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『マダム・ウェブ』は本格ミステリー・サスペンスではない

詐欺予告編いい加減にしてくれ、という話。

本格派推理小説(ほんかくはすいりしょうせつ)または本格推理小説(ほんかくすいりしょうせつ)、本格ミステリ(ほんかくミステリ)、本格ミステリー(ほんかくミステリー)[1]本格探偵小説(ほんかくたんていしょうせつ)とは、推理小説のジャンルの一つ。トリックや謎解き、頭脳派名探偵の活躍などを主眼とするものである[2]。なお、本格ミステリは日本独自の概念・呼称で、英語でのpuzzlerやpuzzle storyあるいはclassical whodunitなどと内容的には類似しているといわれている[2][3]

wikipediaより引用

「マーベル初 本格ミステリー・サスペンス」とデカデカと打ち出して宣伝しているわけですが、まったく本格ミステリー要素なし。ミステリーにおいて必ずしも名探偵や殺人事件やトリックなどが出てこなければいけないわけではないと思うのですが、ミステリーと銘打つからには「意外な事実、驚きの展開、鮮やかな論理展開」のどれかはあってほしいものです。でもそういうものがマジでない。なんなら他のミステリーじゃない映画のほうがある。

『マダム・ウェブ』はヴィランに命を狙われる少女たちを描いた話で、サスペンス要素はあると思うのですが、犯人の正体や動機など全てが開始15分ぐらいで開示されるので視聴者の視点からするとそれ以降何一つ謎や驚きがない。予想した通りに「ですよね〜」でだいたい最後まで行きます。のわりに、登場人物の言動が物語の都合で無理やり捻じ曲げられてる感が強く、「そこなんでそうしちゃうの?合理的に考えたらおかしくない?」みたいなツッコミだらけになってしまう感じで『竜とそばかすの姫』を思い出しました。

でもまあ評判悪いけどそこまでつまらない駄作ではないと思います。女性メンバーたちの掛け合いとか悪くないしキャラ立ちもしてる。しかし活躍するシーンがない

印象に残ったのが主人公の未来視能力の描写。突然なんの前振りもなく未来と現実が交差したり行ったり来たりするので主人公の動揺する心理が観客にもダイレクトに体験できます。本人が見たいわけでもないのに頻発するもんだから今が本当に今なのか、それとも未来のことなのかわけわかんなくなるだけで全然便利じゃない。未来視に振り回されて主人公の言動がまるでアルツハイマーみたいな感じになっちゃう描写がやたら丁寧。『ファーザー』を思い出しました。

逆転の轢き逃げアタック展開2回もやるなよ!とか、話の粗をツッコミ出したらキリがないっちゃないのですが、そういうツッコミ語りの余地がある映画の方がなんやかんやで楽しめるんじゃないでしょうか。みなさんもぜひ映画館で見て首を傾げながら劇場を出てきてみてください。

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