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休校から1年を振り返る。そして「留学」の未来はどうなるのか。

こんにちは。英会話スクール「ミライズ英会話」を日本と台湾で、語学学校「ミライズ留学(ロックダウンにより休校中)」をフィリピンセブ島で展開しているミライズ株式会社のカズと申します。初めての方は、こちらに自己紹介をまとめてますので、ぜひご覧ください。

2020年3月13日(金曜日)

フィリピン留学ビジネスに関わる全ての方にとって、一生忘れることのない日になったと思います。新型コロナウィルスの蔓延を受け、この日フィリピン政府より全ての学校に対して休校命令が発出されました。

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1年経った今でもコロナウィルスは終息せず、学校再開どころか、フィリピンに入国すらできない状況が続くことは、関係者の誰もが想像していない、いや、想像したくない最悪のシナリオでした。

経営者としてはあまり使いたくない言葉ですが、まさに全てが「想定外」の事態の中で何が起こっていたのか。そして、その状況に呆然とせず、がむしゃらに歩みを進めてきた、この1年を振り返ってみたいと思います。

あの日のこと

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「フィリピンがロックダウンされるかもしれない」

急な休校命令だったために、その時在校していた約60名近くの生徒対応に追われている中、様々な憶測も含めた情報が飛び交う「カオス」な状態でした。休校命令は一時的なものなのか、ずっと続くものなのかも分からず、在校生には非常にご迷惑をおかけしました。どうすべきか悩んでいる中で、現地での経営者仲間から衝撃的な情報を受けました。

フィリピンはロックダウンに向けて動き出した。今後全てのフライトがキャンセルになる可能性が高いので、在校生は全員帰国させた方がいい。ロックダウン後、フィリピンがどうなるか誰にも分からない。

事態は一刻を争うものでした。この情報の通り、数日後には全てのフライトはキャンセルになり、1,000人以上の日本人が一時セブ島から帰国できない事態にまで発展しました。

結果としては、現地の日本人会の尽力によりチャーター便が飛んだことで事なきを得たのですが、僕ら事業者としては、海外で日本人をお預かりする「責任」については考えさせられた出来事でした。

最悪の事態は免れたので一時は安堵したものの、これから学校をどうしていくかという大きな課題が待ち受けていました。

残された選択肢

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未曾有のパンデミック。

僕らのフィリピン事業にはその時80名以上の講師と、その他関連スタッフを含めれば100名以上。それに加えて2019年に新築移転したばかりの8階建て校舎、という、そのままにしておけば大赤字になってしまう大変な事態でした。その時僕らの取れる選択肢としては以下の3つくらい。

1、(早期終息を予測して)コストを抑えつつ再開を待つ
2、一旦全てをゼロにして撤退する
3、新規事業にチャレンジする(違う収益源を確保する)

フィリピン留学事業者は皆さん悩まれたと思います。僕らも死ぬほど悩みました。

その当時は、「おそらく7月頃には再開できるのではないか?」といった希望的な憶測もあったので、①の選択肢を取ったところも多かったのですが、再開できずに結局②に移行してしまう末路を辿ったところあるようです。

そのような中、僕らミライズの決断は、昨年4月の段階で③の選択肢を取ることに決まりました。その理由は、パンデミックの収束が長引くという予想と、仮に収束したとしても、コロナ前とマーケットは大きく様変わりするだろうと考えたからです。

つまり、同じビジネスモデルのままではもはや時代遅れに。そのくらいインパクトを持った消費者ニーズの転換点に僕らは立っているという強い危機意識から取った選択でした。
(※この決断に至る詳細については、こちらの記事にもまとめていますので、ぜひご覧ください。)

今振り返ってみると、この時に決断をして本当に良かったと思っています。逆にいえば、あの時に変化を躊躇していたら、もう会社自体が無かったかもしれません。

1年たった今でもパンデミックは収束せず、人々は行動変容を求められ続け、その結果消費行動が大きく変わったと思います。5年、10年先にくるはずだった未来にワープしたような感じでしょうか。

では。そんな新しい時代の中で、留学はどうなっていくかについて少し考察してみたいと思います。

留学のゆくえ

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まず考えるべきは、「そもそも留学需要って戻るのだろうか?」という点です。

パンデミックによって無くなるもの、大幅に縮小されるものはなんだろうと考えた時に、1番に挙がってくるのが、「もはや合理的な理由は無くなってたけど、惰性で続いていたもの」ですよね。

満員電車やオフィス出社。お付き合いの会食や社内飲み会。わざわざ訪問しての営業。どれも昭和な香りが漂います。全部が無くなるわけではないと思いますが、コロナが収束したところで、上記のような事を全力で再開させる合理性は見当たりません。なぜなら、無くなってよかったと大多数の人が思っているからでしょう...

そういった観点で考えていった時に、留学の今後が見えてくるかなと思います。留学で得られる体験価値というのは、大きく3つあると思っていて(以下)

① 濃密な英語学習
② 海外体験(英語利用体験)
③ 出会い(外国人や学習仲間)

この中の①については、テクノロジーの進化などもあり、オンライン等で代替可能な世の中に近づいているのではないかと思います。つまり、英語習得だけが目的なら留学が選ばれる可能性は低くなっていくでしょう。

なので、ポイントとしては、②と③を理由として、海外留学を選択していただけるかどうか。そして僕らで言えば、世界中の留学先の中からフィリピンを選択していただけるか。

僕の考えとしては、留学需要は回復するものと見ています。

それは、やはり②と③の部分の体験価値が圧倒的だからだと思います。

よく留学に行った方に話を聞くと、そこが人生のターニングポイントとなった方が実に多いことに驚かされます。例えば僕らのフィリピン留学においても同様で、ほとんどの方が新興国に来るのが初めてで、そこで見る現地の方の生活などに初めは衝撃を受けるのですが、交流等を重ねることによって、人生の価値観が変わった方も多くいらっしゃいました。

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これはやっぱり現地に行って体験したからこそ得られる価値なので、どれだけテクノロジーが進んだとしても、完全に代替するのは難しいのだろうなと思っています。

ただし、事業者としてはこれまで以上のエッジが効いた学校作りが求められる流れが加速するでしょうね。ただ単に「語学学校やってます」だと選ばれなくなる。国内で英語の勉強は出来てしまう環境にあって、留学に「わざわざ」時間とリスクを取ってまで行きたいと思う動機を用意してあげる必要があるからです。その唯一な体験価値を磨きあげていけば、デジタル化が進む時代だからこそ、その対極にある「リアル」に高い価値が出てくるのだと想像します。

なので、僕らミライズも留学事業を撤退するつもりはありません。僕ら同様、コロナを乗り越えた多くの留学事業者が学校を再開させ、かつてのような盛り上がりを見せることを僕らも切に願っています。

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お客様の人生を変えてしまう程の体験価値を生める留学は絶対に無くなるべきではありませんので、僕らも再開する時には先頭に立って盛り上げていこうと思っています。

留学の未来のために、僕らは引き続きコロナとも戦い続けたいと思います。

最後に

心の声を。
「あ〜、早く留学できる世の中に戻ってほしい!!」

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