分が吸収すべきものが何なのかもわかっていないまま、「何かヒントを得られないか」という他力本願な姿勢で勉強会に参加していたから。

でも、それでも、「勉強会に参加したことは偉かった」と当時の自分に言ってあげようと思う。神様に出会えたからです。

その方のことを、Hさんと呼びたいと思います。
Hさんは40代くらいの男性で、たまたま一緒のグループでした。わたしより先に席についてらして、わたしが着席するとにこりと笑いかけてくださいました。

わたし以外は30~50代という顔ぶれの中、緊張した顔つきで入ってきたぴよぴよ24歳のわたしを気遣ってくださったように思います。第一印象から素敵な方でした。

勉強会のあと、エレベーターでたまたまHさんと一緒になりました。そこでこう話しかけてくださいました。

「実は私も以前、ホテルマンだったことがあるんですよ。」
「え、そうなんですか!」

共通点を伝えてもらったおかげで、わたしは思わずラフにお返事。そのまま楽しく雑談をし、エレベーターを降りる時には、気後れも緊張もずいぶん和らいでいました。そして、Hさんはこうおっしゃいました。

「古巣のホテル業界で、頑張っているあなたを応援したい。私でできることがあればいつでもご連絡くださいね。名刺にメールアドレスがありますから。」

それは、この時のわたしには、絶対に必要な助けでした。

名刺交換は既にしていたものの、その声かけをいただいていなければ、その前にエレベーターの中で打ち解けた雑談をできていなければ、わたしはHさんに自分からメールする勇気は持てなかったと思う。

今振り返ると「いやいや気後れしている場合じゃないでしょ」と情けないばかりですが、当時のわたしは、ここまで手を差し伸べてもらえたから、「翌日メールを送る」という小さな小さな行動を、やっと取ることができたのです。

それは例えば、食べ方がおぼつかない子どもに、食べ物を一口サイズに切って出してあげるように。Hさんは、その手助けを、わたしが受け取れるサイズにして丁寧に差し出してくださったのです。

この日が、わたしのキャリアの分水嶺となりました。

Hさんへ

お元気でしょうか。

あの時は、メールで親身にアドバイスをいただいたり、わたしが出張でそちらに行った時はランチをご一緒したりと、本当によくしていただきありがとうございました。

当時おすすめしていただいた中原淳先生の『企業内人材育成入門』は、あれから10年以上経った今でも読み返すことがあります。笑ってしまうほどマーカーだらけで、貪るように読んだ当時が思い起こされます。

Hさんが産業カウンセラーの資格をお持ちと聞いた時、そこではじめて、そういう資格があること、人事としてのサポート範囲の広さを知りました。

わたしもその後、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を取り、企業内外での研修やキャリア相談を通してたくさんの方と向き合ってきました。
今は、様々な企業様の人事課題解決のご支援をさせていただいています。

社員想いで、一生懸命で、でも何から手をつけたらいいかが難しく歯痒い思いをしている…そんな人事の方にお会いすると、あの時の自分を思い出します。そしてHさんのことを思い出します。
わたしは、Hさんのように、受け取りやすいサイズで差し出せているだろうかと。

あの時のご恩を、今のわたしがお力になれる方へ、たくさん「恩送り」できたら、と思っています。


いつか、Hさんへ直接お会いしてお礼を言える日も、来たらいいなあ。

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企業の人事課題に関して壁打ち相談したいという方は、お気軽にコメント欄へ。
なんの見返りもご不要です。喜んでお伺いします。



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