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全ての日本人に読んでほしい~「シン・ニホン」安宅和人

僕らはどんな未来を残すつもりなのか。
それが今、一人ひとりに問われている。

ずいぶん時間かかってしまいましたが、読了しました。「シン・ニホン」安宅和人著。今年、いやこの数年で読んだ本の中で、最も価値ある本だと思います。
この本を読んだ率直な感想。

「焦りとワクワクする気持ち」

とにかく若い日本人。10代、20代、30代。の皆さんに読んでほしい。

「2019年秋現在、日本には不安と停滞感、現実を直視しない楽観、黄昏感が満ちている。悲観論や批判ばかりの人、危険を煽るだけの人も多い。
単なる悲観論、それは逃げだ。自分たちが未来も生き続けること、自分たちが次の世代に未来を残す存在であることを無視している。」

黄昏感。この言葉が今の日本を象徴しているように思えます。
かつては栄華を誇ったが、今はそうではない。明らかに二流という言葉がふさわしい国になりつつある日本。それは当然ですよね。世界中が必死に頑張っていた15年間、日本は何もしなかったのだから。
「失われた15年」

この証拠をこれでもか、これでもかというほど、数字で提示されます。
「あ、もう勘弁して、私が悪かったです」って言いたくなるくらい。
でも、現状をしっかり認識することが大事なんだとは薄々感じております。
現状認識することによって、僅かでも可能性が見えてくる。

いや、僅かどころか、明らかに「賭け」が成立するほどの可能性として、勝ち目が見えてくる。このあたりがすごいです。でもこれが見えてこなければ、この本は成立していなかったはずです。

今日本は大変なピンチです。それは間違いないけど、同時に、その裏には大きな「チャンス」も隠されている。そのことを、数字と非常に納得できる証拠とともに伝えられていて、そのことはあたかも、「黒船来航」の時の日本と全く同じだと、例えられています。歴史から学ぶということ、大事だな。

そして、この本を通じて書かれていることは、
「若い世代の才能を信じ、託し、応援しよう」ということ。
かつて明治維新の頃も活躍したほとんどの人は40歳以下の若い世代。
私自身もすごく思うんですが、
「私が20歳の頃、こんなにすごい才能をもっていただろうか?」
「私が30歳の頃、これほど行動力あっただろうか?」
「私が40歳の頃、ここまで深く考えていただろうか?」
いずれも、答えは「NO!!!」です。

本当に、自分の子供を見ても、すごい才能を持っているし、すごい可能性を持っているし、すごいポテンシャルを持っています。
周りの若い世代の人々もホントに驚くほどのものを持った人ばかり。
もっともっと若い世代の才能を発揮できる社会にすることが、一番手っ取り早いはずです。

特に、理系の男子、女子。理系ではなくてもとにかく今、10代、20代、30代の若い世代には、必読書だと思います。若い世代にしか可能性はないということを一つの章を割いてあらゆる可能性を探っています。 
( 4章「未来を創る人」をどう育てるか)

人を創るだけではなく、それによって、未来を賭けられる国を作っていくことが私たち大人の世代の責任である、という結論。
( 5章 未来を賭けられる国に)

そして、圧巻は「人口減少時代」は悪いことではなく、適正人口に戻るという必然の方向だ、という根拠。( P376 人口減少は悪いことか?)
その人口減少時代を「ブレードランナー」と「風の谷」という二つのビジョンで非常に分かりやすく明示されていて、目指す方向への具体的提言まで明示されている。
( 6章 残すに値する未来)

これはただのビジネス書ではなく、未来が不確定な時代に、目指すべき未来を明示して、そっちへ行こうという具体的なハウツーまで網羅した素晴らしい本だと感じました。
何度も何度も読み返して、未来への指針とするとともに、自分自身も未来へどうコミットすればいいのか、どういう方向を目指せばいいのか、時々に振りかえるための目安として、手元に置きたい本でした。

「シン・ニホン」~AI×データ時代における日本の再生と人材育成
安宅和人 著  ニュースピクスパブリシング

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