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<読書>出会いなおし

 『出会いなおし』は、書店で見かけて、以前から気になっていた本です。

・出会いなおし 著者:森 絵都

 『出会いなおし』には、表題作『出会いなおし』を含む、6編の短編が収められています。

 さまざまな出会いと、人間関係が描かれていました。

 特に印象的だったのは、『出会いなおし』と『ママ』です。


『出会いなおし』

 主人公はイラストレーターの佐和田。佐和田と編集者のナリキヨさんについてのストーリーです。

 佐和田はナリキヨさんと仕事のパートナーとして出会い、信頼を寄せるようになります。イラストレーターを休業し、彫刻を学ぶためにパリへ行く、その胸の内も、ナリキヨさんに伝えます。

 パリで2年過ごした後、佐和田は彫刻は趣味として続けることを決め、帰国します。そして、再びイラストレーターとして活動を始めます。

 佐和田とナリキヨさんが再び仕事をする機会もありましたが、以前のようにうまく仕事は進みません。その後、佐和田はナリキヨさんと距離を置くようになります。

 7年後、佐和田は立体作品の個展を開き、ナリキヨさんと再会し、近況を語り合います。

 仕事を通じての信頼や結びつきは、学生時代の友情とも少し異なる、しかし大切な関係です。

 佐和田とナリキヨさんは、長期間すれ違いのような関係になりますが、佐和田の個展で再会したときに、お互いの信頼関係を確かめあえた様子です。

 私は子育てを優先して働き方を変えています。以前の仕事仲間と、どこかで再会することがあるかもしれません。その時は、また良い関係を築きたいものです。
 以前に共に働いていた人たちを思い出しながら、その様なことを、ぼんやりと考えました。


『ママ』

 主人公の夫が語る「ママ」(主人公にとっては義母)は、実は存在しない。「ママ」は、夫の想像上の存在だった、というストーリーです。

 これは怖い話だと感じました。
 しかし、主人公は、それを乗り越えて、夫に寄り添っていくことを決断します。
 怖いけれど、主人公は強いです。
 私だったら、夫と向き合えないかもしれません。


* * *

 その他の短編も、年代も状況も異なる人たちが主人公で、読む人によって共感する部分も、感想も様々なのではないかと感じました。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。



こちらも、森絵都さんの著作です↓↓↓



 

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