小学5年生の時の担任、田辺先生から浄土真宗の話を聞いたというエピソード

こんにちはITOです

最近YouTubeを始めて、カットプロセスなどサロンワーク風景を動画にしている

先日、小学5年生の女の子をモデルに、カットをしている動画を撮らせてもらった

昔のITOは子供のカットはお断りしていた
なぜなら動くから、うるさい、何を考えているかわかりにくい
と、当時は思っていて、自分のクリエイティビティが鈍るなどと周りにほざいていた

今は「そんな事を言っているお前が一番ガキだ」と気付いたので、お客様の小さなお子様でも自分の幅を広げるために喜んでカットさせてもらっている

小さい女の子のお客様はだいたい5歳を境に、急に女子高生の様になってしまうから女の子の成長とはつくづく不思議だ

男の子は小学生になってもお猿さんみたいで、それはそれで母親からしたら可愛くてしょうがないのだろう

今回の動画撮影のモデルは小学5年生の女の子なので、もちろん立派な大人として接した
お母様が付き添いで来店されたが
ヘアスタイルのオーダーは、お母様の意向よりは本人の意志をなるべく尊重した

お子様とコミュニケーションをとりつつカットを進めながら、自分が小学5年生のまだ田舎のお猿さんだった時の事を考えてみた

そして後の人生に多大な影響を受けた出来事を一つ思い出した


私は東京に来て 30年近くになるが、生まれ育った所は愛知県瀬戸市
と言うと、瀬戸内海とかと勘違いされてなかなか面倒なので、瀬戸市民は他府県に出向いた際「名古屋から来ました」とついつい口にしてしまう
近隣の春日井市や小牧市、豊田市出身の人々も同様で、「名古屋出身」と偽る癖がある
その方が話がスムーズだし、少しでもマイナーな田舎感が払拭されるからだ
これが名古屋市以外の愛知県民のささやかなマウンティング
なので今度「名古屋出身者」に出会ったら、本当に”名古屋市”出身なのか問い詰めてみてもいいかもしれない

愛知県瀬戸市とは、町中に陶器の店や工房、焼き窯などがあり、年に一度の「瀬戸物祭り」がある
年に一度の一大イベントの時は、道路いっぱいの人人人で歩けないほどの混雑が数百メートル続いた
そんな時だけ海外からのお客様がたくさん来るが、普段は静かでしがない町

瀬戸物祭りが開催されていたのはまさに私の学区内で、名古屋から電車で40分の「尾張瀬戸駅」、鉄道マニアにも注目されるローカル路線名鉄瀬戸線の終点駅

そんな辺境の町、瀬戸市
今は閉校となったが、私が道泉小学校に通っていた当時の話

私が小学4年と5年の時の担任は、当時30代の男性担任の田辺先生
人情味があり笑顔が素敵な人だった
たまに自分の話している事に酔いしれ、感極まり涙するような激情型人間
三年B組金八先生の様に怒りを露わにする事もしばしばあった
なかなかのイケメンだったため、お母様達からも人気があったようだ

田辺先生は授業中、よく科目から逸脱し雑談をしていた

5年生のある授業中、何の授業だったかは忘れたが、授業が始まってすぐに脱線
「お、今日は脱線が早いぞ」と思っていたら、その日は死後の世界についてを話始めた


田辺先生は、

人は生きている間に、神様の使いに監視されているという
左の肩の上に身長50cm位の使いが乗っていて、監視している人の行った言動を全て書き記している
短冊状の竹の板に、良い行いも悪い行いも一つ一つ全て筆で書かれている

だからまず左の肩は大切にしなさい、間違っても払ったりしてはいけないと…

人は死ぬと
まず三途の川を渡り、閻魔様の前に連れて行かれる
閻魔様の前に神の使いが一生ぶんの竹の板を積み上げる
そして良い行いの板と、悪い行いの板の高さを比べる

膨大な量の竹の板が積み上げられ、その高さの違いによって次はどこの世界に行くのかが決まる

良い事をした竹の高さが高い順に、上の世界から紹介される

「天国」「天女の世界」「人間界」「修羅」「餓鬼」「畜生」「地獄」

この7つの世界のどこかに振り分けられるらしい


まずは「天国」

天国は最上級に良い世界で、一度天国に行ったら、そこでは死がないので永遠に天国生活になる
天国では、1人に1枚づつ蓮の葉が与えられ、その蓮の葉の上に座り永遠と過ごす
欲しい物を思い浮かべれば、目の前にすぐに現れるので贅沢三昧
贅沢三昧に飽きたら、蓮の葉の間から池を覗き込む
そこに見えるのは自分に関わる子孫や祖先達
別の世界でどの様に過ごしているのか観察できる

釣りが趣味の私はこれを聞いた時に、祖先や子孫の心配よりは、蓮の葉の池でブラックバスや雷魚を釣りたいとシンプルに思った
ちなみに小学校の卒業文集で、私の将来は釣りのプロになると書いている
今は亡き西山徹フィッシングジャーナリストに憧れていたのだ


次は「天女の世界」

この世界では全ての存在が美男美女
天女の羽衣を着て宙を舞いながら楽しくイチャイチャしながら1000歳まで生きる
1000歳になった途端に一気に老けこみ、そして死ぬという
その時の田辺先生は”イチャイチャ”の部分をとても嬉しそうに話していたと記憶している


そして私たちの「人間界」

楽しみや幸福があるかわりに痛みや苦しみ、悲しみや老いもある
上から3番目である「人間」という罰を受けているのだと田辺先生に教わった
行きたくもない学校、着たくもない制服にも納得できたし、私ITOが野球やドッジボールが下手なのも、身長がクラスで1番低く「チビ」と呼ばれていた事も、何かしらのカルマなのだと気付けた


「修羅」の世界

出会う人が全て敵、常に奪い合いと殺し合い
食うか食われるかの世界
当然一生も短く皆が短命だろう
チビな私は多分即死


「餓鬼」の世界

食べ物がない世界
しかも餓鬼の喉は針の穴ほどの太さなので、食べ物が喉を通らない
もし食べ物があっても、餓鬼が食べ物を手にした途端に食べ物は消えてしまう

小学生の頃は水木しげるの妖怪絵本にハマったので、餓鬼の世界は水木しげるタッチで少年ITOにインプットされた


「畜生」の世界

馬や牛、人間にこき使われる存在だと
ここで思ったのが、上から6番目なのに修羅や餓鬼よりはマシかなと
馬や牛達など、皆全てが不幸とは思えない
むしろ殺し合いも無ければ食べ物も食べられる。野球やドッジボールをしなくて良いし、学校にも通わなくていい、窮屈な制服など着なくてもよくスッポンポンで暮らせる幸せ

私の死後、もしも上位2つの世界が無理ならば、次は畜生が良いと閻魔様にわがままを言ってみよう
映画レジェンド・オブ・フォールでブラピを乗せて大草原をパッカパッカと駆ける馬になりたい


最後に最悪の「地獄」

殺生という行為をしたならば、地獄行きは確定とされている
地獄では、自分が生き物を殺したのと同じ方法で罰を受け続ける
人や動物を刺したなら、自分が永遠に刺され続ける刑
踏み潰したならば、自分が踏み潰され続ける刑

地獄は一度堕ちたら永遠に地獄、脱出の方法などなく苦しみ続けなければならない世界

芥川龍之介の「蜘蛛の糸」が有名で
犍陀多が生前助けた蜘蛛の糸で地獄を脱出しようとするが、結局悪人は悪人、脱出は失敗に終わるという話
(正確には蜘蛛を助けたではなく、一度は踏み潰そうとしたけど、気が変わり見逃してやっただけ)

でもそんな事言ったら人間なんて皆地獄行きだよね?殺生しまくりだよね?肉や魚を毎日のように食べてるし

少年lTOは最大の興味が自然に生きる生物達だった
放課後の楽しみは自然と戯れる事
無駄にアリを踏み潰したり、セミを爆竹で吹っ飛ばしたり、カエルのお尻にストロー突っ込んで膨らましたり

すでに田辺先生の話を聞いた時点でたくさんの殺生をしていた

現在の都心部の倫理観なら、完全にサイコパス少年という事で要注意人物確定だが
昭和の田舎で野山を駆けまわり、家の裏山に秘密基地を作り、野池で泳ぐ事が日常の悪ガキ達にとっては、殺生も悪戯の延長であり、生命の尊さを学ぶ経験となっていた事も確かだ

という言い訳は通用しないだろう
当然ITOは地獄行き確定

お腹に爆竹を仕込まれて、何度も何度も吹き飛ばされ、身体がバラバラになって苦しみ続け、お尻にストローを刺されて空気をぷーっと入れられる

うっわ…最悪だな

犍陀多に倣って、今まで蜘蛛がいたら恩着せがましく逃してきている
いつか地獄で助けてもらえる事を切に願う


実はこの7つの世界に振り分けられない特例がある
それは親よりも先に死んだ罪

親より先に死ぬとそもそも三途の川を渡らせてもらえず、閻魔様の前に行く事すらできない

三途の川の河原まで連れてこられたら、河原で永遠に石を積み上げなければならない宿命となる
「一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため…」
呪文のようにブツブツ言いながら石を積み上げるが
ある程度積んだらどこからともなく鬼が現れ
「おりゃ〜!」
と、積み上げた石の山を破壊する
そしてまた一から積み上げなければならず、永遠とこれの繰り返し

理由はなんであれ親より先に死ぬものじゃない
親を悲しませてはいけないという事なのね


田辺先生は
ここまで話した事が「輪廻転生」という概念だと言った
そしてこれは「浄土真宗」の話で、宗派や宗教が違うとこのストーリーは当てはまらないのだと

?!え、なにー!?
友人にクリスチャンがいたのは薄ら知っていたが、その友人にとってこの時間は何だったんだ…

それはさておき
最後にとても耳よりな情報をいただけた

「南無阿弥陀仏」と一回唱えるごとに、悪い行いの竹の板が1枚チャラになるという浄土真宗ルール

だからお年寄りは自分の死期が近づくと仏壇に向かい、南無阿弥陀仏の簡略バージョンの
「なんまいだーなんまいだー…」とやって、コツコツと悪い竹の板を減らし、上の世界を目指すのだと

ここまでたっぷり田辺先生の話は、終業のチャイムが鳴るまで40分間も続いた

ほほー、なるほどね

そういえば伊藤家は昔から四季折々のイベント事を一切省いていたリベラルな家庭で、宗教に関しても子供心に無頓着な家庭だと感じていた
しかしこれを機に、伊藤家の深層を知っておくのも悪くない

帰って早速うちの宗派を父親に聞いてみたら、ドンピシャ、今日まさに田辺先生が話した浄土真宗だった
うちの親から浄土真宗と言う言葉が出たことも新鮮だったが、この瞬間に私の中で何かが繋がった

そうか、
という事は早速殺した蝉の数だけ、少し多めに「なんまいだー」しておこう
この日を境に、しばらくITOの中で「なんまいだーブーム」が到来した


ここまで書いた事が、浄土宗的に合っているのかファクトチェックはしていない
私ITOが小学5年生時代に、田辺先生から聞いた話を丸暗記していて、それをそのままここに書いただけだからそれ以上の責任はとらないスタンス

信心深い浄土宗の方が読んだら怒るかもしれないが、怒りの矛先はどうか田辺先生の方へお願いします

この話を聞いて以来20代前半まで、私の判断基準は、左肩に乗ってる使者が見ている前提で行動していた

なるべく良い行動を心がけていたが、悪い事もたくさんしてきた

しかしそんな時は因果応報を覚悟し、より多くの徳を積もうと思えた
そしていざとなれば「なんまいだー」があるぞと心強くもなれた


21歳で東京に出てきて一人暮らしを始め、仕事の忙しさで信仰心はいつしか薄れていった

と同時に、生き方にもリアリズムや合理性を求め始め、徐々に心が乾いていくような感覚だった

34歳を過ぎたあたりで、ふと10代の頃の信仰心が懐かしくなった
何の根拠もない田辺先生の話が、自分の心の支えとなり戒めにもなっていたあの頃

30代前半までは、自分より下の世代を羨み自分をそれらと比較してきた
ところが34歳の時に、実は上のステージでは最年少若手だとある日突然気付く

上には上の40〜60代のそれまで見えていなかったカッコ良さを見出し、下のステージで「私もおじさんになってきたなー」などと悲観的になっていたのがとても幼稚でくだらない事に思えた

世で大成している人を見ていると、どうやら信じる力がずば抜けている
目に見えない神秘性を信じ、自分の可能性を信じる、抗えない偉大な力に畏怖の念を抱く謙虚さがある

そんな人生の先輩方を仰ぎ見ながら、ここ10年くらいで私は、昔の真っ直ぐ信じる力を取り戻すべく英気を鍛え直している
そうする事で上のステージを謳歌し、そのまた上のステージを目指し輝き続けたい

そうそう、私が上のステージを明確に意識できたのは、日本の伝統芸能に影響を受けたこともある

「なんまいだー」で思い出されるのは、落語の「小言念仏」という演目

つい先日2021年10月7日に心不全のため没した人間国宝柳家小三治(享年81)
小三治師匠の生前に、私は寄席や大ホールに足を運び、小三治師匠の高座を何度も観てきた
その中で特に印象的だったのが「小言念仏」
「南無阿弥陀〜、南無阿弥陀〜」と木魚を叩く仕草をしながら、家族に小言を連発する噺
小三治師匠の演る怒りっぽいお爺さんがとてもチャーミングで、小三治師匠の十八番だった根多

今回は浄土宗の話を中心に書いたが、落語の演目で「宗論」というのがある
キリスト教に傾倒した息子に頭を悩ます親父
これも晩年の小三治師匠が高座で何度もかけていた根多
息子が気持ちよさそうに讃美歌を歌う行、突き抜けた小三治師匠にシビれたな〜
真っ直ぐな気持ちでキリスト教を信じる若者の姿が、滑稽だがどこか見ていて心地よい


今回、小学5年生の時のインパクトを思い出しながら書いてみた

田辺先生、ご存命なら今頃どうしてるかな〜
と、〆れば
TBSラジオの「東京ポッド許可局-忘れ得ぬ人々-」みたいだが…

いまだに鮮明に覚えていた田辺先生の話と、お猿さんと変わらなかったあの頃の自分の記憶

今回、南青山の美容室までお母さんに連れられ、髪を切ってもらい綺麗になる小学5年生の女の子
昔のITOとは生活レベルがぜんぜん違うが、ちょっとした事でも記憶に残り、小学5年生でも後の人生に影響を与える可能性もあるよな〜、手加減できないよな〜、などと考えながらカットしたね



追記で

「輪廻転生」をインターネットで調べてみたら
正確には「六道輪廻」というらしい

天上界、人間界、修羅、畜生、餓鬼、地獄
の順で六つの世界が通説

私が田辺先生から伝えられた内容との相違点はあるが
今回は浄土真宗の紹介というより、語りべと私との関係性や、宗教というよりも信じる力に関して書いたので、あえて訂正しずにそのままの文章で保存する
田辺先生の創作やITOの記憶違いもありのままをお伝えしたい


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