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2023年・観劇など記録②

前半って言ってたのどいつや。もう大晦日やぞ?!
今年はあまりにもいろいろなことがあったのでなかなか当記事を書く手が動かなかった。とはいえ今年のことは今年のうちに…ということで、何とか記録を書ききってしまおうと思う。

なお記録①についてはこちらから。



①宝塚歌劇団月組「DEATH TAKES A HOLIDAY」

こちらは現地で観劇できた。初のシアターオーブは3階席でもバッチリ見やすかったが、いかんせん柵が低い(安全対策は取られているが)。ちょっと怖かった。

お上りさんなのでこういう写真撮りがち

『DEATH TAKES~』は海外ミュージカルということもあり、最近の月組さんの作品とはなかなかに毛色が違って面白かった。歌うシーンが普段より3割増しで多いし、歌の難易度もいつもより高め(音域がやたら高い、音程のアップダウンが激しい、やたら音節が細かいなどなど…)。それでもバッチリ歌い上げる月組の皆さんはさすがだった。
前回の大劇場公演(応天の門)のすっきりとしたバディものからうって変わて、今回は正統派なラブストーリー。心地よいひとときに切ないすれ違い、そして最後の覚悟を決めたときの美しさと、れいこさん&うみちゃんコンビならではの「甘いだけではない」ラブストーリーを堪能することができた。
個人的なMVPは英真なおきさん。英真さんは専科ながら「前から月組生ですよ☺」と言わんばかりの馴染みっぷりで、どんなシーンでも自然に、それでいて頼もしいお芝居で舞台の質を底上げしていた。それからセクシーに振舞っているのにチャーミングすぎる桃歌雪さん、てれりとした笑顔で心をわしづかみにしてくる瑠皇りあさんも印象に残った。

②アンジュルム CONCERT TOUR「BIG LOVE」

ドルオタの友人に「芳田…アンジュのライブ行かへん…?」とお誘いを受けて行ってきた。なおアイドルのコンサートに行くのは初めて。
いやね…めちゃ楽しかった。何よりアンジュルムの皆さん全員可愛いだけじゃなくてダンスも歌もとんでもなくうまい。「みんな~~ありがとう~~♡♡」ってニコニコ手を振ったあとにすごくかっこいいダンスを見せてくれるし、「ええ~💦💦」って数人でわちゃわちゃしたあとにバッチリハモリの効いたコーラスを聞かせてくれる。こりゃ好きになっちゃうよ。
それと曲もすごく良かった。事前に友人から「予習用」としてアルバムを複数借りてきいていたのだが、どれもかっこいい。恥ずかしながらアイドル知識がほぼなかったので、アイドルの曲なんてどれも似たり寄ったりでは?と思っていたのだが大間違いだった。キュートさ全開からビートの効いたクール系、ほのぼのふんわりに泣かせるバラードと何でもござれ。歌詞も「私らは私らで道開いていくからよろしくな!!」的な強さがあるのが多いのも最高である。そりゃ女性ファン多いわけだ。

コールにペンライトと知らない文化ばかりだったが、アンジュルムの皆さんの素晴らしいパフォーマンスとファンサービスに心を掴まれっぱなしだった。初めて行ったアイドルの現場がアンジュルムで本当に良かった。
ちなみに芳田は上國料萌衣さんと佐々木莉佳子さんが特に好きです。

③NODA MAP「兎、波を走る」

ずっと気になっていた野田作品を観劇する機会ができた。
同じ舞台で複数の異なる世界が重なり合うなか、言葉遊びのようなセリフ回し、目まぐるしいコロス(?)の動き。最初はついていくのに必死だったが、観ているうちにどんどん引き込まれて、終盤にバラバラだと思っていた演出が一瞬にして1本の糸のように集約される様はゾクゾクした。計算されつくされた舞台ってこういうものをいうのかと
この作品の舞台は架空の世界ながら、現実で起きているとある出来事が織り込まれており、しかもそれはかなり具体的に示されていた。普段観ているようなアンサー系ではなく、社会へのクエスチョンとしての舞台。その問いは、私にも向けられていた。
主演・高橋一生さんは映像作品での演技も好きだが、この方が本領を発揮するのは舞台なのではと感じた。セリフ回しに身のこなしもだが、自分にスポットライトが当たっていないときの空気の作り方がとても上手だった。存在感はないのに間違いなく「舞台で演技をしている」。棒立ちするでもなく、無駄に動き回るでもなく、「舞台の構成要素のひとつとして振舞っている」。そんな一生さんを観られただけでも行った価値があった。

④宝塚歌劇団月組「フリューゲルー君がくれた翼―」「万華鏡百景色」

「フリューゲル~」は良くも悪くも「タカラジェンヌのサラダボウル」系作品を手掛ける齋藤先生の書下ろし。齋藤先生演出の舞台は雪組さんの「City Hunter~」ぶりだったが、こちらがどうにも私に合わず(雪組さんが悪いわけでは決してなく、単純にストーリーの展開が私と相性良くなかったと思っている)、正直なところ観る前まではなかなかに不安だった。
それがいざ観劇してみたらどうよ…?めちゃくちゃ良いじゃん…?東西で分断されていたドイツを舞台に、主人公の軍人にスーパースター、家族に友人、そして市井の人々が「歌」でつながっていき、一歩ずつ踏み出していくストーリーはとても見ごたえがあった。齋藤先生の「よっしゃ舞台に出るタカラジェンヌ全員活躍させたろ!」精神がかなりプラスに生きていた。
これは中心で輝きつつ周りに気を配りながら丁寧に作品を生み出せるトップスター・月城かなとさんと、トップスターと同レベルの求心力で舞台をぐいと引張っていけるトップ娘役・海乃美月さんはじめ、おひとりおひとりが独自の芝居への信念を持ちながら全員で舞台を作ろう!とい意気込み溢れる月組の皆さんだからこそできた作品だと思っている。
個人的には本作品の確固たるヴィランながらところどころ人間臭さを滲ませたお役が目を離せなかった鳳月杏お兄様、それぞれのシーンの演じ分けが自然かつ呆けてしまった演技がリアルすぎて恐怖を覚えた白雪さち花お姉様、本作品の一番邪悪な要素を色っぽボイスと美しい所作で表現した柊木絢斗さん(柊木さん、今年芳田がいちばんオペラで追ったタカラジェンヌさんである)が特に印象に残った。それと蓮つかささん…もう働きっぷりが専科レベルなんよ…。また外部の舞台でお見掛けしたい。

絶景かな…

万華鏡百景色は、過去の作品すべて超高評価な栗田優香先生の大劇場デビュー作。栗田先生の作品はこれまで観たことがなかったが、良い意味で度肝を抜かれるようなバッチバチの演出がこれでもか!とばかりに輝いていた。
月組さんの規格外レビューとして有名なのに上田久美子先生の「BADDY」があるが、こちらは確かに破天荒ながらもかなり伝統的なレビューのポイントを抑えて作られており、私は「優等生的」な印象を受けていた。一方「万華鏡~」は構成こそ一般的なレビューを踏襲しているものの、場面場面の個性が非常に強く、良い意味で「宝塚らしさ」が薄目だと感じた。栗田先生の「よっしゃデビュー作やし月組さんにやってもらいたいこと全部詰め込んだろ!」精神が如実に溢れていていたのもあるが、月組の皆さんの力量や信念をかなり信頼したうえで作品を手掛けていたこともあると思う。
そう、「万華鏡~」は「栗田先生が今の月組でやりたいこと全部乗せレビュー」だったのだ。そしてそれは私が観たいものでもあった。麗しの軍人に社会の掃きだめのドンにカラスまで演じ分けても美しいれいこさん、男役引き連れて堂々と舞台の真ん中に立つうみちゃん、フィナーレの序盤で美声を利かす鳳月お兄様。中詰めでサファリナイトの歌詞をれいこさんが「追われる方も」、うみちゃんが「追う方も」と歌っていたところ。これ解釈一致です。本当にありがとうございました。
ちょっと無理やりでは、と思うところもあったが、間違いなく宝塚のレビューに新しい風をぶち込んだ作品だった。次の作品もとても楽しみである。


おわりに

何とか今年中に今年の観劇などまとめを書ききることができそうだ。

私が語るまでもなく、今年は宝塚を巡って暗く悲しいできごとがあった。亡くなった方には深くお悔やみ申し上げたい。それと同時に、このようなことを二度と起こさないために何をしていくのか、宝塚歌劇団(と阪急)は確固とした方針と具体的な取組みを示さなければならないだろう。正直今までの対応は非常に残念かつ最悪で、今世の中で真偽も分からない醜悪な話題が溢れかえっているのは自業自得だと思っている。
それでも私は宝塚歌劇団が作る舞台が大好きだし、精いっぱい舞台で輝くタカラジェンヌさんたちをこれからも応援したい。だからこそ、宝塚には正面から問題に向き合ってもらい、悪習はすべて断ち切り、1から出直す覚悟で改革をしてほしい。流す必要のない血と涙で作られた作品は、もうこの社会では評価されることはないだろうから。
来年は少しでも明るいニュースが増えることを願っている。


今年も大変お世話になりました。来年もぼちぼちとnoteを続けていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。   芳田


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