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見上げた空に涙が散った日

私が死んだら川沿いに屍体を埋めてください。
そして同じ場所にあなたを植えてください。

私を吸って顔を背けたあなたにどうしたのだろうと上を見上げると、そこには薄いピンク色に頬を染め上げたあなたがいた。
綺麗と口に出した私に少し拗ねたあなたは首を振って涙をこぼす。
照れて真っ赤になった目尻もその言葉に未だ慣れない君もこれ以上ないくらいに可愛くて、ずっと見ていたいと思った。
でも可愛いと口に出したら今度は顔を真っ赤にして怒り出すから、ここは我慢しよう。
まだあなたの顔を眺めていたいから。

今日はもう寝ようか。
また明日も一緒に遊ぼう。
明日は2人で一緒に居られる最後の日。


大きな揺れに気づき私は起きた。
あなたはずっと前から起きていたみたい。
肩を震わせて涙を落とすあなた。

“今日はお空も悲しいみたい”

なんて少しの強がりと少しの笑顔。
無理して笑わなくていいよと昨日よりも寒そうな君に私の体温を分けてあげる。
より大きく肩を震わせたあなたはとめどなく涙をこぼし、そして眠くなってきてしまったみたい。
泣き疲れて寝ちゃうなんて本当に可愛い。
私だけが知る君の可愛さ。


誰かがあなたの涙を集め、別れの挨拶としてそっとあなたに口づける。
やさしい息遣いで愛撫されたあなたは高い声で最期の言葉を告げた。

“今度は笑顔でさよならしようね、また来年”

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