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見てほしい神戸の魅力ーその2

多分、神戸に来られる方の多くは”異国情緒”的な神戸を期待されていると思います。
旧居留地・異人館街・南京町など、ヨーロッパ・南北アメリカ・中東・アジアの様々な施設や食事などを楽しめます。

しかし、私が見てほしいのは、神戸では各国の人が日本人も含め一緒に暮らしている街であるというところです。

そんな象徴が宗教施設でしょうか。
無宗教を自認?する日本人(初詣・七五三・厄除け・お盆等、どこが無宗教か分かりませんが)と違って、多くの外国人にとって宗教は生活の一部。
神戸にどんな宗教施設があるか、ご紹介します。

まずは、日本で最初に建てられたイスラム教のモスク「神戸ムリリムモスク」です。昭和の頃は回教(イスラム教)寺院と親しまれていました。中央区中山手通2丁目にあります。

金曜日の集団礼拝の時間には、西日本一帯から各国のイスラム教徒が集まり、異国モードがタップリ。
建物は1935年に建てられたまま、大震災も乗り越えました。
周辺にはハラル料理のレストランやハラル食材のお店があります。モスクのすぐ西には中東のファーストフード ”シャワルマ” を味わえるお店もありますよ。

ハラル食材店

次にご紹介するのは、インドのジャイナ教の寺院です。日本で唯一のジャイナ教寺院で、北野町の異人館街から少し西に歩くと突然現れます。
インドから運んできた真っ白な大理石で作られ、像などの彫刻が飾られてとってもエキゾチックです。

次は見つけにくい場所ですが、一宮神社の北の狭い路地に正教会の「神戸ハリストス正教会」があります。
屋根は地中海ブルーで、十字架と少し形の違うシンボルマークがあります。

次は中国のお寺「関帝廟」です。
三国志」で有名な武将・関羽を祀っていますが、関羽は財の神、神戸に来た華僑が信仰するのも当然です。
花隈駅の北、山手幹線の1本北の筋(中山手通7丁目)にあり、相楽園から徒歩10分ほどです。

屋根の青龍

旧正月には多くの中国人が参拝されています。
長い線香を供え、神様へ供えるお金「金紙」を参拝後に燃やす珍しい道教寺院の参拝方法です。

線香
金紙を燃やす窯

最後にご紹介するのは、ユダヤ教の寺院「神戸シナゴーグ」です。
上記のジャイナ教寺院からさらに西に行き、少し北に入ったところにあります。
さて、あなたは第2次世界大戦中の「命のビザ」をご存じでしょうか?
ナチスドイツの迫害を逃れた多くのポーランド系ユダヤ人がリトアニアに逃げ、さらにナチスの侵攻で出国しようとした際、日本領事館にビザ発行を求めました。しかし日独伊同盟により日本政府はビザ発行を許可せず、領事代理の杉原千畝が政府の指示を無視して「命のビザ」を発給し、ユダヤ人はシベリア鉄道でウラジオストック、船で舞鶴、陸路で神戸に到着しました。この間、世界的なユダヤ人組織が支援したことは言うまでもありませんが、神戸市民の歓迎を受け、ここでひと時のやすらぎを得て祈りを捧げたそうです。その後、多くのユダヤ人は神戸港からアメリカなどに渡って亡命して行ったのですが、現在もこのシナゴーグはユダヤ人ラビ(司祭)が在籍する、関西在住ユダヤ人のコミュニティとして重要な役割りを果たしています。

神戸シナゴーグ

現在の建物は、ユダヤ人が逃げてきたときの建物から移転しています。
当時の建物は残っていませんが、石垣が神戸電子専門学校に残っています。

ここには当時の写真や司祭の言葉が掲示されています。

有名な写真家「安井仲治」は、1941年に神戸でユダヤ人難民の撮影をしています。
ちょうど先日まで兵庫県立美術館で作品展があり、作品を見ることができました。(撮影は許可されています)

三宮から近い地域に、これほど多様な宗教施設がありますので、異人館だけでなく、是非一緒に見てほしいものです。

神戸が難民を受け入れ、外国の文化を受け入れ、外国人と共に生き、互いの違いを尊重しながら共生していることに想いを馳せていただければ幸いです。

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